弁護士職務基本規定第1条の解説

私たち弁護士の使命について

条文

第1条 弁護士は、その使命が基本的人権の擁護と社会正義の実現にあることを自覚し、その使命の達成に努める。


この条文が定められた理由

弁護士という職業には、社会の中で特別な役割があります。それは、困っている人を助け、正しいことを実現するという使命です。この第1条は、すべての弁護士がこの大切な使命を忘れることなく、日々の業務に取り組むことを約束したものです。

弁護士法という法律でも同じことが定められており、私たち弁護士は法律の専門家として、この使命を果たすことが求められています。

基本的人権の擁護とは

基本的人権とは、人間が生まれながらにして持っている、誰からも奪われることのない大切な権利のことです。具体的には以下のようなものがあります:

  • 生きる権利:安全で健康的な生活を送る権利
  • 自由の権利:自分の意思で行動し、表現する権利
  • 平等の権利:性別、年齢、出身などで差別されない権利
  • 財産権:正当に得た財産を守られる権利

弁護士は、これらの権利が侵害されたときに、法律の力を使ってその人を守る役割を担っています。

社会正義の実現とは

社会正義とは、社会全体が公平で正しい状態になることを意味します。これは抽象的な概念ですが、わかりやすく言うと:

  • 強い者が弱い者をいじめない社会
  • ルールが公平に適用される社会
  • 困っている人が適切な助けを得られる社会
  • 悪いことをした人がきちんと責任を取る社会

弁護士は個々の事件を通じて、このような理想的な社会の実現に貢献しています。

現代の弁護士の多様性と共通の価値観

現在、弁護士の働き方は多様化しています:

  • 個人の法律問題を扱う弁護士
  • 企業の法務を専門とする弁護士
  • 会社の中で働く企業内弁護士
  • 行政機関で働く弁護士

働く場所や扱う業務は異なりますが、どの弁護士も「基本的人権の擁護」と「社会正義の実現」という共通の使命を持っています。この共通の価値観があるからこそ、どの弁護士に相談しても、あなたの権利を守るために最善を尽くすことが期待できるのです。

弁護士が専門職として信頼される理由

弁護士は「プロフェッション」と呼ばれる専門職の一つです。これは単なる商売ではなく:

  1. 高度な専門知識:法律という複雑な分野の深い知識を持っています
  2. 厳しい教育と訓練:司法試験や司法修習など、厳格な過程を経ています
  3. 公益への奉仕:個人の利益だけでなく、社会全体の利益を考えて行動します
  4. 倫理的責任:この基本規定のような厳しい倫理規範に従って行動します

あなたが弁護士に期待できること

この第1条により、弁護士に相談や依頼をする際、以下のことを期待できます:

権利の護り手として

  • あなたの権利が侵害されたとき、法律の専門知識を使って守ってくれます
  • 相手方との交渉や裁判で、あなたの立場を代弁してくれます
  • 複雑な法律問題をわかりやすく説明してくれます

正義の担い手として

  • 単にあなたの要求を通すだけでなく、法的に正しい解決を目指します
  • 社会全体の利益も考慮しながら、最適な解決方法を提案します
  • 公平で適切な結果が得られるよう努力します

弁護士の継続的な努力

「使命の達成に努める」という部分は、弁護士が一度資格を取ったら終わりではなく、常に学習し、成長し続けることを意味しています。

具体的には:

  • 法廷での弁護活動
  • トラブルを未然に防ぐためのアドバイス
  • 人権問題への取り組み
  • より良い法律や制度の実現への参加

これらの活動を通じて、弁護士は社会に貢献し続けています。


まとめ

弁護士職務基本規定第1条は、すべての弁護士が「基本的人権の擁護」と「社会正義の実現」という崇高な使命を持ち、それを実現するために努力し続けることを定めています。この規定があることで、あなたが弁護士に相談する際、単なる法律の専門家ではなく、あなたの権利を守り、正義を実現するパートナーとして信頼できる存在であることが保証されています。


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