(4) 被告新規著作物追加目録(139頁)について
控訴人著作物目録には,「質問8 『感動の必殺6連発とはなにでしょうか』」
の項において,顧客のキーマンに好かれることが必要であると記載され,「『基本
の6連発プログラム』」,「① 名前の由来の感動礼状」,「② 本人ポエム」,
「③ 夫婦ポエム」,「④ 家族ポエム」,「⑤ 名前入り文字絵」,「⑥ キー
マン主役主人公短編小説」と記載され,またその下方に「『応用の8連発,9連発,
10連発,12連発プログラム』」との記載があり,上記の6連発の中に礼状を組
み込むとして,礼状の例として,「ハガキの礼状」,「ファックス礼状」,「歳時
記礼状」,「24節季礼状」,「感動名詞礼状」,「写真礼状」,「出会い記念日
礼状」などがあることが記載されている。
被告新規著作物追加目録(139頁)には,「感動営業の基本6連続法」との表
題のもと,「第1弾FAX礼状」,「第2弾歳時記礼状」,「第3弾感動礼
状/巻き物」,「第4弾本人/夫婦ポエム」,「第5弾文字絵(名前の活
用)」,「第6弾本人主人公短編小説」と上から下に記載し,「第1弾」の部
分から「第6弾」の下方まで下矢印で貫く図表が記載されている。
控訴人著作物目録には,営業において顧客に喜んでもらうため,6回連続して,
礼状や「ポエム」等を送るなどの方策が記載されているが,営業において,6回連
続して何らかの方策をとることや,その方策として「歳時記」の礼状や「ポエム」
を使用したり,相手を主人公とする短編小説を作成することなどは着想であって,
著作権法で保護されるものではないし,「感動礼状」,「本人ポエム」,「名前入
り文字絵」などそこで用いられている語句は,一般的な単語を結合した短い語句で
あって,それら語句自体に直ちに創作性を認めることはできない。そして,上記控
訴人著作物目録と被告新規著作物追加目録(139頁)は,着想や単語において共
通する部分はあるものの,特に前半の3段階の内容,表現において大きく異なり,
- 19 -
創作性のある部分において,同一又は類似といえないことは明らかであり,被告新
規著作物追加目録(被告書籍139頁)の図表は,控訴人著作物目録の複製又は翻
案ということはできない。
控訴人らは,被告新規著作物追加目録(139頁)に記載されている内容は,控
訴人著作物目録の複数の箇所をみると,それらが記載されていることを主張するの
であるが,被告新規著作物追加目録(139頁)の図表に記載された,営業におい
て顧客に喜んでもらうための方策が,控訴人らの著作物の複数の箇所に現れている
としても,そのような方策の内容自体は着想であって,著作権法で保護されるもの
ではないし,また,そこに記載された語句自体も一般的な単語を結合した短い語句
であって,創作性が認められるものではない。控訴人らの主張には,複数の箇所に
現れる配列が同じことをいう部分もあるが,控訴人らの主張によっても,控訴人ら
の著作物において,6つの段階について,被告新規著作物追加目録(139頁)と
同一又は類似といえる程度に区別されるようにして配列されているとはいえないも
のであり,被告新規著作物追加目録(139頁)が控訴人らの著作物の複製又は翻
案であることをいう控訴人らの主張は採用できない。
なお,控訴人らは,被控訴人の著作物(被告新規著作物追加目録(139頁),
被告著作物追加目録2(被告書籍97頁),被告新規著作物追加目録(被告書籍1
29頁))が,控訴人著作物目録の複製又は翻案である旨主張するところ,被控訴
人は,本件訴訟に至るまで控訴人著作物目録に接したことがないとする。しかし,
上記のとおり被告新規著作物追加目録(139頁)には,控訴人著作物目録の創作
的に表現された部分と,同一又は類似といえる表現はないのであるから,被控訴人
が被告書籍を作成するまでに控訴人著作物目録に接したか否かを判断するまでもな
く,控訴人らの上記主張は理由がない。そして,このことは,後記(5)及び(6)のと
おり,被告著作物追加目録2(被告書籍97頁)及び被告新規著作物追加目録(被
告書籍129頁)についての,控訴人らの主張についても同様である。
(5) 被告著作物追加目録2(被告書籍97頁)について
- 20 -
被告著作物追加目録2(被告書籍97頁)には,「お客様の心の琴線を揺るがす
には」と記載され,その下に丸で囲まれた「お客さま」と「営業マン」を「親密な
人間関係」でつなぎ,そこからの吹き出しにおいて「商品」と記載され,その下に,
「喜ばす・感動させるための感動ノウハウを考える」,「お金をかけずに,心を込
・・・・・・
めた手作り作品で,キーマンにプレゼントし喜んでもらう」と記載された図がある。
・・・
控訴人著作物目録の「質問1 『なぜ感動セールスなのですか』」の項には,
「『感動セールス』とは,① 営業担当者が自分の能力でできる範囲のサービス
② お金をかけない③ 手作りの作品で④ 感動のプレゼントをして⑤ お
客様(医者,薬剤師,看護婦,用度,他)の心の琴線を揺する⑥連続して提供で
きる⑦ 仕組みを作り上げる」との記載があり,「質問2 『受注の必勝の方程
式」とは何でしょうか」の項には,「成功のキーワードは『喜び大研究』なぜこ
のような従来にない画期的な成果を短期間に出せるようになるのか。その秘訣はお
客様が『喜ぶ』『感動する』にはどうすればいいのかを100倍研究することにあ
ります」との記載があり,「質問21 『キーマン主役主人公短編小説』とは何で
すか」の項には,お客を主役主人公にした本を作成したことが書かれ,「キーマン
が主役の栞も作りました。これを誕生日にプレゼントしましたら,大感激,いや大
感動され,『君の願い事は何でもしてあげる』と言われ,難攻不落の病院から受注
することができました。」との記載があり,「質問22 感動作品を作る時の心構
えを教えてください」の項には,「喜びと感動の世界は自分の気持ちを込めて作る
ことが大事です」として,「名前の素晴らしを100倍考える」,「お金をかけな
いことが絶対条件」,「心を込めた手作りの作品」,「尽くして尽くす基本姿勢」
などと記載され,「結果として・お客様の心の琴線を揺り動かすことができます」
との記載がある。
被告著作物追加目録2(被告書籍97頁)における「お客様の心の琴線を揺るが
す」,「お金をかけない」,「心を込めた手作り作品」などのそれぞれの表現は,
控訴人著作物目録中にもあるが,これらの文言は,日常一般によく出会う表現であ
- 21 -
って,このような簡単なものが創作性のない表現であることは明らかであり,喜ば
すことと感動させることを並列に並べることもそれ自体で創作性があるとはいえず,
そのような短文や語以外に,被告著作物追加目録2(被告書籍97頁)と控訴人著
作物目録における表現が共通するとは認められず,被告著作物追加目録2(被告書
籍97頁)には,控訴人著作物目録の創作的に表現された部分と,同一又は類似と
いえる表現はないといえ,被告著作物追加目録2(被告書籍97頁)は,控訴人ら
の著作物の複製又は翻案とは認められない。