著作権法第30条の3(検討の過程における利用)

制度の概要

  • 他人の著作物について許諾取得や文化庁裁定を受けて利用する際、検討段階で必要な範囲内において当該著作物を利用可能とする規定
  • 平成24年改正で新設され、適法利用達成過程での合理的必要性がある利用を対象とする

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適用要件

主体要件

  • 著作権者からの許諾取得を予定している者
  • 文化庁の裁定(著作者不明、放送関連、商業用レコード録音)を受けて利用しようとする者
  • 著作権譲渡を受けて利用する場合も類推適用の余地あり

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目的要件

  • 利用検討過程での使用が目的であること
  • 社内検討に限定されず、広告代理店からクライアントへのプレゼン等も含む
  • 許諾申込み時の企画書・プレゼン資料作成も対象範囲

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量的制限

  • 検討目的から導かれる必要最小限度での利用
  • 不特定多数が閲覧可能なウェブサイトへの掲載等は範囲外

利益保護要件

  • 著作権者の利益を不当に害さないこと
  • 企画書の過度な部数配布等は制限対象

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利用可能な行為

  • 複製権、翻案権等すべての支分権に係る行為
  • 企画書への複製、キャラクターのフィギュア試作、プラモデル試作等
  • 平成30年改正で「いずれの方法によるかを問わず」の文言追加

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著作者人格権との関係

公表権

  • 未公表著作物の特定多数への頒布は公表権侵害のおそれ

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氏名表示権

  • 検討者間での著作者情報共有があれば、原作品への氏名表示省略は通常問題なし

同一性保持権

  • 試作品開発等での改変は同一性保持権の制限規定が適用される場合が多い

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制度趣旨と効果

  • 漫画・アニメキャラクター商品化等の社内検討段階での萎縮効果解消
  • 企画書作成や試作品製作における形式的な権利侵害リスクの除去
  • 検討結果として実際の申請に至らない場合でも保護対象

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