質問:
当社では産業用機械向けのマイコンを設計・製造しています。ある会社から、ロボットに使用するCPUボードの製作を委託され、指示通りの製品を設計し、製造して納品しました。ところが、納品した後になって、資金が無い等と言って、支払いを延び延びにされてしまっています。何か良い対処方法は無いでしょうか?
回答:
現行法上、債権の回収する際の手段としては、簡易裁判所に支払督促を申し立てたり、訴訟を提起したりすることが一般的です。またこれらに先立ち内容証明郵便を送付して、支払を要請することもよく行われています。
もっとも内容証明郵便は実際の効力はほとんど無く(時効を中断する程度)、また裁判所を用いた手続きは、時間がかかる一方で、弁護士費用なども馬鹿になりません。
そこで御質問のようなケースでは、下請代金支払遅延等防止法、いわゆる下請法の活用を検討すべきと思われます。下請法では、下請代金の支払遅延はもちろん、受領拒否や代金減額、不当返品などが禁止されており、違反した事業者に対しては、公正取引委員会から勧告がなされることになっています。
下請法が適用されるためには、対象となっている取引が下請法の定める取引内容に合致し、かつ、親事業者、下請事業者の資本金区分が下請法の定める条件を満たしている必要があります。
下請法の対象となる取引内容は、
①製造委託
②修理委託
③情報成果物作成委託
④役務提供委託
⑤金型製造委託
です。御質問のようなケースでは①の製造委託に該当するでしょう。
そして資本金区分としては、製造委託の場合には、
・親事業者の資本金が3億円を超える場合には、下請事業者の資本金が3億円以下
・親事業者の資本金が1千万円以上3億円以下の場合には、下請事業者の資本金が1千万円以下
である必要があります。
これらの条件を満たす場合には、公正取引委員会に問題の取引を告発すれば、勧告に向けた対応をしてもらえる可能性があります。ただし実際に公正取引委員会に告発すると、親事業者との取引関係は著しく悪化するでしょうから、その点も踏まえた対応が必要です。
また告発しないまでも、親事業者との交渉に際して、下請法の存在を話し合いの材料とすることも非常に有効と思われます。






