答え:「イカ焼き」です
平成25年度、大阪の特産と認められる加工食品『大阪産(もん)名品』に仲間入りしました。
皆さんは阪神百貨店の地下1階を歩いていて、あの香ばしい匂いに誘われたことはありませんか?そう、阪神百貨店と言えば「イカ焼き」なんです。でも、このイカ焼き、実は大阪以外の方には少し説明が必要かもしれませんね。
関東の方が想像する「イカ焼き」とは全く違うんです。関東でイカ焼きと言えば、イカを丸ごと焼いた料理を思い浮かべるでしょう。しかし、大阪のイカ焼きは全く別物。小麦粉の生地にイカの切り身を混ぜて、薄く延ばして焼き上げた、いわば「イカ入りお好み焼きの薄いバージョン」なんです。
阪神百貨店のイカ焼きの歴史は古く、昭和32年(1957年)から続く老舗の味です。なんと60年以上も愛され続けているんですよ。当時から変わらぬ製法で、小麦粉の生地にイカの足を細かく刻んで混ぜ込み、特製のプレスで薄く焼き上げます。この「プレスで挟んで焼く」というのが阪神流の特徴で、外はカリッと、中はもちもちの食感を生み出しているんです。
驚くべきことに、阪神百貨店では1日に約1000枚ものイカ焼きが売れるそうです。平日でもお昼時には行列ができ、土日祝日ともなると30分待ちは当たり前。それでも並んで買いたくなる魅力があるんですね。
そして、この阪神百貨店のイカ焼きが、平成25年(2013年)に『大阪産(もん)名品』に認定されたことは、まさに大阪の食文化の象徴として認められた証拠です。『大阪産(もん)名品』とは、大阪府が認定する地域ブランド制度で、大阪の風土や文化に根ざした優れた加工食品に与えられる称号なんです。
実は、このイカ焼きには面白いエピソードがあります。阪神百貨店の従業員の中には、「阪神に就職したらまずイカ焼きを覚えろ」という暗黙のルールがあるとか。それほど阪神百貨店のアイデンティティと深く結びついているんですね。
また、大阪人にとってイカ焼きは単なる軽食ではありません。「ちょっと小腹が空いた時の定番」「デパ地下での買い物の楽しみ」「子どもの頃から慣れ親しんだ味」として、生活に根ざしています。特に阪神百貨店のイカ焼きは、他店では味わえない独特の食感と味付けで、多くのリピーターを生み出しています。
価格も庶民的で、1枚200円程度という手頃さも人気の秘密です。高級デパートの中にありながら、気軽に買える価格設定が、幼い頃から大人まで幅広い世代に愛される理由の一つでもあります。
さらに興味深いのは、阪神百貨店のイカ焼きは「大阪の食文化の入り口」としての役割も果たしていることです。大阪を訪れた観光客の多くが、たこ焼きやお好み焼きと並んで、このイカ焼きを体験していきます。薄くて食べやすく、それでいて大阪らしい味わいを楽しめるので、粉もん文化の入門編としても最適なんです。
このように、阪神百貨店のイカ焼きは単なる名物グルメを超えて、大阪の食文化と密接に結びついた存在なのです。『大阪産(もん)名品』への認定も、こうした文化的価値が認められた結果と言えるでしょう。次回大阪を訪れる際は、ぜひ阪神百貨店の地下1階で、この伝統の味を体験してみてくださいね。
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