著作権法第33条の3(教科用拡大図書等の作成のための複製等)

条文の趣旨と背景

参考:

  • 著作権法入門 2024-2025 (公的機関)
  • 著作権法の概要 (公的機関)
  • 視覚障害や発達障害等により通常の教科書使用が困難な児童生徒の学習機会を保障する制度
  • 平成15年改正で弱視者向け拡大教科書の複製を許可、平成20年改正で対象を拡大
  • 従来はボランティアが個別許諾を得て作成していたが、より円滑な作成を可能にした
  • 教科書バリアフリー法の制定により包括的な規定へ発展

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第1項:複製の許可範囲

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対象となる障害

  • 視覚障害:眼鏡等を使用しても教科書の文字や図形の認識が困難な弱視者
  • 発達障害:自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等の脳機能障害
  • その他の障害:上記に匹敵する程度の障害

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複製方式

  • 文字や図形の拡大複製(手作り教材、コピー等手法は問わない)
  • 点字による複製
  • 音声化、電子図書化、DAISY化による複製
  • 児童生徒が著作物を使用するために必要なあらゆる方式

利用制限

  • 用途は児童または生徒の学習用に限定
  • 出所明示が必須(違反は罰則対象)

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第2項:通知義務と補償金

教科用拡大図書等の定義

  • 著作物の全部または相当部分を複製するもの
  • 点字複製は除外
  • 元の教科書の複製物としてまとまりのあるもの

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通知義務

  • 対象者:営利・非営利を問わず教科用拡大図書等を作成するすべての者
  • 通知先:元となる教科書の発行者
  • 方式:葉書や電話等で事前通知すれば十分
  • 目的:発行者の情報把握、支援活動促進、自社作成時の参考

参考:

補償金支払義務

  • 対象者:営利目的で教科用拡大図書等を頒布する者のみ
  • 営利の定義:収益を上げて構成員に分配すること(実費徴収は対象外)
  • 支払先:著作権者(不明の場合は供託可能)

参考:

補償金額の算出

  • 通常教科書の補償金額に準拠しつつ、発行部数の少なさと利用形態の特殊性を考慮
  • 少部数発行の推定額の2分の1に設定
  • 著作物の種類(言語・音楽・美術写真)ごとに詳細な算出方法を規定

参考:

第3項:告示義務

  • 文化庁長官が補償金算出方法を定めた際の官報告示義務

参考:

第4項:電磁的記録の提供

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教科書バリアフリー法との連携

  • 教科書出版社にボランティア団体等へのデジタルデータ提供を義務化
  • 従来の手作業やスキャナー取込みの負担を軽減

提供行為の合法化

  • デジタルデータは「公表された著作物」に該当しないため、提供行為の法的根拠を明確化
  • 提供に必要な限度での著作権制限を規定
  • 複製、デジタル送信等の利用形態を許可

参考:

運用上の注意点

参考:

  • 音楽の著作権とは (公的機関)
  • 通知義務と補償金支払義務の対象者範囲が異なることに留意
  • 目的外使用は規制対象
  • 変形・翻案による利用も一定条件下で可能

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