平成20年(行家)第10023号審決取消請求事件8
(5) 原告は,英国,米国などで本願商標を付した化粧品等を販売し(甲12,
13,62),また,海外のリゾート施設において本願商標を付したエステティッ
ク美容等が行われている(甲45,46)が,我が国では,一部のホテルにおいて
原告製品が備品として利用されているものの,原告が関与する形での販売がされて
おらず(甲32,33,38),原告が関与する日本語のウェブページも存在しな
い。
そして,原告製品や役務について記載されている日本語のウェブページは,原告
製品が備品として置かれていたホテルに宿泊した者が,個人的にブログで取り上げ
たり,その入手方法を尋ねる,原告製品を入手した個人等がネットオークションで
これを売却しようとする,又は海外のエステティックサロン等の紹介文中に原告製
品や役務が記載されているなどというものである(甲33~35,37~45)。
(6) 以上のとおり,①本願商標は,「Elemis」の欧文字から普通に用いら
れる方法の範囲内のものであって独創性の程度が低いこと,②本願商標の6文字中
の冒頭から5文字は,エッセンシャルオイルであるエレミ油を表す語として用いら
れ,平成17年時点においても,アロマテラピーや化粧品に関心のある者において
は,エッセンシャルオイルや香水等の原材料として,「エレミ」,「Elemi」が
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周知性を有していたこと,③エレミ油の容器上のラベルにも,「ELEMI」,「E
lemi」との表示が顕著にされているものがあること,④「Elemi」と本願
商標「Elemis」とは,単語の末尾の「s」の有無という点において異なるが,
両者は,本願商標6文字のうち冒頭からの5文字までが共通し,また,本願商標の
構成中語尾の「s」の文字は,英語の複数形を表すときに語尾に「s」を付すこと
が一般的に行われているものであることやその発音において最も弱く発音される部
分であること,⑤我が国では,原告製品は正式に販売されていないこと,⑥原告製
品や役務について記載された日本語のウェブページは,個人的なものが中心であり,
原告製品や役務が広く知れわたっていることを示すものとは考え難いこと,⑦エレ
ミ油は,本願の指定商品中の「エッセンシャルオイル,香料類」に含まれ,同商品
中の「香水類,その他の化粧品,石けん類」の原材料に当たり,本願の指定役務中
の「エステティック美容,アロマテラピー」の提供の用に供する物に当たることな
どの事情が認められるのである。
そうすると,本願商標登録出願の査定時である平成17年時点において,本願商
標を,その指定商品中の「エッセンシャルオイル,香料類,香水類,その他の化粧
品,石けん類」又はその指定役務中の「エステティック美容,アロマテラピー」に
使用したときは,これに接するアロマテラピー,化粧品に関心のある取引者,需要
者は,本願商標からエレミ油又はその原材料を認識し,商品の品質,原材料又は役
務の質等が表示されているものと認識理解すると考えられ,本願商標は,自他商品,
自他役務の識別標識としての機能を果たさないものといえる。
したがって,本願商標は,法3条1項3号に該当するものといえる。
(7) なお,原告は,平成18年2月に実施された化粧品やエステティック美容
の主たる需要者である20歳代から40歳代の女性を対象にしたアンケート(甲1
4)の結果によれば,①第1問「Elemisについて知っていることは?」に対
して,「特になし」という回答が89.0%と最も多いが,「化粧品・エステのブラ
ンド」として「Elemis」を認識しているものが10.33%も存在しており,
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本願商標は,少なくとも当該分野における主たる需要者の間では,平成18年2月
の時点で既に1割強の認知度を獲得していること,②第2問「Elemisの表示
から連想するものは?」に対し,「特になし」という回答が63.33%に減った
一方,「化粧品・エステのブランド」という回答が33.67%に増加しており,「E
lemis」を知らない者でも,これに何らかの意味があるとするならば,「化粧
品・エステのブランド」であろうと連想するものが数多く存在すること,③第3問
「エッセンシャルオイルのエレミ油を知っていますか?」に対し,これを認識する
者はわずか4.00%にすぎず,残りの96.00%であるほとんどの者が「エレ
ミ油」など知らないと回答していることから,本願商標に対する需要者の認識は,
ほとんど「エレミ油」とは関係のないところにあり,むしろこれを原告のブランド
と認識している者の方がはるかに多い旨主張する。
しかしながら,同アンケートは,懸賞サイトの会員のうちの20歳代から40歳
代の女性300人を対象とし,インターネットを通じて指定の画面でボタンをクリ
ックして一方的に回答する形式のものであって(甲14,50),その回答の正確
性の検証が必ずしも十分とはいえない上に,各質問に対する選択肢がわずか2ない
し3しかなく,第1問,第2問中には「化粧品・エステのブランド」という選択肢
があって,回答者としてその選択肢の中で推測することによる誘導のおそれもある
と考えられること,他方,前記(1)イのとおり,インターネットの複数のショッピ
ングサイトにおける商品の紹介において,アロマテラピーに使用するエッセンシャ
ルオイルとしてエレミ油が紹介されており,また,香水等の原材料として「エレミ」
が表示されていることなどに照らすと,同アンケートの結果をもって,本願商標に
対する需要者の認識は,ほとんど「エレミ油」とは関係のないところにあり,むし
ろこれを原告のブランドと認識している者の方がはるかに多いと速断できるという
ものではなく,原告の上記主張は採用できない。






