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平成20年2月7日判決言渡同日原本交付裁判所書記官
平成19年(ワ)第3024号商標権侵害差し止めなど請求事件
口頭弁論終結日平成19年12月10日
判決
大阪市
〈以下略〉
原告ヴイグ株式会社
訴訟代理人弁護士●●
訴訟代理人弁理士●●
●●
補佐人弁理士●●
東京都港区
〈以下略〉
被告株式会社フランドル
訴訟代理人弁護士●●
●●
訴訟代理人弁理士●●
補佐人弁理士●●
主文
1 被告は,洋服,コート,セーター類,服飾雑貨,帽子,身飾品,靴,
ハンドバッグ,袋物の商品広告に別紙標章目録記載1の標章を付して
- 2 -
展示若しくは頒布してはならない。
2 被告は,原告に対し,300万円及びこれに対する平成19年3月
27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用はこれを100分し,その98を原告の,その余を被告の
各負担とする。
5 この判決の第1項及び第2項は,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求の趣旨
1 被告は,洋服,コート,セーター類,服飾雑貨,帽子,身飾品,靴,ハンド
バッグ,袋物に別紙標章目録記載の各標章を付し,又は同標章を付した商品を
販売し,販売のために展示してはならない。
2 被告は,洋服,コート,セーター類,服飾雑貨,帽子,身飾品,靴,ハンド
バッグ,袋物の包装,商品宣伝用のカタログ,商品パンフレット,雑誌に別紙
標章目録記載の各標章を付して展示若しくは頒布し,又は上記商品に関する広
告を電磁的方法によって行ってはならない。
3 被告は,その店舗及び被告の事務所,倉庫に存在する別紙標章目録記載の標
章を付した商品及びこれに関する宣伝用のカタログ,パンフレット,ホームペ
ージ等から別紙標章目録記載の各標章を抹消するとともに,同商品を販売する
店舗の看板その他営業表示物件から同標章を抹消せよ。
4 被告は,原告に対し,1億5000万円及びこれに対する平成19年3月2
7日(本件訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を
支払え。
5 訴訟費用は被告の負担とする。
6 仮執行宣言
第2 事案の概要
- 3 -
本件は,後記商標権を有して,後記登録商標を自己の商品等表示として使用
する原告が,①被告が使用する後記被告標章は原告の登録商標と類似する(商
標権侵害),②後記登録商標は原告の商品等表示として周知性を有するところ,
被告が使用する後記被告標章は原告の登録商標と類似し,原告の商品と誤認混
同を生じさせるおそれがある(不正競争防止法2条1項1号)と主張して,被
告に対し,(1)商標法36条1項又は不正競争防止法3条1項に基づき後記被
告標章を洋服等に付すること等の差止め(請求の趣旨1項及び2項),②商標
法36条2項又は不正競争防止法3条2項に基づき後記標章を付した商品等か
らの後記被告標章の抹消等(請求の趣旨3項),③商標権侵害の不法行為又は
不正競争防止法4条に基づく1億5000万円の損害賠償及びこれに対する平
成19年3月27日(本件訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の
年5分の割合による遅延損害金の支払を請求した事案である(商標権侵害に基
づく請求と不正競争防止法に基づく請求は,選択的併合の関係にある。)。
1 前提事実(争いがない。)
(1) 原告は,別紙原告商標権目録記載1及び2の各商標権を有している(以
下これらの各商標権を併せて「本件原告商標権」という。また,これらの各
商標権に係る各登録商標を併せて「本件原告商標」という。また,本件原告
商標を付した商品を「原告ブランド」又は「原告ブランドの商品」とい
う。)。
(2) 被告は,平成16年秋以降,洋服,コート,セーター類,服飾雑貨,身
飾品,ハンドバッグ,袋物に別紙標章目録記載2及び3の各標章(以下,別
紙標章目録1ないし5記載の各標章を「被告標章1」などといい,それらを
総称して「被告標章」という。)を付して販売している(乙100の15な
ど。被告標章を使用した被告の商品を「被告ブランド」又は「被告ブランド
の商品」という。)。
2 争点
- 4 -
(1) 商標権侵害関係
ア被告は被告標章1,4及び5を使用しているか。
イ被告標章は本件原告商標と類似するか。
(2) 不正競争防止法関係
ア本件原告商標は原告の周知な商品等表示か。
イ被告は被告標章1,4及び5を使用しているか。
ウ被告標章は本件原告商標と類似するか。
エ被告標章の使用により混同のおそれがあるか。
(3) 両請求共通
原告の損害額
第3 争点に関する当事者の主張
1 争点(1)ア(被告標章1,4及び5の使用)について
【原告の主張】
被告は, ファッション雑誌「J J 」( 光文社発行。以下「JJ 誌」とい
う。)上の被告ブランドの広告において,被告標章1,4及び5を使用した。
この点について被告は,それらの被告標章はJJ誌側が被告の関与なく掲載
したものであると主張する。しかし,これらはいずれも編集タイアップ広告で
あり,基本的に被告の関与のもとで作成されたものであることは明らかである。
また,仮にこれらが編集ページであり基本的には雑誌社の編集権限に委ねられ
ていたとしても,被告は,その内容を事前に確認し,ロゴの形状を指示し得る
立場にあったのであるから,JJ誌にこれらの標章が掲載されたことは,被告
自身が使用したものにほかならないか,少なくとも被告自身による使用と同視
し得るものである。
また被告は,被告標章1,4及び5は完全なロゴでないと主張する。しかし,
被告標章1及び4のロゴと「Princess Goes To Office」のロゴは,外観上,
文字の大きさや種類の差異,つる草模様状の線の存在によって明確に区別され
- 5 -
る上,被告標章1及び4は「Princess Goes , To Office」のロゴと異なり,
被告ブランドの広告のために使用されている点で機能的にも異なる。仮に被告
標章1及び4が「Princess Goes To Office」と一体の標章であると考えたと
しても,後記争点(1)イのとおり本件原告商標が著名又は周知である以上,こ
れらの要部が「CLEAR」の部分であることに変わりはない。また,被告標
章5の左又は右上に付された「JJ×」のロゴは,JJが独自に使用している
ものであり,JJの読者が見れば,被告標章5とは別個の表示であるとすぐに
分かるものである。したがって,被告の上記主張は失当である。
【被告の主張】
被告が被告標章1,4及び5を使用した事実はない。
被告標章1,4及び5は,いずれもJJ誌において,被告ブランドの特集記
事の体裁をとった有料タイアップ広告の中で掲載されたものである。このよう
な特集記事の体裁のタイアップ広告においては,ブランドのロゴ態様を含め,
内容をどのように構成するかの主導権は全面的に雑誌社にあり,アパレルメー
カーは洋服等の提供ができるにすぎないのが慣例であり,上記タイアップ広告
でも同様である。
JJ誌は,上記タイアップ広告を,平成16年ころから若い女性のファッシ
ョンの主流となったいわゆる「東京エレガンス系」のイメージに沿って,同誌
が独自に企画した「プリ通(プリンセス通勤の略)」をコンセプトとして構成
しており,そのため被告標章1及び4は,その下に中央飾りラインとこの特集
標題の英訳たる「Princess Goes To Office」をその下側に付する形が完全な
ロゴであり,被告標章5は,その左側もしくは右端上に,「JJ×」を付する
形が完全なロゴであって,いずれも正確な摘示の方法ではない。
2 争点(1)イ(類似性)について
【原告の主張】
(1) 本件原告商標の周知性について
- 6 -
原告は,平成12年3月,大阪心斎橋に「clear」を商号とする店舗
を開店して,原告ブランドの商品の販売を始めたが,神戸の上品なテイスト
のブランドを目指し,オリジナル性を追求するとともに,10代から30代
の女性のニーズを徹底的に分析した上で良質な商品を提供してきた。そして,
原告ブランドは,ほどなく各種の人気女性ファッション誌に毎号のように商
品が掲載されるようになり,関西を代表する人気ブランドとして10代後半
から30代前半の女性を中心に全国的に大人気となった。このように本件原
告商標は,少なくとも被告が被告標章の使用を開始した平成16年ころには,
全国の消費者の間で10代後半から30代前半の女性に絶大な人気を誇る原
告ブランドを表示するものとして広く知られるようになった。
原告ブランドの周知性を基礎付ける事情は,具体的には以下のとおりであ
る。
ア原告ブランドに関する宣伝・広告についての事情
(ア) 雑誌への掲載
平成12年夏,原告ブランドが10代から30代の若い女性を読者層
とするファッション雑誌であるJJ誌(光文社発行,発行部数約36万
部,平成14年時70万部。)や「CanCam」(株式会社小学館発
行,同年の発行部数71万部。以下「CanCam誌」という。)に取
り上げられて大反響を呼び,問合せの電話が殺到するなどして大人気と
なった。その後は,上記ファッション誌のみならず,「Ray」(株式
会社主婦の友社発行,現在発行部数24万部。以下「Ray誌」とい
う。),「ViVi」(株式会社講談社発行,現在発行部数45万部。以
下「ViVi誌」という。),「CLASSY」(光文社発行,現在発行
部数21万部。以下「CLASSY誌」という。)等の女性ファッショ
ン雑誌に毎号のように商品が掲載されるようになり,時には1頁に大き
く特集が掲載されるようになった。例えば,平成13年12月には別冊
- 7 -
JJ誌の「可愛ゴーキーワード事典」に「clear(クリア)」が載
り,「神戸ガールの好みのツボをしっかりおさえたオリジナルやセレク
トものが確実に手に入る頼もしいショップです。オリジナルは安可愛な
のもなお嬉しい。」と紹介されたり,JJ誌平成14年4月号では「J
J用語」大辞典の中で,「JJ読者なら常にチェックすべきショップ8
店」に選ばれるなど,関西を代表するブランドとして,10代後半から
30代前半の女性を中心に全国的なブームとなった。また,平成13年
以降,光文社発行の雑誌「JJ Bis」(以下「JJbis誌」とい
う。)に取材協力費を支払って毎号原告ブランドの商品を掲載した。
ファッションに関心の強い10代から30代の女性の多くはこれらの
ファッション雑誌を購読し,気に入った商品やブランドを確認してから
実際の購入のために店に足を運ぶというのが実情なのであり,いうまで
もなくこれらのファッション雑誌は全国の読者に対し極めて強い影響力
を有している。しかも,原告ブランドが掲載されている記事のほとんど
は広告記事ではなく,雑誌社が自らの判断で読者の関心が高いと思われ
る商品・ブランドを取り上げて掲載する,いわゆる「編集ページ」に係
るものであり,広告記事に比べ客観性が高く説得力があるため,読者の
関心も広告記事よりも高く,継続的に掲載された場合には広告記事より
も宣伝効果が高い。
なお,雑誌記事の中には,被告が主張するように原告が経営するセレ
クトショップに関するものもあるが,原告ブランドの商品の大部分は原
告の店舗で販売されるのであり,セレクトショップとしての「clea
r」の名称がこれらの記事により読者に広く認識されることになること
により,ひいては原告ブランドが著名性・周知性を獲得することに大い
に貢献しているのである。なお,原告における原告ブランドの商品とそ
の他のセレクト商品との売上げの割合は各年度によってかなりばらつき
- 8 -
があるが,平成14年以降は概ね8:2~6:4であり,常に原告ブラ
ンドの商品の方が他ブランドの商品よりも売上げが上回っている状況で
ある。また,雑誌記事の中には,原告が原告ブランドの姉妹ブランドと
して展開する「clear crea」等の商品が掲載されたものもあ
るが,これらの記事も読者の目に触れることにより少なからず原告ブラ
ンドの著名性・周知性獲得に貢献しているといえる。
また,雑誌記事の中には,被告が主張するように原告ブランドの商品