知的財産権やビジネス・企業法務Q&A続々更新!大阪弁護士会所属弁護士川内康雄 顧問弁護士
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法務ネット」管理人川内康雄はコンピューターやインターネット情報セキュリティ等のIT著作権特許権商標権等の知的財産権を取り扱う大阪弁護士会所属の弁護士です。各種ビジネス企業法務個人情報保護法ベンチャー企業支援にも力を入れています。
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こちらのホームページでは、日本弁護士連合会が定める「弁護士の業務広告に関する規定」及び「弁護士及び弁護士法人並びに外国特別会員の業務広告に関する運用指針」に基づき、当職が特に関心をもって取り扱っている業務分野につきましても、「専門」との表現を差し控えさせていただいております。

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当職の取扱分野はインターネットWebオープンソース(リナックス・GPL等)情報処理情報システムシステム開発ソフトウェア等のITサイバー法著作権等の知的財産権、個人情報保護情報セキュリティ情報漏洩時対応民法商法会社法)の民事法令・労務管理労働問題その他のビジネス・企業法務一般です。主な業務内容は契約書覚書利用規約約款ライセンス等の法的書類作成、法律相談コンプライアンスチェック(合法性・違法性鑑定)プライバシーポリシー情報セキュリティポリシーコンプライアンスプログラム等の社内規程・文書作成支援・公益通報者保護法内部通報制度受付窓口・裁判訴訟・調停)・トラブルクレーム等の紛争対応です。詳しくは弁護士川内康雄の取扱分野・業務内容をご覧ください。

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当事務所のパートナー弁護士である大阪弁護士会所属の宮脇常亨弁護士がホームページを開設しました。過払金請求・債権回収及び過払い金返還請求・自己破産を中心とした債務整理を得意としています。顧問弁護士としての活動も行っています。各種の情報が満載されておりますので、是非一度ご覧ください。

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カテゴリー「Q&A:会社法」の14件の記事

合併:合併の際に公告が必要となる貸借対照表はいつの時点のものでしょうか。

公告が必要となるのは、公告の時点で存在している最終の貸借対照表、つまり定時株主総会の承認を受けた貸借対照表です。基本的には、公告を行う日が存する期の前期の貸借対照表ということになります。ただし公告を行う時点で、前期の定時株主総会がまだ開催されていない場合には、前期の最終の貸借対照表がまだ存在していません。そのため公告を行う対象となるのは、前々期の貸借対照表となります。

合併:合併の際には、貸借対照表の公告が必要と聞きましたが本当でしょうか。

合併の手続きに際しては、債権者保護手続きの一環として、官報公告を行うことが要求されています(商法412条)。この公告の中には、最終の貸借対照表に関する事項を記載する必要があるのですが、商法施行規則195条で、最終の貸借対照表を公告(商法283条4項)した媒体(官報・ホームページ)の記載が要求されています。すると、最終の貸借対照表の公告を行っていないと、債権者保護手続きのための公告を行えないことになります。そのため、最終の貸借対照表の公告が、事実上、合併の要件となっています。
なお正確に言えば、本来、貸借対照表の公告は、合併を行うか否かにかかわらず、株式会社一般に課されている義務です(商法283条4項)。この義務を守っていないと、合併はできないという言い方もできるでしょう。

小会社の監査役の権限拡張:小会社の監査役について、その権限の範囲を拡張して、取締役の業務執行の監査権限や、取締役会への出席権を認めることは可能でしょうか?

確立された見解は見あたりませんが、監査役制度の趣旨及び監査特例法が制定された経緯に鑑みれば、監査役の権限をそのように拡張することは可能と思われます。具体的には、取締役会規則または定款において、取締役会は監査役にも招集通知を発送の上で開催しなければならず、監査役より取締役会への出席の要求を受けた場合にはこれを認めなければならないこと、取締役は監査役による業務執行の監査に服すること、そして、監査役に監査義務を負わせるのであれば、定款又は会社と監査役との委任契約書内に、監査役は業務執行についても監査を行わなければならないこと、可能な限り取締役会に出席しなければならないことを規定することにより実現可能でしょう。なお小会社の監査役が取締役会に出席できることについては、「実務相談株式会社法」(商事法務研究会)にも同旨の記載があります。

常勤監査役の員数 : 大会社の監査役は全員非常勤でもいいのですか?

監査特例法18条2項において常勤監査役を互選にて定めることが要求されていますので、少なくとも一人は常勤監査役が必要です。

社外監査役の員数 : 大会社の監査役は全員社外監査役でもいいのですか?

監査特例法18条1項において「半数以上」という表現がとられていますので、全員が社外監査役でも問題ありません。社内に人材が確保できない場合や、社外からの監査によりコンプライアンス向上を目指したい場合には、全員を社外監査役とするのも、有効な方策と思われます。

企業の言論の自由・プライバシー:会社には人格的利益にかかわる法的権利、たとえば言論の自由やプライバシーは認められているのでしょうか。

まず前提として、会社が商法等に規定された手続きに基づき設立されたものであれば、法人格、つまり法的権利や義務の主体となることができます。商法以外でも民法やその他の特別法など、自然人以外に法人格を付与する法律は多く存在しています。
 もっとも自然人でいうところの人格的利益に関わる法的権利(人格権)については、各権利毎に会社が主体となれるものなのかが検討されています。
 まず言論の自由であれば、裁判例上、およそ会社であっても、自然人と異なることなく、これを享有することができるとされています。
 しかし企業が保有する秘密に関する権利については、これを「プライバシー」という概念ではなく、「営業秘密」という概念でとらえられています。不正競争防止法では明文で営業秘密という概念が用いられ、法律上の要件に該当すれば、権利の主張が可能です。
もっとも自然人でいうところのプライバシー権で認められる範囲からは、比較的権利の範囲は狭いといえると思います。
 ただしこれらの権利があるといっても無制限に認められるものではなく、その他公益やその他人の権利との調整上制限を受けます。たとえば言論の自由も名誉毀損となるものは許されませんし、虚偽の事実の報告も、証券取引法や不正競争防止法で禁止されています。また営業秘密に該当する事項であっても、商法には利害関係人による開示請求権や、刑事事件における令状による捜査、押収の対象となります。

合同会社のメリット:新会社法で日本版LLC(合同会社)制度が新設されたようですが、米国と違い、いわゆるパススルー課税が認められていないようですから、利用するメリットはほとんど無いのではないかと思われます。如何でしょうか。

確かに合同会社制度では、期待されていたパススルー課税制度(構成員課税)やチェックザボックス制度(課税対象選択制度)が見送られてしまいましたので、利用するメリットはかなり小さくなってしまいました。
もっとも当職としては以下のような点が実質的メリットとしてまだ残存しており、利用価値はあるものと考えています。
・設立費用が安い
定款印紙と登記印紙の合計で10万円であり、定款認証も不要です。そのため株式会社の約半額で設立できます。
・役員に任期の制限がない
有限会社制度が廃止され、特例有限会社(新会社法施行以前から存在している有限会社)以外は、取締役の任期は最長でも10年となります。一方、合同会社は、所有と経営が一致していることもあり、社員、業務執行社員、代表社員の任期に制限は有りません。そのため取締役の任期満了による登記費用を節約できます。
・剰余金分配の制限(300万円)がない
新会社法では、たとえ資本金が300万円未満の会社でも、純資産金額が300万円に到達しない間は、剰余金分配ができず、会社の財産を逐次出資者に還元するには制限があります。一方合同会社にはこのような義務が有りません。
・決算公告義務が無い
株式会社では決算公告が義務づけられています。これまで決算公告を行う会社はほとんど有りませんでしたが、最低資本金制度の撤廃などにより、今まで以上に信用評価が重視される様になるため、本当の意味で義務化されてくる可能性があります。そうなると会社の資産状況を公開しないといけなくなるわけですが、これを望まない経営者もあるかと思います。合同会社では、社員や債権者に対する義務を除き、決算公告が義務づけられていませんので、世の中一般に向けて財産状況を公開する必要はありません。

取締役・業務執行社員・役員等の対第三者責任:LLPやLLC等、経営者の責任を有限にできる組織が増えてきましたが、経営者は、わざと悪いことをしたり、会社運営の失敗について大きな過失があるような場合でも、責任を負わないのでしょうか。負うとすれば、責任の重さについて、株式会社、LLP、LLCで差はありますか?

株式会社、有限会社、LLC(合同会社 「有限責任会社」と呼ばれることもあります)、LLP(有限責任事業組合)は有限責任の事業体です。ここでいう有限責任とは、会社又は組合が取引上負った債務について、取締役、業務執行社員などの経営者や、株主などの出資者が、責任を負わないということを意味します。
一方、経営者の職務に起因して第三者が損害を被った場合で、経営者の職務執行にあたり、悪意または重大な過失があった場合には、経営者はかかる第三者の損害を賠償しなければなりません。この責任の内容は、改正前の会社法(商法)及び新会社法上の株式会社、合同会社、有限会社いずれでも同じであり、責任の発生条件に差はありません。

旧会社法(商法)上の株式会社の取締役
第二百六十六条ノ三  取締役ガ其ノ職務ヲ行フニ付悪意又ハ重大ナル過失アリタルトキハ其ノ取締役ハ第三者ニ対シテモ亦連帯シテ損害賠償ノ責ニ任ズ

新会社法上の株式会社の役員等
第四百二十九条 役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

新会社法上の合資・合同会社の有限責任社員
(業務を執行する有限責任社員の第三者に対する損害賠償責任)
第五百九十七条 業務を執行する有限責任社員がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該有限責任社員は、連帯して、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

有限会社の取締役
第三十条ノ三  取締役ガ其ノ職務ヲ行フニ付悪意又ハ重大ナル過失アリタルトキハ其ノ取締役ハ第三者ニ対シテモ亦連帯シテ損害賠償ノ責ニ任ズ

代表取締役と取締役会の権限分配:当社では職務分掌を明確化させる作業を進行中です。代表取締役やその他の取締役と取締役会の権限を定める上で考慮すべき点は何でしょうか?

商法の解釈上、取締役会の承認にかからしめるなどして代表取締役の権限を制限することは認められています。一方、取締役会の権限を代表取締役に委譲することは原則としては認められていません。これは商法が取締役会に代表取締役に対する監督機能を期待しているからです。
具体的には商法260条2項に、以下の取締役会の権限事項が記載されています。
 一  重要ナル財産ノ処分及譲受
 二  多額ノ借財
 三  支配人其ノ他ノ重要ナル使用人ノ選任及解任
 四  支店其ノ他ノ重要ナル組織ノ設置、変更及廃止
これらの事項は、代表取締役がその一存で決することはできず、かならず取締役会に諮らなければならないことになります。
もっとも上記の規定は「重要ナル」や「多額」など、非常に曖昧な基準しか定められていません。そこで会社において任意に代表取締役と取締役会の職務分掌を定める場合には、これらの判断基準を具体化させる形で規定を作成することが多いです。また取締役会の要承認事項を増やすことは原則自由ですので、取締役会という会議体で決した方が良い事項が類型的に存在しているのであれば、これを取締役会規則等に定めることによって、取締役会の承認事項としても良いでしょう。

代表取締役の解任:代表取締役に不祥事があったので解任したいと考えています。まもなく開催される取締役会で解任の動議を提出したいと考えていますが可能ですか?

取締役会の議案については、株主総会とは異なり、招集通知に記載するか否かについて法律上の規定がありません。そのため、会議の目的の記載を要しないとする考え方が多いようです。
もっとも、各取締役が議題の判断をなすにつき必要な説明・資料提供が無いままに決議がなされた場合には、決議の瑕疵が生じ得ます。瑕疵のある決議は法的には当然に無効となるため、リスクが大きいと言えます。
そのため代表取締役の解任動議の提出自体は可能としても、当該取締役会においては、解任の動議の理由となる事実関係を、取締役会での審議に足りるだけの根拠資料とともに提出し、且、決議までに各取締役に対してこれの検討の猶予を与えることが必要でしょう。
このことは、招集通知には議案の記載を要し、取締役会は招集通知に記載された以外の議案を審議・決議することはできないと解する見解も存在していることからも、重要と言えます。

有限会社の取締役の競業:ある有限会社の取締役を務めていますが、同業をやっている他の会社の代表を務めたり、その他業務に携わるには何らかの手続きが必要ですか?単に定款に同じ目的が記載されている場合はどうですか?

有限会社の取締役が自己又は第三者のためにその有限会社と同じ部類の取引(競業)を行うためには、社員総会においてこれを許諾する決議を得る必要があります(有限会社法29条)。そのため自分で同業を起業したり、同業を行う他社の取締役に就任するには、社員総会に報告の上で許可を得る必要があります。新たに取締役に就任した会社の定款中の会社の目的にもとの有限会社と同じ目的が含まれている場合であっても、結局は自分自身が競業に関与するか否かで判断します。競業に関与しないのであれば社員総会の承認は不要ですが、関与するのであれば必要です。

支配株主:商法施行規則第2条1項22号によると、①会社の総株主の議決権の過半数を有する者と②商法の規定により会社の親会社となる株式会社又は有限会社が支配株主となるとあります。すると株式会社及び有限会社以外の者であって間接的に過半数以上の議決権を有する者は支配株主にはならないのでしょうか?

商法施行規則は法的な安定性のため、形式的な解釈が重視されると思われます。そのため間接保有により過半数以上の議決権を有する個人などは支配株主には該当しないでしょう。
もちろん各種の書類において支配株主に準じた取扱をした上での計算を別途示すのは、ディスクロジャーを充実させる上では望ましい取扱であると思われます。

従業員持株会の設立:従業員持株会の設立の際、株主総会や取締役会の決議は必要です?

結論としては不要です。従業員持株会は会社からは独立した組織ですので、会社側の意志決定は不要です。むしろ会社が設立の意志決定をしてしまうと、会社の内部組織のようになってしまい矛盾します。なお、従業員持株会経由での株式取得について会社が奨励金を支出する場合で、これがかなりの多額となる場合には、かかる奨励金支出について取締役会の決議が必要となる可能性はあります。

取締役の降格:専務取締役を平取締役に降格させる場合には、何らかの手続きが必要ですか?

商法第260条2項3号では、「支配人其の他の重要なる使用人の選任及解任」は取締役会の決議事項とされています。そしてこれは強行規定であり、定款や取締役会規則で定めたとしても、代表取締役や常務会に委任することはできないと考えられています。
ご質問の、「専務取締役」も「平取締役」も、商法上は単なる「取締役」にすぎません。そのため単に肩書きが変更されるのみであれが、取締役会の決議事項とはならない可能性があります。もっとも通常はこれらの取締役は従業員としての地位を兼務し、何らかの重要な役職が就いているはずです。専務取締役から平取締役に降格となることによって役職が変更となるのであれば、まさに重要なる使用人の選任と解任に該当します。そのため取締役会決議を経なければ、降格ができないということになるでしょう。