質問:
当社はヒューマノイド型ロボットを設計・製作・販売している企業です。当社のロボットをインターネット上で販売しているのですが、購入を検討される方にロボットの仕様がよくわかるように、ロボットの設計図をPDFファイルにして公開していました。
ある時、当社の競合他社が、当社とそっくりのロボットを販売しているのを発見しました。部材の形状やビス用の穴空け位置が同じですので、当社のロボットの設計図が流用されてしまったのではないかと思います。この設計図は当社の技術者が試行錯誤しながら完成させていったもので、当社の様々なノウハウが詰まっています。何とかして流用を止めさせたいのですが、法的には可能なのでしょうか。
回答:
この件では、御社がこの設計図について、どのようは法的権利を有しているのかを分析する必要があります。御社がこの設計図に関して、特許権や商標権などの産業財産権を有しているのであれば、これらの権利を行使して、競合他社の行為を差し止めることができます。もっとも設計図のみについて産業財産権を取得するのは容易でないですから、おそらく申請なされていないのではないかと思います。
権利取得の申請手続きを行っていない場合に検討すべきなのは、著作権と営業秘密です。もっとも今回の設計図はインターネットで公開していたということですので、営業秘密には該当しないでしょう。
そこで著作権による保護の可否がポイントとなります。著作権は、一般的には、文芸や絵画などの思想表現を保護することが目的です。そのため、設計図のような科学や事実に基づく創作物について著作権が発生するかについては争いがありました。この点について、平成15年2月26日東京地方裁判所判決は、「作成者の個性が発揮されて」おり、「作図上の表現方法や内容が,ありふれたものであったり,そもそも選択の余地がないような場合」で無い場合には、著作権が発生するものとしました。
ヒューマノイドロボットの設計図についてこの裁判例の考え方を適用すると、およそヒューマノイドロボットの設計図を作成したときに、誰が書いても同じような内容となる部分については著作権は発生しないことになります。たとえば「人型であること」「手と足があること」「関節があること」といった部分については、著作権が認められないでしょう。一方、独自性があるもの、たとえば、斬新な関節の構成表現していたり、アニメのロボットのように、形状自体に創作性が認められるようなものであれば、著作権が認められることになるでしょう。
著作権が認められる場合には、著作権を侵害している者に対し、差止や損害賠償の請求ができます。また著作権侵害には刑事罰がありますので、刑事告訴を行うことも可能です。実務上は内容証明郵便を用いて、警告する場合が多いでしょう。






