知的財産権やビジネス・企業法務Q&A続々更新!大阪弁護士会所属弁護士川内康雄 顧問弁護士
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2006年4月の23件の記事

平成19年(ワ)第3024号商標権侵害差し止めなど請求事件 21

() 原告の店舗や商品が特に取り上げられて紹介されたもの

これらの数も多いが(甲90),例えば,社団法人日本雑誌協会

が「女性ヤング誌(ファッション・総合)」として分類するファッ

ション誌の中で発行部数が多いCanCam誌,JJ誌及びViV

i誌(甲92,乙94)における掲載記事の例として,次のような

ものがある。

なお,これらの記事は,原告が掲載料を支払う広告ではなく,各

誌の独自企画記事に対して原告が商品を提供するというものであっ

た(甲21中の原告の広告費明細,甲60)

① JJ誌平成12年11月号(甲5の1)

「早いコはもう常連! このごろお気に入りのNEW SHO

P+何げに意外とOLなSHOP」という見出しの下,神戸,名

古屋及び東京の各ショップが紹介された2頁の記事の中で,原告

の店舗が,3つの神戸のショップの一つとして,「この店のイチ

オシはもちろんイプダ」として紹介された。

② JJ誌平成13年3月号(甲5の5)

「キレイなシルエットと女のコらしいデザインが欲しいなら-

可愛ゴーブランドへ急げ!」という見出しの下,4つのブランド

が紹介された2頁の記事の中で,原告ブランドが「関西で大ブレ

イクのクリアは通販もあり」として紹介された。

③ JJ誌平成13年6月号(甲5の8)

「ワンピース夏の大決戦」という見出しの下,「お嬢さんワン

ピ東西対決」とした2頁の記事の中で,原告ブランドのワンピー

スが,他の3ブランドとともに紹介された。

また,「…白シャツこれから買うなら襟がキレイに立つこの1

0枚!」という2頁の記事の中で,原告ブランドの白シャツが

- 43 -

「関西発クリア」として紹介された。

④ CanCam誌平成13年10月号(甲6の3)

「今一番『それどこの?』って聞かれる関西ブランド!! c

learの新作誌上通販しちゃいます!」とのタイトルの下,2

頁にわたり,原告ブランドの商品が特集された。この記事の中で

は, 原告について,「C a n C a m に出るたび問い合わせ殺

到!」,「去年からジワジワきていたclearブームがついに

爆発」などと記載されている。

平成19年(ワ)第3024号商標権侵害差し止めなど請求事件 22

⑤ JJ誌の別冊「可愛ゴーブック」平成13年12月発行(甲5

の15)

「可愛ゴーがよくわかるキーワード事典」という記事の中で,

「神戸ならではの品揃えが魅力のショップ」の一つとして,原告

の店舗が,他の店舗とともに,「神戸ガールのツボをしっかりお

さえたオリジナルやセレクトものが確実に手に入る頼もしいショ

ップです。」として紹介された。

また別の記事中では,他の店舗と並んで,「関西一のカリスマ

ショップ」として原告の店舗が紹介された。

⑥ JJ誌平成14年4月号(甲5の19)

「2002年改訂版JJ用語大辞典」という記事の中で,

「JJ読者の©を掴んで離さないショップ&ブランドを厳選」と

して,「関西発SHOP」の中で,原告が「安可愛なオリジナル

からインポートまで,お嬢さんぽいアイテムがいっぱいのセレク

トショップ」として紹介された。

⑦ JJ誌平成14年10月号(甲5の25)

「あのスタイル美人ブランドのプレスが自ら着て証明これが

『Sのコにこそ着てほしい』ウチのジャケット」の見出しの2頁

- 44 -

の記事の中で,7ブランドの一つとして,原告ブランドのジャケ

ットが紹介された。

⑧ ViVi誌平成15年3月号(甲7の9)

「有名読者モデルがバイトでショップスタッフをしている絶

対行くべきOSAKA KOBEカリスマ8SHOP」という2

頁の記事の中で,原告が8店舗の1つとして紹介された(なおこ

こで紹介される原告のスタッフであるCは,「D」と呼ばれてフ

ァッション誌に頻繁に登場する読者モデルでもある。)。

⑨ ViVi誌平成15年8月号(甲7の12)

「名古屋出身2人の大好きSHOPツアー」の見出しの2頁の

記事の中で,名古屋地区の他の10店と並んで,原告が,「関西

カリスマショップが名古屋に!」として紹介された。

⑩ ViVi誌平成16年4月号(甲7の18)

「神戸ガールズのミニスタイル速報」の見出しの下,関西2大

カリスマショップの一つとして,原告が,「関西読者の人気No.

1ショップ」と紹介された。

c その他,原告は,平成14年以降の「JJナイトイン大阪」,

「JJナイトイン神戸」,「神戸コレクション」(毎年2回開催さ

れる),「スパイガールファッションショー」といったファッション

ショーに出展する(甲22ないし32,41,42[いずれも枝番含

む]), 平成1 4年及び1 8 年に関西のテレビ番組中で紹介される

(甲33,37),平成14年以降の各地の大学の学園祭に協賛する

(甲44の各号),平成15年秋ころの「リーバイス」や平成18年

の花王の制汗剤「8×4」との共同企画(甲7の14,甲36)など

他のブランドとの共同企画商品を開発する,平成16年3月に「ディ

ベロッパーが選んだテナント大賞」の敢闘賞を受賞する(甲34の各

- 45 -

号)などの活動を展開した。

また,平成15年3月に原告が初めて名古屋に出店した(名古屋丸

栄百貨店)際には,開店初日は雨の中開店前から2000人が並び,

入店制限が続く状態であり,売上げは開店から2日間で3000万円

に達したと報じられた(甲18,19)。

平成19年(ワ)第3024号商標権侵害差し止めなど請求事件 23

d 原告ブランドのデザイン上の特徴は,「神戸エレガンス」,「神戸

系」などと称されている。「神戸エレガンス」とは「上品で綺麗に着

こなすファッション」とされ,「神戸系」とは,「華やかな巻き髪に

赤い花柄ワンピースといった,仕事にはやや派手なスタイルが中心」

のファッションであるとされ,平成12年ころからJJ誌が提案して

流行したファッションであった。原告ブランドも,JJ誌上で,「可

愛ゴー」を代表する店舗ないしブランドとして取り上げられている

(前記b② ⑤ など。なお,「可愛ゴー」とは,「可愛くてゴージャ

ス」の略称であり,「女らしくて上品かつ華やかなスタイル」とされ

る[甲5の15]。)(甲60,76の各号,87,乙40)。

() 被告及び被告ブランドについて

a 被告は,昭和55年に設立された会社であり,被告ブランドのほか,

「INED」,「Le souk」,「ef-de」,「chereau

x」,「en quete」等の合計17ブランドを展開している。

平成16年度の被告全体の売上高は約574億円で,うちレディス関

係の売上高が約548億円である。業界紙である繊研新聞社が発行す

るファッションブランドガイド「SENKEN FB2004」によ

れば,被告のレディス関係の売上高は,日本で第8位とされている

(乙1,乙82)。

被告ブランドは,平成16年9月から,従来存したブランドの「エ

・ピウス・プレイス」をリニューアルする形で展開された(乙52)。

- 46 -

展開当初の店舗は,北海道から沖縄まで35店舗であったが,平成1

8年2月には44店舗,平成19年2月には59店舗となった(乙8

8の1 。被告ブランド) は,都市型のターミナルビル,ファッション

ビル等に設けられた専門店で販売されているが,残っているエ・ピウ

ス・プレイスの専門店でも販売されている(甲78の各号,乙88の

2)。

被告ブランドの売上げは,平成17年2月期が約23億円,平成1

8年2月期が約51億円,平成19年2月期が約66億円であった

(乙86)。

平成19年2月期に被告が被告ブランドのために支出した広告宣伝

費は,8826万円であった(乙2)。

b 被告ブランドは,平成16年10月以降,JJ誌(乙100の1に

し32),CanCam誌(乙101の1ないし22),「LUCI」

(乙102の1ないし8),Ray誌(乙103の1ないし19),

「With」(乙103の1ないし19),「MORE」(乙105の

1ないし16),「Oggi」(乙106の1ないし10),「Doma

ni」(乙107の1ないし3,乙114),「style」(乙10

8の1~13),「ef」(乙109の1ないし17),「Vingta

ine」(乙110の1ないし5),CLASSY誌(乙111の1

ないし8),ViVi誌(乙112の1ないし8),「BOAO」(乙

113の1ないし3)といったファッション誌において,次のように

掲載され,紹介された。

() モデルが掲載写真中で着用する被服等に使用されるとともに,

当該商品の提供元として表示されたもの

この形態での掲載紙,掲載号,掲載商品数は,別紙2のとおりで

ある(乙72)。

- 47 -

() 被告ブランドについての特集記事が掲載されたもの

この形態での掲載紙,掲載号は別紙2のとおりである(乙72)。

これらはいずれも先に述べたタイアップ広告であり,JJ誌平成

18年4月号から同年12月号については,プリンセス通勤のコン

セプトの下,被告標章1ロゴが使用されている。

() 被告ブランドの商品が編集記事の中で掲載されたもの

これには次のものがある。

① Domani誌平成17年6月号(乙107の1)

「Hさんrecommends! 『感動価格』アイテムに必

ず出会えるDomani的新顔4ブランド」という1頁の記事中

で,他の3ブランドとともに被告ブランドが紹介された。

② CanCam誌平成18年8月号(乙101の18)

「小悪魔かわいいマッキーOL プリプラアイテム厳選10」

として,被告ブランドのリボン付きカゴBAGが紹介された。

③ Ray誌平成18年10月号(乙103の16)

「人気8ブランド発OL style」の見出しの2頁の記事

で,被告ブランドが紹介された。

平成19年(ワ)第3024号商標権侵害差し止めなど請求事件 24

() 被告ブランドの1頁広告が掲載されたもの

JJ誌平成17年5月号(乙100の6),同平成18年11

月号(乙100の22)などがある。

c これ以外にも,被告ブランドは,被告のホームページやリーフレッ

トに掲載されたほか(乙122,123),その出店するビルの広報

リーフレット・パンフレット・ホームページに掲載され(乙117,

119,123,124),それらビルが主催するファッションショ

ーに出展するなどした(乙118)。

また,被告ブランドは,平成16年9月以降,ドラマ「ホットマン

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2」等の数多くのテレビ番組において女優が着用する衣装として使用

された(乙120,121)。

d 被告ブランドは,ファッション誌におけるタイアップ広告のタイト

ルが「今の時代OLは『ソフトコンサバ』服」(JJ誌平成16年1

1月号・乙100の2),「通勤フェミニン派のきれい色プラン」(J

J誌平成17年4月号・乙100の5),「お嬢さまOL『プリ通』

の極意」(JJ誌平成18年4月号・乙100の15)等とあるよう

に,「基本的にはコンサバティブでシック,洗練された上品さのテイ

スト」(乙53)を主眼としている。この点では,CanCam誌が

「神戸系」に対抗して平成14年10月号から打ち出した「東京エレ

ガンス系」という「会社に着ていけるモテ服」に近い(乙40)。

() 原告ブランドと被告ブランドとの混同,被告ブランドの略称表記の

事例について

a 原告の調査によれば,平成19年3月までの間に原告の店舗に被告

ブランドの問合せがされた件数は,少なくとも18件であった(甲4

9)。

また,平成18年11月9日には,原告の通信販売部門に対して被

告の商品の問合せをしてきた客があった(甲68)。

さらに,「F」と題する個人ブログの平成18年10月24日の欄

には,被告ブランドについて,「初めてこのお店見た時クリアの系列

店かと思ってた。フランドルなのね汗」との記載があった(甲69)。

b ソーシャルネットワーキングシステム「mixi」の「CLEAR

IMPRESSIPON」のトピックの中で,平成18年8月11

日から平成19年5月24日にかけて,被告ブランドのことを「クリ

ア」と呼んでいる書き込みが多数見られた(甲63の各号)。

また,ヤフーオークションで被告ブランドの商品を出品する表示に

- 49 -

おいて「クリアCLEAR , IMPRESSION」と表記するも

のが2例(甲64の各号),タイトルで「CLEAR」と表記し,紹

介文で「CLEAR IMPRESSION」と表記するものが2例

(甲65の各号),「CLEAR(フランドル)」と表記するものが1

例(甲66)あった。

また,「G」と題する個人ブログの平成19年6月20日の欄には,

被告ブランドについて,「Clear Impression」と

「クリア」をとも共に表記する例があった(甲67)。

また,平成19年10月19日に原告従業員が被告が経営する「エ

・ピウス・プレイス」明石ビブレ店を訪れたところ,同店舗でも被告

ブランドの商品を取り扱っており,同店舗の店員が被告ブランドのこ

とを「クリア」と呼んでいた(甲78の1)。

c 他方,ヤフーブログで「クリアインプレッション」の語を検索した

ところ,25件の記事があった。また,Googleブログ検索で

「クリアインプレッション」の語を検索したところ,約365件のブ

ログ(ただし相当数は事業者によるものと思われる。)があった(乙

125)。

平成19年(ワ)第3024号商標権侵害差し止めなど請求事件 25

() 原告ブランド及び被告ブランド以外における「clear」ないし

「クリア」の使用例について

a 平成19年5月29日時点で,「clear」「CLEAR」を語

頭に有する登録商標及び商標登録出願は全区分で合計811件(乙

8),「クリア」を語頭に有する登録商標及び商標登録出願は,全区

分で合計936件(乙9)存在する。

また,被服や服飾品を指定商品に含む商標では,「clear-f

ort」(平成19年3月30日登録。乙67の各号。その実際の使

用状況として乙68。),「クリアスカイ」(昭和61年6月27日登

- 50 -

録。乙69の1。その実際の使用状況として乙69の2)があり,こ

のほかに,被告の関連会社である株式会社イネドが有する「CLEA

RIMPRESSION 」(登録日平成16年8月20日。甲81の

各号)がある。

なお,株式会社イネドは,平成18年11月7日及び平成19年4

月1日に被告標章2を商標登録出願したが,前者の出願に対して特許

庁は,平成19年8月30日,被告標章は原告との間で出所について

誤認混合を生じさせるおそれがあること(商標法4条1項15号)及

び本件原告商標等と類似すること(同4条1項11号)を理由として

拒絶理由通知が発した(甲88の各号)。

b 一般のブログにおいて,「クリア」の語は,「2つの目標をクリ

ア」,「ここまでの条件をクリアしたら」というように,目標を達成

することの意味で用いられることが多い(乙125)。

また,ファッション誌において「クリア」の語は,「クリアアク

セ」,「クリアな石」,「クリアーなイメージのあるニット」などのよ

うに,「透明な」,「透明感のある」という意味で用いられている(乙

55の各号)。

イ上記ア()で認定した事実によれば,原告ブランド及びその店舗は,平

成12年3月に登場した後,折からの「神戸エレガンス」「神戸系」ファ

ッションの流行に乗る形で,同年12月以降,大手のファッション誌で頻

繁に紹介されるようになり,それらファッション誌の独自記事の中で,

「関西で大ブレイク」とか「関西カリスマショップ」などとして紹介され

るに至り,原告店舗での売上高も,他ブランドを含め平成12年度(初年

度)の3億円が翌平成13年度には3倍以上の11億円,さらに平成15

年度には更に約2倍の20億5000万円と急激に増加したことが認めら

れ,これらの事実によれば,遅くとも被告ブランドの商品の販売が開始さ

- 51 -

れた平成16年秋の時点では,上記ファッション誌の主たる読者層である

10代後半から20代前半の女性の間において,「Clear」との原告

店舗の名称は,関西地方にある「神戸エレガンス」「神戸系」のセレクト

ショップとして,また原告ブランドは,その原告が提供する服飾のブラン

ドとして,広く知られるに至っていたと認められる。

これに対し被告は,原告は原告ブランドの専門店ではなく他ブランドの

商品も取り扱うセレクトショップであること,本件原告商標が日本国周知

著名商標集に登載されていないこと(乙19),原告や原告ブランドが繊

研新聞社が発表する各年のレディスアパレル業績ランキングやブランド年

鑑に掲載されておらず,アパレル業界の売上高ランキングでは180~2

00位程度に対応する売上高にすぎないこと(乙29ないし39,70),

広告費も少額であること,雑誌で取り上げられたといっても多数掲載され

る商品の一提供元として小さく表示される例が多いこと,原告の店舗展開

は関西を中心にしているにすぎないこと等を指摘して,原告ブランドの周

知性を否認する。

しかし,被告が指摘する売上高や広告費の多寡は,ブランドの周知性を

検討する一資料にすぎず,絶対的なものではない。日本国周知著名商標へ

の登載の有無も同様である。前記のように原告ブランドは,JJ誌,Ca

nCam誌,ViVi誌等の最大手のファッション誌の独自記事で広く取

り上げられており,その取り上げ方も,単に掲載商品の提供元というだけ

でなく,原告の店舗と原告ブランドの双方に注目し,積極的に読者に紹介

する形で大きく取り上げられることも多い。このように一つならぬ大手フ

ァッション誌が,原告ブランド及びその店舗のことを独自に取り上げ,し

かも「関西で大ブレイク」とか「関西カリスマショップ」といった読者の

目を惹く紹介の仕方をしており,それに対応して売上高も急速に伸びたこ

とからすると,原告ブランド及びその店舗の双方は,それらファッション

- 52 -

誌での紹介を通じて,急速に需要者の間に知られるようになったものと認

めるのが相当である。

もっとも,それら雑誌での原告ブランドの紹介のされ方は,ほとんどの

場合「関西のブランド」と, しての紹介をされており,店舗展開も主とし

て京阪神地区(一部名古屋地区も)にとどまっており,そのファッション

も「神戸エレガンス」,「神戸系」に分類されている。また,原告ブラン

ド自身が紹介されることも多いが,他ブランドの商品も扱うセレクトショ

ップとして紹介されることも多い。このことからすると,原告ブランドは,

前記認定のとおり,関西地方にある「神戸エレガンス」,「神戸系」のセ

レクトショップ及びそこが提供する服飾のブランドという個性をもって,

広く知られるに至っていたものと認めるのが相当である。

ウそこで次に,上記のように原告ブランドが広く知られていることから,

被告標章2ないし5の要部が「CLEAR」であると認められるか