知的財産権やビジネス・企業法務Q&A続々更新!大阪弁護士会所属弁護士川内康雄 顧問弁護士
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2006年10月の17件の記事

平成20年(行家)第10023号審決取消請求事件8

(5) 原告は,英国,米国などで本願商標を付した化粧品等を販売し(甲12,

13,62),また,海外のリゾート施設において本願商標を付したエステティッ

ク美容等が行われている(甲45,46)が,我が国では,一部のホテルにおいて

原告製品が備品として利用されているものの,原告が関与する形での販売がされて

おらず(甲32,33,38),原告が関与する日本語のウェブページも存在しな

い。

そして,原告製品や役務について記載されている日本語のウェブページは,原告

製品が備品として置かれていたホテルに宿泊した者が,個人的にブログで取り上げ

たり,その入手方法を尋ねる,原告製品を入手した個人等がネットオークションで

これを売却しようとする,又は海外のエステティックサロン等の紹介文中に原告製

品や役務が記載されているなどというものである(甲33~35,37~45)。

(6) 以上のとおり,①本願商標は,「Elemis」の欧文字から普通に用いら

れる方法の範囲内のものであって独創性の程度が低いこと,②本願商標の6文字中

の冒頭から5文字は,エッセンシャルオイルであるエレミ油を表す語として用いら

れ,平成17年時点においても,アロマテラピーや化粧品に関心のある者において

は,エッセンシャルオイルや香水等の原材料として,「エレミ」,「Elemi」が

- 30 -

周知性を有していたこと,③エレミ油の容器上のラベルにも,「ELEMI」,「E

lemi」との表示が顕著にされているものがあること,④「Elemi」と本願

商標「Elemis」とは,単語の末尾の「s」の有無という点において異なるが,

両者は,本願商標6文字のうち冒頭からの5文字までが共通し,また,本願商標の

構成中語尾の「s」の文字は,英語の複数形を表すときに語尾に「s」を付すこと

が一般的に行われているものであることやその発音において最も弱く発音される部

分であること,⑤我が国では,原告製品は正式に販売されていないこと,⑥原告製

品や役務について記載された日本語のウェブページは,個人的なものが中心であり,

原告製品や役務が広く知れわたっていることを示すものとは考え難いこと,⑦エレ

ミ油は,本願の指定商品中の「エッセンシャルオイル,香料類」に含まれ,同商品

中の「香水類,その他の化粧品,石けん類」の原材料に当たり,本願の指定役務中

の「エステティック美容,アロマテラピー」の提供の用に供する物に当たることな

どの事情が認められるのである。

そうすると,本願商標登録出願の査定時である平成17年時点において,本願商

標を,その指定商品中の「エッセンシャルオイル,香料類,香水類,その他の化粧

品,石けん類」又はその指定役務中の「エステティック美容,アロマテラピー」に

使用したときは,これに接するアロマテラピー,化粧品に関心のある取引者,需要

者は,本願商標からエレミ油又はその原材料を認識し,商品の品質,原材料又は役

務の質等が表示されているものと認識理解すると考えられ,本願商標は,自他商品,

自他役務の識別標識としての機能を果たさないものといえる。

したがって,本願商標は,法3条1項3号に該当するものといえる。

(7) なお,原告は,平成18年2月に実施された化粧品やエステティック美容

の主たる需要者である20歳代から40歳代の女性を対象にしたアンケート(甲1

4)の結果によれば,①第1問「Elemisについて知っていることは?」に対

して,「特になし」という回答が89.0%と最も多いが,「化粧品・エステのブラ

ンド」として「Elemis」を認識しているものが10.33%も存在しており,

- 31 -

本願商標は,少なくとも当該分野における主たる需要者の間では,平成18年2月

の時点で既に1割強の認知度を獲得していること,②第2問「Elemisの表示

から連想するものは?」に対し,「特になし」という回答が63.33%に減った

一方,「化粧品・エステのブランド」という回答が33.67%に増加しており,「E

lemis」を知らない者でも,これに何らかの意味があるとするならば,「化粧

品・エステのブランド」であろうと連想するものが数多く存在すること,③第3問

「エッセンシャルオイルのエレミ油を知っていますか?」に対し,これを認識する

者はわずか4.00%にすぎず,残りの96.00%であるほとんどの者が「エレ

ミ油」など知らないと回答していることから,本願商標に対する需要者の認識は,

ほとんど「エレミ油」とは関係のないところにあり,むしろこれを原告のブランド

と認識している者の方がはるかに多い旨主張する。

しかしながら,同アンケートは,懸賞サイトの会員のうちの20歳代から40歳

代の女性300人を対象とし,インターネットを通じて指定の画面でボタンをクリ

ックして一方的に回答する形式のものであって(甲14,50),その回答の正確

性の検証が必ずしも十分とはいえない上に,各質問に対する選択肢がわずか2ない

し3しかなく,第1問,第2問中には「化粧品・エステのブランド」という選択肢

があって,回答者としてその選択肢の中で推測することによる誘導のおそれもある

と考えられること,他方,前記(1)イのとおり,インターネットの複数のショッピ

ングサイトにおける商品の紹介において,アロマテラピーに使用するエッセンシャ

ルオイルとしてエレミ油が紹介されており,また,香水等の原材料として「エレミ」

が表示されていることなどに照らすと,同アンケートの結果をもって,本願商標に

対する需要者の認識は,ほとんど「エレミ油」とは関係のないところにあり,むし

ろこれを原告のブランドと認識している者の方がはるかに多いと速断できるという

ものではなく,原告の上記主張は採用できない。

元請け名義での営業行為:顧客との対応を下請に行わせるときに、自社の名刺を持たせ、自社の名義で対応させるのは法的に問題が生じますか?下請が顧客に訴えられることはありますか?

顧客との契約中に再委託についての禁止条項がある場合には、下請にこのような行為を行わせると契約違反となります。逆に許容する旨の条項がある場合には、通常は契約違反にはなりません。どちらとも規定されていない場合には、契約の趣旨からして、その業務について自社が直接取り扱うことを前提としていたか否かによります。
下請が訴えられる可能性が生じるのは、まず自社において契約違反が生じていることが前提です。そして下請が業務を遂行したことによって、顧客に具体的な損害が発生し、下請に故意又は過失がある場合には、損害の賠償を請求するために顧客が下請を訴えることが可能になります。もっとも自社が直接業務を取り扱わなければならない特別の理由が存在していたような場合でなければ、顧客に賠償対象となるような損害が発生することは少ないでしょう。

小分け販売 : 大量に買った商品を小分けして売ってもいいですか?(しょうゆを1斗買って、1合ずつ小分けにして売る場合等)

自分が買った物を自分がどのように処分するかは自由です。
しかし商標がからむ場合にはかならずしもそうではありません。例えば某有名メーカーのしょうゆを小分けにして、「これは某○○の商品××のばら売りです」として売ってしまうと商標権の侵害となります。逆に単に「まとめ買いしたしょうゆのばら売りです」と言って売れば侵害となりません。
ちょっと変わった結論ですが、多くの裁判例が一致した結論を出しています。これは、商標権者は、当該商標を付された商品の上流から下流まで、商品の形態が一定であることを期待しており、その期待は法的に保護に値するからとされているからです。

並行輸入 : ある外国ブランドの商品について、国内の代理店ではかなり高価なのですが、本国の小売店ではかなり格安で販売されているのを発見しました。そこで本国の小売店で買って日本に輸入し、国内で販売するとビジネスになると考えているのですが、合法でしょうか。

こういった問題は、真正品の並行輸入という問題として論じられています。
商標法に直接の規定はありませんが、複数の裁判例が存在しており、一定の基準が示されています。
並行輸入が許される条件としては
①輸入する商品が真正な商品であること
②外国の商標権者と内国の商標権者が同一か、両社の間に法律的関係(代理店等)があること
③並行輸入品と内国で商標権者が頒布している商品が同一品であること
が挙げられています。
逆に並行輸入が許されない場合としては、
①国内において包装替えや詰め替えが行われた場合
②並行輸入品である旨の表示が十分でないなど、消費者の誤認を惹起する恐れがあるとき
③内国の商標権者が外国の商標権者とは無関係に、当該商標についての名声を得ている場合
が挙げられています。
御質問のような事例であれば、商品に何らの手を加えず、並行輸入品であるときちんと表示されているのであれば、合法となる可能性が高いでしょう。

債権回収代行:当社は日用品の卸売業者です。販売店向けのサービスとして、一般消費者からの料金の徴収代行を行いたいと考えています。何か届け出や資格が必要ですか?

債権の回収代行業務は一般的にファクタリングと呼ばれています。ファクタリングは、その対象となる債権が、一般の売掛債権であり、回収に際して債務者との紛争が全く発生していないものであれば、特に届出や資格は必要ありません。しかしリースが絡んだ債権やその他サービサー法(正式名称・債権管理回収業に関する特別措置法)に規定する特定金銭債権については、サービサーとして認可を受けた法人しか行うことができません。また債権者と債務者との間で何らかの紛争・争訟が発生している債権の回収は、弁護士法第73条により、弁護士でなければこれを行うことができません。

謝罪による責任発生の有無:お客様と何らかのトラブルが発生したとき、企業側が「申し訳ございません」等のお詫びの言葉を述べたとき、それが根拠となって法的な責任を負ったり、責任が拡大することはありますか

日本では企業と顧客(個人法人を問わず)との間でトラブルが発生したときに何はともあれ「申し訳ございません」とお詫びをお伝えするのは社会的な常識と捉えられています。そのためこの様なお詫びの言葉を口にした場合であっても、道義上または社会的儀礼上から述べたのみであって、法的な責任を認めたものではないとされることが通常です。当職が聞くところの訴訟の例でも、このようなお詫びの存在を裁判所は責任の根拠捉えることは希のようです。

平成20年(行ケ)第10025号審決取消請求事件2

() ウエスコット(被告は,同社の法務担当の従業員である。)が,

本件商標の通常使用権者として,本件商標を使用してきたことは,甲

8(平成19年7月4日付け審判事件弁駁書)における「さらに,日

本国内においては,従来から現在に至るまで,株式会社ウエスコット

が総代理店として,本件商標を使用してきたのであって,ドイツの法

人である被請求人は,専ら外国で本件商標の使用をしていたに過ぎま

せん。このことは,平成7年3月頃に,特許庁へ商品カタログを提供

するに際して,被請求人が商品カタログ等を所有していなかったため

に,株式会社ウエスコットが商品カタログを提供して特許庁に提出し

た事実からも明らかです。」との被告の主張からも明らかである。

この点について,被告は,平成11年(1999年)に,ボンテラ

・アメリカ・インク(以下「ボンテラアメリカ」という。)が買収さ

れて消滅した後は,ウエスコットは本件商標の通常使用権者ではない

と主張する。しかし,ボンテラアメリカは,本件商標の商標権者であ

る原告の関連会社であり,原告の代表者であるAは,ボンテラアメリ

カの役員でもあった。ウエスコットが本件商標の使用を平穏に継続で

きたのは,商標権者の許諾を受けたことに起因するのであり,かかる

- 5 -

事情はボンテラアメリカの存続のいかんに関係しない。

イインターネット上のウェッブサイトによる使用

審決は,インターネット上のウェッブサイト(甲3,4,6〔審決に

おける乙2,3,5〕参照)により,本件商標が継続的に使用されたと

の事実を否定した。

しかし,以下のとおり,審決の上記認定は誤りである。

上記の各ウェッブサイトが,本件審判請求の後に作られたものである

との証左はなく,これらのサイトに掲載された写真からも,本件商標の

指定商品が継続して販売されており,本件商標が当該商品について継続

して使用されてきたことは明らかである。

ウその他の主張

ウエスコットが,「ボンテラアメリカの総代理店」として本件商標の

使用を継続的に行ってきたことは,被告の提出に係る乙5(国土交通省

が管理する新技術情報提供システム(NETIS)に登録された技術名

称「ボンテラ」の掲載ページ)の記載からも明らかである。

(2) 取消事由2(権利濫用に関する判断の誤り)

審決は,本件審判の請求が権利の濫用であるとすべき事情は認められな

いと判断した。

しかし,以下のとおり,審決の上記判断は誤りである。

ウエスコットは,本件商標を付した商品を,「輸入総代理店(総輸入

元)」と称して,日本国内で販売し続けていたにもかかわらず,①ライセ

ンス料の支払を免れるとともに,②別紙商標目録2記載の構成の商標につ

いて,自ら商標登録を受けるため,登録出願(商願2007-5969

号,以下「別件出願」という。)をし(甲9),③原告による日本国内で

の商標の使用を妨げることを意図して,その従業員である被告に本件審判

を請求させたものであり,かかる行為は,公正な取引秩序を乱し,公序良

- 6 -

俗に反するものである。

したがって,被告の本件審判請求は,権利の濫用に該当するというべき

である。

なお,被告は,登録商標の不使用による取消審判は何人も請求すること

ができるから,権利の濫用に該当しない旨主張するが,上記のとおり,本

件審判請求については,これを権利の濫用とすべき格別の事情があるか

ら,被告の主張は失当である。

商標移転 : 商標の譲渡を受けた後に、第三者に二重譲渡される危険はありますか。

民法上、不動産については二重譲渡の可能性が存在しています。不動産の譲渡は意思表示だけで行うことができ、二者以上に対して不動産の譲渡を行った場合には、最初に登記の移転を受けた者が所有権を確定的に取得できるという仕組みになっています。
これに対して、商標の場合は、民法上の不動産について問題となるような二重譲渡は発生しません。商標法上、商標権の譲渡は登録されて始めて効力を生じます。譲渡が二重に登録されることはありませんから、有効に譲渡を受けることができるのは一の当事者のみと言うことになります。
もっとも商標の譲渡契約後、移転登録前に、第三者に別途移転する契約がなされ、第三者への移転登録が先に行われると、その第三者が商標権を取得することになります。この意味では、民法上の不動産の権利関係と類似していると言うこともできるでしょう。

専用使用権設定 : 商標のライセンスを受ける際に、他社がライセンスを受けられないようにする手段はありますか。

商標権を有している者から独占的なライセンス権を取得した場合には、商標権者に対し「他の第三者にライセンスするな」という請求を行うことができます。
もっとも商標権者がこれを無視してライセンスを設定してしまったときに、後からライセンスを受けた者に対して、「その商標を使うな」と請求することはできません。できるのは商標権者に対しライセンス契約違反の責任を問えるのみです。
しかしそれでは「独占的ライセンス」の実効性を担保することができません。そこで商標法には専用使用権の設定が認められています。専用使用権は、専用使用権を設定する旨の契約を商標権者と結んだ上で、特許庁に登録することでその効力が発生します。
専用使用権が効力を発生した後は、専用使用権者は商標権者と同等の権利を行使することができます。商標権を侵害する者があれば、自ら差止請求や損害賠償請求を行うことができます。

著作物の名称と商標:当社はレコードを含む商品分類にてある商標を登録しています。当社のこの登録商標と同一の名前が付されたレコードを発見したのですが、これを差し止めたり、損害賠償を求めることは可能でしょうか?

著作物のタイトルが商標権を侵害するかどうかについてはいくつかの裁判例があります。これらの裁判例では、結論を導く理論は若干異なっていますが、いずれも、商標権は著作物のタイトルに及ばないとしています。最近の裁判例である東京地方裁判所は平成7年2月22日判決「UNDER THE SUN」事件では、「出所表示機能,自他商品識別機能を有しない態様で使用されていると認められる商標については」「商標権の禁止権の効力を及ぼすのは相当ではない」とし、問題となったCDアルバムについて「編集著作物である本件アルバムに収録されている複数の音楽の集合体を表示するものにすぎず,有体物である本件CDの出所たる製造,発売元を表示するものではなく,自己の業務に係る商品と他人の業務に係る商品とを識別する標識としての機能を果たしていない態様で使用されている」として、商標権侵害を否定しています。
そのため単にアルバムのタイトルとして登録商標と同一の商標が付されているという場合においては、商標権の侵害は認定されないでしょう。この程度を越えて、例えばシリーズ物の名称として使用されていたり、CDのブランド名として使用されたりしている場合には、商標権侵害と認められる可能性があります。

賃貸人の地位の移転:賃貸オフィスに入居しているのですが、家主の経済的な状況が思わしくないようで、賃料を差押命令が来ました。今後もしかするとビルが転売されて家主が変わる可能性があると思っています。その際に保証金は新しい家主から返してもらえるのでしょうか。

賃貸物件が譲渡された場合には、賃貸人としての地位が移転し、保証金についても新しい家主に返還を請求することができます。
ただし物件の譲渡前に元の家主が破産や民事再生などの倒産手続きを行った場合には、保証金の返還請求権は一般破産債権となりますので、実際には返還を受けることが困難です。また賃借権が抵当権などの担保権に劣後する関係で、退去を強制されたくなければ保証金を入れ直せと要求されてしまう場合があります。
そのため家主がこれらの倒産手続きに入りそうかどうかは十分に注視しておくべきでしょう。

賃貸借:土地の賃貸借に関して訴訟となり和解により終結しました。和解条項中、一時金と敷金を確認するものがあります。これらの一時金や敷金は、賃貸借終了後返還されますか?

一時金や敷金の法的な意味の解釈は、土地土地によって異なることがありますが、一般的には、一時金は返金しない、敷金は返金しないという判断となるでしょう。特に和解条項にて差し入れ金をあえて2種類規定しているということは、通常、合理的な意思解釈としては、一方は返金せず、一方は返金するという意味を持っていると判断することになります。

平成15年改正破産法:新しい破産法の公式な解説は存在していますか?

法務省による新法の概要が公表されています。
http://www.moj.go.jp/HOUAN/houan25.html

電話勧誘販売 : 当社は幼児用教材の販売を行う会社ですが、電話にて見込み客に営業をかけています。電話する際、最初から勧誘目的や会社名を告げると警戒されてしまいますので、アンケートと言って探りを入れているのですが、問題はないでしょうか。

特定商取引法第16条は下記の通り規定しています。

(電話勧誘販売における氏名等の明示)
第十六条 販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘販売をしようとするときは、その相手方に対し、販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称及びその勧誘を行う者の氏名並びに商品若しくは権利又は役務の種類並びにその電話が売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げなければならない。

御社の営業方法は「電話勧誘販売」の定義に該当する可能性が高いですから、氏名や電話した目的等は開示しなければ違法となります。真にアンケート目的であれば別ですが、物品の販売意思を併有している場合には、この条項の適用対象となるでしょう。

契約の成立・約款論:当方プリペイドカードの販売を行っています。偽造カードよる詐欺多発しているため、発行元より、「返品は約款上いたしかねます。返品をご希望の際には発行元にご連絡ください」と告知するように指導がありました。このような告知は有効なのでしょうか。また返品の要求を拒むことは可能でしょうか。

定型的に行われる物品やサービスの提供に関する取引条件の確定のために約款を作成するということがよく行われています。このような約款の有効性については裁判でも多く争われていますが、多くの事例では、約款が無効と判断されています。これは取引にあたり約款が示されず、また、示されていてもこれを読んで理解することが事実上不可能なためです。
御質問の例でも約款を理由として顧客に要求をするのは、法的には難しい場合が多いでしょう。
もっとも、返品というのは、法的に評価すれば、「売買契約を合意解約して目的物と代価を相互に返還する」ことを意味します。つまり返品というのは、お互いが合意して成り立つもので、販売者側での、購入者側でも、その一方的な意思により返品を要求することはできません。権利として要求できるのは売買の目的物に瑕疵があった場合や、履行が遅延した場合のみです。
そのため売り渡したプリペイドカードがそれ自体が偽造品であったという場合でなければ、民法上、返品に応じる義務はありません。つまり御質問の例では、約款を引き合いに出すまでもなく、もともと返品は拒否できるという結論になります。

改正民法で保証人の制度が改正されると聞きました。どのような内容でしょうか。

法務省の解説
上記の法務省のサイトに簡潔に説明されていますが、①書面によらない保証の禁止、②包括的な貸金根保証を禁止、③根保証の元本確定までの期間を5年以内に制限、④根保証の元本確定までの期間の定めが無い場合には3年後に確定、⑤主債務者に対する差押が根保証の元本確定事由になることが主なポイントです。

未成年者:当社では未成年者と契約する際には親権者の同意を取るようにしています。未成年者が契約で定められた料金を支払わなかったとき、親権者に対して請求することはできますか。

民法4条1項では、未成年者が法律行為をなす場合には法定代理人の同意が必要とされています。同意がない未成年者の行為はこれを取り消すことができます(同条2項)。そのため、未成年者と契約するときに法定代理人である親権者の同意を得ておけば、後々取り消されてしまうということがなくなります。
もっともこの法定代理人の同意はこの「後から取り消されない」という効果を発生させるのみで、それ以上の効果を有するものではありません。未成年者と親権者は別の法的主体ですので、債務保証をしているなどの関係がない限り、未成年者の債務を親権者に対して請求することは、法律上には不可能です。
なお未成年者が不法行為によって第三者に損害を与えたときに、かかる第三者は法定代理人に責任を追及できる場合があります(民法714条)。しかし単なる契約上の債務の不履行であれば、不法行為となる可能性は低いですから、やはり法定代理人への請求は難しいでしょう。
もちろん法定代理人が未成年者の債務を任意に支払ったときには、この支払いは法的には有効です。そのため一般的には、お話し合い等によりかかる任意の履行を促すのが通常でしょう。