- 公表された著作物は、営利を目的とせず、聴衆又は観衆から料金を受けない場合に、公に上演、演奏、上映、又は口述することができる。ただし、実演家又は口述を行う者に報酬が支払われる場合は適用されない。
- 放送される著作物は、営利を目的とせず、聴衆又は観衆から料金を受けない場合に、有線放送又は自動公衆送信(放送対象地域内での同時再送信に限る)を行うことができる。
- 放送又は有線放送される著作物は、営利を目的とせず、聴衆又は観衆から料金を受けない場合に、受信装置を用いて公に伝達することができる。通常の家庭用受信装置を用いる場合は、営利目的又は料金徴収があっても可能である。
- 公表された著作物(映画の著作物を除く)は、営利を目的とせず、複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合に、その複製物の貸与により公衆に提供することができる。
- 特定の非営利施設(図書館等)及び聴覚障害者等の福祉事業を行う者は、公表された映画の著作物を、複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合に、その複製物の貸与により頒布することができる。この場合、頒布を行う者は権利者に相当な額の補償金を支払わなければならない。
趣旨
- 本条は、非営利かつ無料で行われる著作物の利用について、著作権者の許諾を不要とする規定である。教育機関や地域の文化活動を円滑に行うための措置であり、大規模又は頻繁な利用でない限り、著作権者に大きな不利益を与えないと判断されたためである。
解説
- 公表された著作物:適法に公表された著作物に限られ、未公表のものは対象外である。
- 営利を目的とせず:直接又は間接的に財産上の利益を得ることを目的としないことを意味する。例として、社内の親睦目的は該当するが、店舗でのBGM流しは営利目的とみなされる。
- 料金を受けない場合:名目を問わず、著作物の提供に対する対価を受領しないことを指す。実費徴収やチャリティ興行も対象外である。
- 上演等の行為:上演、演奏、上映、口述が対象となる。翻案・翻訳後の利用は本条の対象外である。
- 実演家等への報酬:実演家又は口述者への報酬支払がある場合は、本条の適用が排除される。
- 放送著作物の利用:放送された著作物に限り、有線放送又は自動公衆送信による同時再送信が認められる。
- 公衆伝達:受信装置を用いた伝達が認められる。家庭用受信装置の使用は、営利・料金徴収の有無を問わず自由である。
- 貸与による提供:映画を除く著作物の非営利・無料貸与が認められる。映画の複製物に含まれる他の著作物(音楽等)の貸与は対象外である。
- 映画の貸与:政令で定める非営利施設等による映画の貸与が認められるが、権利者への補償金支払が義務付けられる。補償金は使用料に相当する額が協議により定められる。
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