著作権法30条(私的使用のための複製)

参考:

制度の概要と趣旨

参考:

  • 音楽の著作権とは (公的機関)
  • 著作権Q&A (公的機関)
  • 個人的または家庭内その他これに準ずる限られた範囲での使用を目的とする場合、著作権者の許諾なく複製が可能
  • 著作権者の経済的利益と社会全体の利益、人間の精神活動の自由確保とのバランスを図る規定
  • 複製行為は使用する者自らが行うことが原則(手足として支配下にある者による複製は許容)

私的使用の範囲

参考:

「個人的又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」の解釈

  • 個人的:個々の行為主体単独の私人としての活動領域内で完結する範囲
  • 家庭内:強い個人的結合関係を有する集団のメンバー間での使用
  • 10人程度のごく少数のサークルやグループも含まれる可能性があるが、個人的関係性の強弱により判断
  • 会社内部での使用は基本的に「私的」と評価されない

参考:

使用の概念

  • 著作物の表現を認識し、その価値を享受する態様での利用行為
  • 読む、聞く、見るだけでなく、私的範囲内での配布、演奏、展示も含む
  • 翻訳、編曲、変形、翻案も可能(47条の6第1号)

権利制限の例外(複製が認められない場合)

参考:

1号:公衆用自動複製機器の使用

  • 公衆の使用に供することを目的として設置された自動複製機器による複製は権利制限対象外
  • コピー機、ファクシミリ、テープレコーダー、高速ダビング機器等が該当
  • ただし、「専ら文書又は図画の複製に供する」複写機は当分の間除外(附則5条の2)

参考:

2号:技術的保護手段の回避

  • 技術的保護手段の回避により可能となった複製を、その事実を知りながら行う場合は権利制限対象外
  • 回避の事実および複製が可能となった事実についての認識が必要
  • 記録・送信方式の変換に伴う技術的制約による除去・改変は回避に含まれない
  • 令和2年改正により、信号の効果を妨げる行為も回避に含まれることが明確化

参考:

3号:その他の例外

  • 映画の盗撮防止法により、映画館での盗撮行為は権利制限対象外

参考:

私的録音録画補償金制度(2項)

参考:

制度の概要

  • デジタル方式の録音・録画機器および記録媒体を用いた私的複製について、相当額の補償金を著作権者に支払う義務
  • 高品質・無劣化というデジタル技術の特性に対応した制度

参考:

適用対象

  • デジタル方式の録音・録画機能を有する機器のうち政令で定めるもの
  • 放送業務用等の特別な性能を有するもの、録音機能付き電話機等は除外
  • 当該機器に用いられる記録媒体も対象

参考:

補償金の性質と額

  • 著作権制限の代償としての経済的対価
  • 「相当な額」として、通常の使用料より安いが利用に見合った額
  • 機器・記録媒体の製造・輸入業者が販売時に課金し、価格に転嫁する仕組み

参考:

現在の課題と将来的展望

参考:

技術進歩への対応

  • デジタル技術・情報通信技術の発展により、私的複製の質・量が飛躍的に向上
  • 3ステップテスト(ベルヌ条約9条2項)との適合性について議論
  • DRM技術の普及に伴う制度見直しの必要性

参考:

補償金制度の課題

  • パソコン等汎用機器への適用拡大の要請
  • 現実の複製行為との乖離による制度の形骸化
  • 技術進歩と制度設計のバランス調整の困難さ

参考:


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です