著作権法第33条(教科用図書等への掲載)

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条文の概要

  • 公表済み著作物を学校教育に必要な範囲で教科書に掲載可能
  • 著作者への通知と著作権者への補償金支払いが必要
  • 高等学校通信教育用学習図書と教師用指導書にも適用

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趣旨・目的

  • 著作権者の排他的権利を制限する規定の一つ
  • 教育・学習活動促進のため、教育現場で最適な著作物利用を可能にする
  • 著作者通知と補償金支払いを条件として教科書掲載を認可

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第1項の要件

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対象著作物

  • 既に公表された著作物のみ掲載可能
  • 未公表の遺稿や日記等は掲載不可
  • 著作物の種類に制限なし(小説、詩歌、音楽、絵画、写真、地図等すべて対象)

掲載範囲の限度

  • 学校教育目的上客観的に必要と判断される正当な範囲内
  • 引用規定の主従関係や必要最小限性の要件は適用されない
  • 短編小説全編、詩歌、俳句、絵画、写真の全部掲載も認められる
  • 長編小説や写真集の全部掲載は不可

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教科用図書の定義

  • 文部科学大臣検定済み図書または文部科学省著作図書
  • 小学校、中学校、高等学校、中等教育学校等で使用
  • 盲学校、聾学校、養護学校、高等専門学校前期課程も含む
  • 大学教材、専修学校、各種学校は対象外
  • 教科書準拠教材や副教材は含まれない

第2項の義務

通知義務

  • 著作者(著作権者ではない)への掲載通知が必要
  • 改変する場合は改変内容も通知すべき
  • 事前通知が望ましいが、著作者人格権に問題がなければ事後でも可
  • 通知方法に制限なし
  • 通知懈怠による罰則はないが、損害賠償責任や著作者人格権侵害の可能性

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補償金支払義務

  • 著作権者への補償金支払いが必要
  • 文化庁長官が定める算出方法により金額決定
  • 著作物の種類、用途、通常使用料額等を考慮
  • 国内外著作物で消費税要否により金額が異なる
  • 支払わなくても著作権侵害にはならないが、法的債務は発生

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第3項の告示

  • 文化庁長官が補償金算出方法を官報で告示
  • 令和3年1月からインターネット等適切な方法による公表に変更
  • 教科書作成者が支払うべき補償金を容易に知ることができるよう配慮

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第4項の準用範囲

  • 高等学校等の通信教育用学習図書への準用
  • 教科用図書に係る教師用指導書への準用(教科書発行者発行のものに限定)
  • 一般市販の参考書類は対象外

その他の関連規定

  • 出所明示が必須(48条1項1号)
  • 翻訳・編曲・変形・翻案が可能(47条の6第1項1号)
  • 学校教育目的のやむを得ない改変が認められる(20条2項1号)
  • 著作者人格権を害する改変は禁止(50条)

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