趣旨
- 裁判手続や立法・行政活動において、必要な資料の収集や複数のコピー作成が必要となる場合がある
- 著作者の許諾が必要だと、公正な裁判や適切な立法行政の実現が困難になる可能性がある
- そのため、必要な範囲内での著作物利用を著作者の許諾なく行えることとした
適用範囲
- 権利制限の対象は「著作物」一般であり、未公表の著作物も含まれる
- 以下の目的のために必要と認められる場合に適用される:
- 裁判手続
- 立法目的のための内部資料
- 行政目的のための内部資料
裁判手続における複製
- 「裁判手続」には以下が含まれる:
- 民事訴訟、刑事訴訟、行政訴訟
- 非訟事件手続、家事審判
- 民事執行、民事保全
- 調停手続
- 行政庁で行う審判や裁判に準じる手続
- 必要と認められる複製の例:
- 訴状、準備書面など裁判書類での著作物転載
- 書証の写しの作成
- 当事者間での書類交付のための複製
- 内部検討のための資料複製
- 裁判記録作成のための作業
- 複製主体は限定されず、裁判関係者や外部委託も可能
立法・行政目的における複製
- 「立法」には以下が含まれる:
- 法律の制定、改正、廃止
- 条例の制定
- 政令、省令の制定
- 予算の成立
- 「行政」には行政庁の所管事務遂行に関する行為が含まれる
- 内部資料として必要な限度に限定され、外部への配布は原則不可
制限事項
- 許されるのは「複製」に限られ、公衆送信は含まれない
- 必要と認められる限度においてのみ複製可能
- 著作物の出所明示が原則的に必要
- 著作権者の利益を不当に害する場合は適用除外
特定行政手続における複製
以下の行政手続においても必要と認められる場合に複製が可能:
- 特許、意匠、商標に関する審査
- 実用新案に関する技術的評価
- 国際出願に関する国際調査・予備審査
- 薬事、医療機器、再生医療等製品に関する審査・調査・報告
- 品種に関する審査及び登録品種に関する調査
- 特定農林水産物等の名称保護に関する登録及び指定手続
著作権者利益保護
- 著作物の種類、用途、複製部数、態様を考慮
- 著作権者の経済的利益を不当に害する場合は適用除外
- 例:商業書籍の訴訟用複製は可能だが、解説書の弁護士間での共有用複製は不可
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