知的財産権は開発会社と開発委託・販売会社といずれに帰属するのか?
質問:
当社はCPUボードの開発会社です。今回とあるロボットに搭載するためのCPUボードの新規設計と、このCPUボード上で作動させるソフトの開発の委託を受けました。これらの設計・開発のための費用はすべて委託元より提供されています。
今回の開発途中で、当社の技術者が特許化できそうな発明を行いました。またソフトウェアについてもミドルウェア部分で汎用性のあるものができあがりましたので、今後も利用したいと考えています。
このような発明やソフトウェアに関する権利は、当社か、委託元か、どちらに帰属するものなのでしょうか。
回答:
この問題については、法律上の原則と、御社と委託元との間で締結されている契約の内容を考慮する必要があります。
まず発明については、これを出願する権利はまさにその発明を行った個人に帰属し、結果としてその従業員が特許権を取得した場合に、所属企業はこの特許を利用する権利(通常実施権)を得ます。就業規則や発明規定などで、従業員の発明について、「出願する権利」や「出願後成立した特許権」を自動的に所属企業に承継させることもでき、この場合、この従業員は企業に対し発明の対価を要求する権利を持ちます。青色発光ダイオード事件の発明対価要求事件が記憶に新しいところです。
そしていずれにしても、権利を取得するのは、発明者か発明者が帰属する企業ですので、開発を委託した企業に特許権が自動的に移転することはありません。
開発委託契約書を締結している場合でも、多くの契約書では、発明に関する権利が発明者に帰属する規定になっているので問題はないでしょう。一方、数は少ないですが、委託元に移転すると規定されている契約書に分かれます。委託元に移転すると定められている契約は、法的には有効ですので、このような契約を締結している場合には、実際に権利が委託元に移転することになります。
ソフトウェアについては、これに発生している著作権が問題となります。著作権については、就業規則や発明規定が特に存在していなくても、職務上創作した著作物の著作権は所属企業に帰属することになります。そして、特許権と同じく、委託先に自動的に委託先に移転するということはありません。
著作権に関しては、開発委託契約書の規定は、委託元に著作権が自動的に移転するという規定になっている契約書の方が多いかと思います。そのため自社に権利を留保しておきたい場合には、契約書の記載を変更して、著作権の移転を留保する記載にしておくことが必要です。






