質問:
当社はロボット等に使用する全方位カメラの開発企業です。当社が開発・製産した全方位カメラは一旦大手の企業に納め、そこから最終顧客に納入されています。
この全方位カメラに使用しているソフトウェアの内部の画像処理技術について、当社の研究成果を学会発表を行いたいと考えています。法的に何か問題はありますでしょうか?
回答:
この場合、納入先の企業との機密保持義務に違反することがないか否かを慎重に検討する必要があります。
まず、発表しようとする研究成果自体に、納入先企業の企業秘密や納入先独自の研究開発成果が含まれている場合には、納入先企業の許諾が無い限りは発表を差し控えるべきです。一般的な取引基本契約書を締結していれば、機密保持義務が規定されていることがほとんどですし、契約を締結していないとしても、不正競争防止法上の営業秘密として、その漏洩が法律違反となる可能性があるためです。
次に、発表しようとする研究成果が御社の独自の研究成果である場合には、契約上の機密保持義務に違反しないかが問題となります。一般的な機密保持義務条項においては、自社の機密情報を自社が公開することを禁止している場合はまずありません。そのため発表は法的には問題ない場合がほとんどです。
もっとも納入を受けた側としては、自社製品に適用されている技術情報が公開されることを快く思わない場合も多いでしょうから、たとえ法律違反となら無い場合でも、取引停止に至る可能性は充分にあるでしょう。また発表する内容が自社の研究成果のみと考えていたとしても、納入先の企業から見れば、自社の企業秘密が含まれていると判断する可能性も有ります。そのため御社のようなお立場であれば、可能な限り、納入先との調整を行ってから発表を行う方が望ましいでしょう。
またこういった事態になることを未然に防ぐためには、納入先との取引が発生する前に、何らかの形で研究内容を公開して公知情報としておけば、取引発生後に大々的に発表しても、守秘義務条項に抵触することは有りません。






