質問:
当方は副業でロボットを製作している会社です。先日、当社が作ったロボットがロボットコンテストで上位に入賞しました。これをご覧になったテレビプロダクションから声がかかり、このロボットを譲ってくれないかというのです。当社としては思い入れのあるロボットでしたが、大事に扱ってもらえるとのことでしたので、お譲りすることにしました。なお先方ではメンテナンスができないので、当社が別途報酬を頂戴し、継続してサポートすることになっています。
そのプロダクションがロボットをとあるトーク番組に出場させたらしいのですが、ロボットが誤動作を起こし、ロボットを操作していたタレントに軽い怪我をさせてしまったのです。あとで原因を調べてみると、当社のエンベッドプログラムのミスに原因がありました。
当社の方で治療費は支払ったのですが、そのタレントから、「怪我の手当で病院に行ったせいで、その日に予定されていた他の撮影に出ることができなかった。仕事が流れてしまいギャラがもらえなくなったのだが、これを損害として賠償して欲しい。」と言われました。
当社としてロボットについて返品に応じたり、治療費を出したりするのはやぶさかではないのですが、このような関連する損害まで賠償に応じないといけないのでしょうか。
回答:
この場合、法律的には「製造物責任」と「不法行為による損害賠償責任」が問題となります。
製造物責任においては、製造物の安全性に起因する損害であれば賠償の対象となります。そのため、御質問のような人的な損害や想定外の出費、損失なども賠償対象に入ります。
また「人を傷つけない安全な製品とする」義務が存在していると言えますので、この義務に違反したことになり、民法709条による不法行為による損害賠償責任が発生することになります。
そして法律上、賠償義務が発生する範囲は、「相当因果関係」の範囲内のものを賠償することとされいます。これは、「一般人の視点に立ち、ある原因から発生することが通常想定される損害を賠償の範囲に含め、かつ、賠償義務者が想定していたか、または想定し得る賠償についても賠償範囲に含める。それ以外は範囲に含めない。」という考え方です。
今回の事例に当てはめて考えると、「ロボットを売ったらタレントがギャラを取れなくなった」というのは、一般人の視点からすると必ずしも想定の範囲内とはいえない可能性があります。もっとも、今回御社は、販売の相手方がテレビのプロダクションであって、タレントが使用することがあることを知っていたわけですから、賠償義務者としては、そのロボットが撮影に使用されること、ロボットが人に怪我をさせれば、タレントの業務に支障が出ることは想定し得たという判断になるはずです。交通事故などでもいわゆる休業損害は賠償の対象となるのが一般的です。
そのため、今回のタレントの損害については、賠償義務が発生する可能性の方が高いと言えるでしょう。






