著作権法第30条の4(著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用)

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条文の概要

  • 著作物に表現された思想・感情の享受を目的としない場合、必要な限度で自由に利用可能
  • ただし、著作権者の利益を不当に害する場合は適用除外

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立法趣旨

  • 平成30年改正により、技術革新に対応した柔軟な権利制限規定として整備
  • 人工知能、IoT、ビッグデータ等の新技術進歩に対応
  • 多層的アプローチによる権利制限規定の構築
    • 第1層:権利者利益を通常害さない行為類型
    • 第2層:権利者への不利益が軽微な行為類型
    • 第3層:公益的政策実現のための行為類型

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適用要件

基本要件

  • 非享受目的:著作物に表現された思想・感情を享受することが目的でない
  • 必要最小限度:当該利用目的から導かれる最低限の範囲
  • 利益不当侵害の回避:著作権者の利益を不当に害さない

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「享受」の判断基準

  • 著作物の視聴により知的・精神的欲求を満たす効用を得る行為か否かで判断
  • 行為者の主観と客観的状況を総合考慮
  • 享受目的が一切含まれない場合に限定適用

具体的利用類型

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第1号:技術開発・実用化試験目的

  • 著作物の録音・録画その他利用技術の開発・実用化のための試験利用
  • 著作物利用技術に限定(著作物と無関係な技術開発は対象外)

第2号:情報解析目的

  • 大量情報から要素情報を抽出し、比較・分類等の解析を実施
  • 手作業による解析も適用対象
  • 統計的手法以外の解析手法も含む
  • 全ての支分権行為が利用可能

第3号:人の知覚認識を伴わない利用

  • 著作物表現について人の知覚による認識を伴わない利用行為
  • 電子計算機による情報処理過程での利用等
  • コンピュータのバックエンドでの著作物複製等

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改正による変更点

  • 未公表著作物も適用対象に拡大
  • リバースエンジニアリングも適用範囲に包含
  • 利用可能な支分権行為を全面拡大
  • 著作権者利益保護のためのただし書規定を新設

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運用上の留意点

  • 例示規定のため、各号以外の行為も適用可能
  • 利用態様や経緯等の客観的状況による総合判断が必要
  • 技術開発目的と称した不当な利用の排除
  • 著作物の種類・用途・利用態様を考慮した適用判断

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