趣旨
- 美術作品や写真の原作品を購入した者が、著作権者の別途の許諾なく公に展示できることを定めている。
- これは、原作品の流通を促進し、購入者が展示を前提に対価を支払ってきた慣行に沿うものである。
第1項(展示権の制限)
- 美術の著作物または写真の著作物の原作品の所有者、またはその同意を得た者は、当該原作品を用いて公に展示することができる。
- 「原作品」とは、著作者の思想感情が第一義的に表現された有体物を指し、複製物は含まれない。
- 「所有者」には、実質的な所有者が含まれ、共有物の場合は過半数の同意により展示が可能である。
- 「同意を得た者」とは、所有者から展示についての同意を受けた者を指し、この同意は意思の通知として扱われる。
- 本項は、著作権者が有する展示権(第25条)を制限する効果を持つ。
第2項(屋外設置における例外)
- 美術の著作物の原作品を、次のいずれかの場所に恒常的に設置する場合、第1項は適用されず、著作権者の許諾が必要となる。
- 街路、公園など一般公衆に開放されている屋外の場所
- 建造物の外壁など一般公衆の見やすい屋外の場所
- この規定は、屋外における著作物の自由利用を認める第46条との調整を図り、著作権者に設置のコントロール権を付与する趣旨である。
- 写真の著作物については、本項は適用されない。
- 「恒常的」とは、一時的でなく、社会通念上ある程度の長期にわたり継続して設置される状態を指す。
- 「設置」には、不動産への固定は必ずしも必要とされないが、存在場所がある程度限定されていることが求められる。
用語の定義
- 「美術の著作物」:形状や色彩により表現され、美的鑑賞の対象となる著作物。
- 「写真の著作物」:写真の手法により表現される著作物。
- 「公に展示する」:公衆に直接見せる目的で、原作品を公衆の見える場所に置く行為。
- 「一般公衆に開放されている屋外の場所」:行為者との特別な人的関係なく出入りできる屋外の場所。入場料の有無は問わない。
- 「一般公衆の見やすい屋外の場所」:一般公衆が特別な装置なく容易に見ることができる屋外の場所。
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