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2006年3月の31件の記事

平成19年(ネ)第10079号著作権侵害差止等請求控訴事件 1

- 1 -

平成19年(ネ)第10079号著作権侵害差止等請求控訴事件

(原審・東京地方裁判所平成18年(ワ)第5752号)

平成20年2月12日判決言渡,平成19年12月14日口頭弁論終結

判決

控訴人X

控訴人株式会社マネジメント社

両名訴訟代理人弁護士●●,●●

被控訴人Y

訴訟代理人弁護士●●,●●

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実及び理由

第1 当事者の求めた裁判

1 控訴人ら

(1) 原判決を以下のとおり変更する。

ア被控訴人は,原判決別紙被告書籍目録記載の書籍を販売及び頒布しては

ならない。

イ被控訴人は,上記書籍を廃棄せよ。

ウ被控訴人は,控訴人株式会社マネジメント社に対し,143万2357

円及びこれに対する平成18年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員

を支払え。

エ被控訴人は,控訴人Xに対し,143万2357円及びこれに対する平

成18年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

オ被控訴人は,謝罪広告を,別紙謝罪広告目録の要領にて,日経新聞全国

版,朝日新聞全国版の各朝刊に掲載せよ。

- 2 -

(2) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。

2 被控訴人

主文と同旨

第2 事案の概要

1 事案の要旨

本件は,控訴人らが,被控訴人に対し,被控訴人が執筆した原判決別紙被告書籍

目録記載の書籍(被告書籍)が,控訴人らが著作権,出版権を有する書籍等を複製

又は翻案しているものであるとして,控訴人Xが著作権に基づき,控訴人株式会社

マネジメント社が出版権に基づき,被告書籍の販売等差止め及び廃棄,損害賠償並

びに謝罪広告の掲載を求めた事案であり,原判決が,被告書籍の一部について,控

訴人らが著作権等を有する書籍等の複製又は翻案があるなどとして,被告書籍の販

売等の差止め,侵害部分等の廃棄及び損害賠償請求の一部を認容し,謝罪広告の掲

載請求を棄却するなどしたところ,控訴人らが,原判決が認めた部分以外にも,被

告書籍中には,控訴人らが著作権等を有する書籍等の複製又は翻案があるなどと主

張して,控訴人らの敗訴部分の判断を争っている事案である。

なお,原判決における略称を本判決においても使用する。

平成19年(ネ)第10079号著作権侵害差止等請求控訴事件 2

2 争いのない事実等及び争点

原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の1及び2のとおりである

から,これを引用する。

3 争点に関する当事者の主張

次のとおり,当審における主張を追加するほか,原判決の「事実及び理由」欄の

「第3 争点に関する当事者の主張」の1ないし4とおりであるから,これを引用

する。

(控訴人らの主張)

(1) 被告著作物追加目録4(被告書籍131頁,134頁,135頁)につい

- 3 -

原判決は,被告著作物追加目録4は,原告著作物追加目録4と共通する部分があ

るが,上記部分は短文で,それ自体創作性のない表現にとどまっているものである

から,上記原告著作物の複製又は翻案に当たるものということはできない旨判断し

たが,誤りである。

被告著作物追加目録4(被告書籍131頁)の「やっともらった『たった1枚の

名刺』でキーマンを虜にするには」の部分は,原告著作物追加目録4の230頁の

「たった1枚の名刺でキーマンを虜にする」という表題を複製又は翻案したもので

あり,被告著作物追加目録4(被告書籍131頁)の「何をすれば…『もう,まい

った!』と言わせられるか」の部分は,原告著作物追加目録4の232頁,233

頁の「キーマンをマイッタ!と唸らせる(うならせる)」との表現を翻案したもの

である。

たった1枚の名刺でキーマンをとりこにするとの表現は,必ずしも通常の用語の

使用例とは異なり,また,まいったとの表現も通常の使用例と異なり,いずれも通

常の用語ではないものを組み合わせて創作したものであるから,創作性としては十

分である。

平成19年(ネ)第10079号著作権侵害差止等請求控訴事件 3

(2) 被告新規著作物目録2(被告書籍53頁)について

原判決は,営業力の重要要素として営業マンの力と営業幹部の力を挙げた上で,

それぞれの寄与率を分析すること自体は,著作権法の保護の及ばないアイデア自体

にほかならず,上記二つの要素の寄与率を問いかける図を作る際に,原告新規著作

物目録2の1・2のような図を用いることはありふれた表現であるなどとして,被

告新規著作物目録2(被告書籍53頁)が原告新規著作物目録2の1・2の複製又

は翻案に当たるということはできない旨判断したが,誤りである。

表題について,原告新規著作物目録2の1が「営業をバラす」であるのに対して,

被告新規著作物目録2(被告書籍53頁)は「営業力を分解すると」であり,原告

新規著作物目録2の2で「営業力とは何かを見抜く」との表現があることや,バラ

すと分解するが同義であることから,これらの表題は同義である。表題の下の部分

- 4 -

は,控訴人らの著作物が,「重要要素」,「営業マンの力」,「営業幹部のマネジ

メント力」であるのに対して,被控訴人の著作物は,「重要要素」,「営業マンの

力」,「営業幹部の力」であり,原告新規著作物目録2の2に「幹部の力」との表

現があることからも,この部分も同義である。さらに,重要要素との関係で,控訴

人らの著作物が,「寄与率」, %, %であるのに対し,被控訴

人の著作物にも同じ記載があり,アンダーラインや,四角と%の関係まで同じであ

る。そして,これらの右側に,控訴人らの著作物には「どんなウエイトか」と縦書

きで記載され,左向きに「←」があるが,被控訴人の著作物にも,「どんなウエイ

トか」と縦書きで記載され,左向きに「←」がある。寄与率の合計は,いずれも,

100%であり,記載されている箇所も同じであり,末尾は,控訴人らの著作物が

「ここが分かることが肝腎」との記載に対して,被控訴人の著作物は「ここがわか

れば後は簡単」と記載され,類似した表現になっている。

これによれば,被告新規著作物目録2(被告書籍53頁)は,原告新規著作物目

録2の1・2を複製ないし翻案したものである。原判決は,控訴人らの著作物に創

作性がないとしたが,被控訴人の著作物が控訴人らの著作物の図の細部まで複製し

ており,図の配列等で創作性は発揮されているのであり,このような部分について

創作性を否定するのは不当である。

平成19年(ネ)第10079号著作権侵害差止等請求控訴事件 4

(3) 被告新規著作物目録5(被告書籍118,119頁)について

原判決は,原告新規著作物目録5の1ないし3(原告新規著作物目録5の1・2

における「必殺6連発の術」,原告新規著作物目録5の3における「受注の方程式

の確立」)と,被告新規著作物目録5(被告書籍118頁)における「感動営業ア

プローチ」)の具体的表現は相当に異なることなどから,被告新規著作物目録5

(被告書籍118頁,119頁)は,原告新規著作物目録5の1ないし3の複製又

は翻案には当たらない旨判断したが,誤りである。

被告新規著作物目録5(被告書籍118,119頁)における,「アレ? 」,

「オヤー」,「アラ」,「ウムー」,「スゴイ! 」「マイッタ! !」との感

- 5 -

嘆詞は,被告著作物目録1(被告書籍121頁)の「第1弾アレ…『この営業マ

ンは違う』(でも売り込みだから)」,「第2弾オヤ…『彼は一味違うな』(で

も買う意思はないよ)」,「第3弾アラ…『そこまで気配りを』(なかなかセン

スが鋭い)」,「第4弾ウム『おお,さすがだ』(彼と会うのが楽しみだ)」,

「第5弾スゴイ『もう,まいった!』(何かお礼しないと)」,「第6弾マイ

ッタ『ウワー,凄い』(注文してあげよう)」との各段階に冒頭の部分の感嘆詞とお

おむね同一であり,被告新規著作物目録5(被告書籍118頁)のステップ1ない

し6や被告新規著作物目録5(被告書籍119頁)の6つの感嘆詞も,被告著作物

目録1(被告書籍121頁)の第1弾から第6弾に対応するものである。また,被

告書籍の118頁の記載などからも,被告新規著作物目録5(被告書籍118頁,

119頁)が,被告著作物目録1(被告書籍121頁)と関連した記載であること

は明らかである。

そして,原判決において,被告著作物目録1(被告書籍121頁)は原告著作物

目録1の1(原告新規著作物目録5の1と同じ),同2の1(原告新規著作物目録

5の2と同じ),同3の1(原告新規著作物目録5の3と同じ)・2の複製と認め

られていて,そこでは,感嘆詞についても使用順序が異なるものの実質的同一性を

認めている。

また,原告著作物目録1の1,2の1,3の1・2の感嘆詞の使用順序は,「オ

ヤ」,「アラ」,「ウム」,「エ!」,「ムムム」,「ウソー」との順であるが,

被告著作物目録1においても,上記著作物目録の感嘆詞の冒頭に「アレ」を入れた

だけで,「オヤ」,「アラ」,「ウム」までは,同じ使用順序であり,被控訴人の

著作物の5番目の「スゴイ」は,控訴人らの著作物の6番目の「凄い」を持ってき

ただけであり,被控訴人の著作物の6番目の感嘆詞である「マイッタ」は,控訴人

らの著作物でたびたび使用され,必殺6連発の説明として使用されている。

このように,被告著作物目録1(被告書籍121頁)と原告著作物目録1の1,

2の1,3の1・2との関係で複製と認定された部分の一部が,被告新規著作物目

- 6 -

録5(被告書籍118,119頁)であり,これは,控訴人らが主張する感動営業

の必勝6連続法の関連部分あるいは導入部分であるから,被告新規著作物目録5

(被告書籍118,119頁)は,原告新規著作物目録5の1ないし3の複製又は

翻案である。

平成19年(ネ)第10079号著作権侵害差止等請求控訴事件 5

(4) 被告新規著作物追加目録(被告書籍139頁)について

原判決は,被告新規著作物追加目録(被告書籍139頁)の図表は,原告新規著

作物追加目録2,3,6の複製又は翻案に当たらないというべきである旨判断した

が,同図表は,別紙「X先生指導感動セールス革命Q A 集①,ゼネカ流キーマ

ンを虜にする必殺技大研究受注の方程式,総集編=研究期間= 1994年1月

から12月」(甲13。以下「控訴人著作物目録」という。)の複製又は翻案であ

る。

控訴人著作物目録において,「質問6 『名刺1枚でキーマンを虜にする術とは

何か』」の項には,初回訪問の95%が断られるが,初回訪問に感動礼状を書いて

出すと切れ味抜群の必殺技になることが記載され,「質問8 『感動の必殺6連

発』とは何でしょうか」の項には,狙った顧客は3か月以内,6回のコンタクトで

受注まで持っていくことが公式になっているとして,「『基本の6連発プログラ

ム』①名前の由来の感動礼状②本人ポエム③夫婦ポエム④家族ポエム⑤

名前入り文字絵⑥キーマン主人公短編小説」との記載があり,「『応用の8連発,

10連発,12連発プログラム』」として,上の①ないし⑥の中に組み込んでいく

として,「例えば・ハガキの礼状・ファックス礼状・歳時記礼状・24節

季礼状ほか」との記載がある。また,「質問11 『FAXの礼状を感動礼状にす

るには?』」の項には,FAX礼状の実例が紹介され,大事なことは,必ずキーマ

ンを主役にしたものにすることですと記載され,「質問12 『歳時記礼状を感動

礼状にするには?』」の項には,催事と歳時記をミックスしてお客様に楽しんでも

らうことが記載され,例えば,4月は桜満開礼状と入社入学式との記載があり,

「質問15 感動礼状(巻物)とは何でしょうか」の項では,感動の名前の由来お

- 7 -

礼状とは,「名前の文字を一字づつ」,「その意味を称賛する」,「そして全体を

いい言葉でまとめる」,「あなたは凄い人物です」などと書き,それを巻物にし,

この巻物の感動礼状は想像を絶する大きな効果を発揮すると記載されており,「質

問16 『名前の由来』のお礼状とは何か」の項には,キーマンが主役主人公の内

容の手紙であり,この礼状はお客様を喜ばせることはもちろん,自分自身を魅力的

にする魔法の修行法であることが記載されていて,これらは質問8の基本の6連発

プログラムの②本人ポエムと同義である。「質問18 『夫婦ポエム』とは何でし

ょうか」の項には,決済キーマンが判明したら,キーマンと名刺の交換をして感動

礼状からスタートすることや,キーマンの真のキーマンは「奥さま」であり,奥様

を喜ばすことが肝心なことが記載され,「質問20 『名前入り文字絵』とは何で

しょうか」の項には,名前の文字で絵を描くことに気づき,「つまり文字絵の世界

です」との記載があり,「質問5 『なぜ名刺の活用なのですか』」の項には,名

刺に記載された名前の称賛や名前を主役主人公にすること,名刺の活用は名前の活

用と同義であることが記載され,「質問21 『キーマン主役主人公短編小説』と

は何ですか」の項には,経験からお客様を主役主人公にした本をプレゼントしたら

喜ばれることは間違いないと確信をし,ドクターに「名医中の名医」というタイト

ルを作成したことが記載されている。

平成19年(ネ)第10079号著作権侵害差止等請求控訴事件 6

被告新規著作物追加目録(被告書籍139頁)には,「感動営業の基本6連続

法」,「第1弾FAX礼状」,「第2弾歳時記礼状」,「第3弾感動礼状/

巻き物」,「第4弾本人/夫婦ポエム」,「第5弾文字絵(名前の活用)」,

「第6弾本人主人公短編小説」と列挙した図表があり,これと控訴人著作物目録

の「質問8」の項の記載を対比すると,被控訴人の「第4弾」の部分は,控訴人ら

の著作物の②と③をまとめたものであり,「第5弾」の部分は,控訴人らの著作物

の⑤の部分を翻案したものであり,また,「第6弾」の部分は,控訴人らの著作物

の⑥と基本的に同義である。そして,被控訴人の「第1弾」の部分は,控訴人著作

物目録の「質問11」の項の「FAXの礼状」と同義であり,「第2弾」の部分は,

- 8 -

控訴人著作物目録の質問12の項の「歳時記礼状」と同義であり,「第3弾」の部

分は,控訴人著作物目録の質問15の項の「感動礼状(巻物)」と同義であって,

第1弾から第3弾の配列の順番も,控訴人著作物目録の質問の順番と同じである。

また,被控訴人の「第4弾」の「本人/夫婦ポエム」は,控訴人著作物目録の質問

16及び質問18の項に記載され,「第5弾」の「文字絵」は,控訴人著作物目録

の質問20の項に記載され,「第6弾」は,控訴人著作物目録の質問21の項に記

載され,これらの配列の順番も控訴人著作物目録の質問の順番と同じである。

したがって,被告新規著作物追加目録(被告書籍139頁)は,控訴人著作物目

録の複製又は翻案である。

(5) 被告著作物追加目録2(被告書籍97頁)について

原判決は,被告著作物追加目録2は,原告著作物追加目録2の複製又は翻案には

当たらない旨判断したが,被告著作物追加目録2(被告書籍97頁)は,控訴人著

作物目録及び原告著作物追加目録2の翻案である。

控訴人著作物目録において,「質問1 『なぜ感動セールスなのですか』」の項

には,「『感動セールス』とは・・・②お金をかけない③手作りの作品で④感

動をプレゼントして⑤お客様(医師,薬剤師,看護婦,用度,他)の心の琴線を

揺する」との記載があり,「質問2 『受注の必勝の方程式』とは何でしょうか」

の項には,冒頭に,「・成功のキーワードは『喜び大研究』なぜこのような従来に

ない画期的な成果を短期間で出せるようになるか。その秘訣はお客様が「喜ぶ」

「感動する」にはどうすればいいかを100倍研究することにあります。」との記

載がある。また,控訴人著作物目録の「質問21 『キーマン主役主人公短編小

説』とは何ですか。」の項には,「製本にも気を配りました。本物の本に似たよう

な製本にしました。そして帯もつけました。政財界の一流の人たちの推薦分付(注

:推薦文付)です。キーマンが主役の栞も作りました。これを誕生日にプレゼント

しましたら,大感激,いや大感動され,『君の願い事は何でもしてあげる』と言わ

れ,難攻不落の病院から受注することができました。」との記載があり,「質問2

- 9 -

2の感動作品を作る時の心構えを教えてください」の項では,「喜びと感動の世

界は自分の気持ちを込めて作ることが大事です。・その人のことだけを考えて考え

抜く…… ・お金をかけないことが絶対条件・心を込めた手作りの作品・尽くし

て尽くす基本姿勢……結果としてお客様の心の琴線を揺り動かすことができま

す。」との記載がある。

被告著作物追加目録2(被告書籍97頁)のうち,「お客さまの心の琴線を揺る

がすには」の部分は,控訴人著作物目録の質問1の項の⑤及び質問22の項の「結

果として」から以下の部分を複製又は翻案したものであり,「喜ばす・感動させる

ための感動ノウハウを考える。」の部分は,控訴人著作物目録の質問2の項の表現

を翻案したものであり,「お金をかけずに,心を込めた手づくり作品で,」の部分

は,控訴人著作物目録の質問1の項の②,③及び質問22の項の「・お金をかけな

いことが絶対条件・心を込めた手作りの作品」の部分を複製又は翻案したものであ

り,「キーマンにプレゼントし喜んでもらう。」の部分は,控訴人著作物目録の質

問21の項のキーマン主役主人公短編小説を誕生日にプレゼントしたら,大感激,

いや大感動されたとの部分を翻案したものである。

したがって,被告著作物追加目録2(被告書籍97頁)は,控訴人著作物目録の

著作を翻案したものである。

平成19年(ネ)第10079号著作権侵害差止等請求控訴事件 7

(6) 被告新規著作物追加目録(被告書籍129頁)について

原判決は,被告新規著作物追加目録(被告書籍129頁)は,原告新規著作物追

加目録1の複製又は翻案には当たらない旨判断したが,被告新規著作物追加目録

(被告書籍129頁)は,控訴人著作物目録及び原告新規著作物追加目録1の複製