質問:
当社は産業用ロボットの開発企業です。新機種を開発したのですが、当社は量産設備がないため、外部の工場に製造を委託したいと考えています。委託ができるか調査するにあたって、新機種の技術情報を開示する必要が出てきたのですが、委託契約を締結しない段階で情報を開示してしまうことには大きな不安があります。どのように対処すべきでしょうか。
回答:
この場合、相手方と機密保持契約書の締結が必要になります。
近時は個人情報保護の気運の高まりから、技術関連取引以外でも、機密保持契約書や個人情報保護の覚書がよく締結されるようになりました。もっとも一般のケースでは取引契約の締結と同時に、機密保持契約を締結するというケースがほとんどです。
御質問の件では、取引契約の締結前に機密保持契約を締結する必要があります。法的には、製造請負契約や製造委託契約が締結されていなくても、機密保持契約書を締結することは可能です。
この場合の契約書の作成のポイントは以下の通りです。相手方企業から契約書の雛形を提示された場合でも、注意点は同じです。
・契約の前文や契約の目的条項に、「甲乙間での製造委託契約の締結の可否を検討するにあたって提供される情報の機密の保持について」といった趣旨の文章が入っているか否か。
・保護の対象となっている情報が限定されていないか。たとえば書面によって提供された情報に限定されていたり、契約書締結以前に締結された情報が対象外とされていたりしないか。
・再委託が禁止されているか。
・情報を取り扱う従業員を限定しているか。
・機密保持の期間が短すぎないか。1年程度となっている場合があるので気をつける。
・結果として委託契約を締結しなかった場合でも、情報が保護されるものとされているか。
・結果として委託契約が締結されなかった場合に、直ちに機密情報を廃棄・返還するものとされているか。
単に機密保持契約書といっても、義務の範囲は様々です。機密保持契約書を交換したからといって安心せずに、契約書の中身が本当に機密を保護できる内容になっているのか、十分に検討しなければいけません。






