基本的な趣旨
- 教育機関や地域での文化活動を円滑にするため、非営利かつ無料の著作物利用について著作権者の許諾を不要とする規定
- 大規模でなく頻繁でもない利用であれば、著作権者への不利益は少ないとの判断
参考:
第1項:上演・演奏・上映・口述の自由利用
参考:
適用要件(3つすべて必要)
- 公表された著作物であること
- 未公表著作物は対象外
- 適法な権限者により公衆に提示・提供されたもの
- 営利目的でないこと
- 直接的な財産上利益を目的としない
- 間接的利益も含む(工場のBGM、店舗の音楽、ダンス教室での音楽使用は営利目的)
- 営利法人による利用は原則として営利目的
- 社員運動会等の純粋な親睦目的は例外
参考:
- JASRAC音楽教室問題。取材等で話したことをざっくりまとめてみる (専門家)
- Mori Hamada Culture & Arts Journal – Issue 32 (専門家)
- 知財法務の勘所Q&A(第39回)音楽教室における著作権問題 (専門家)
- 聴衆・観衆から料金を徴収しないこと
- 名義を問わず、著作物提供の対価は「料金」
- 実費徴収でも料金に該当
- 会員費による実質的料金徴収も不可
- チャリティ興行でも料金徴収があれば対象外
参考:
例外規定
- 実演家や口述者に報酬を支払う場合は適用除外
- 車代・弁当代程度は報酬に含まれない
参考:
- 6-2-2.非営利上演等/Webで著作権法講義 (専門家)
- 文化審議会 著作権分科会(第17回)議事録 [資料3] 第2章 第1節 著作権契約の在り方等について (政府)
- 文化審議会 著作権分科会 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(第1回)議事録・配付資料 [資料7] 放送番組における出演契約ガイドライン (政府)
典型例
- 消防隊・自衛隊のコンサート
- 学校の学芸会での演奏
- 教室での教科書朗読
参考:
- 学校教育と著作権 | 著作権Q&A (公的機関)
第2項:有線放送・自動公衆送信の自由利用
参考:
- 放送等使用料(利用許諾・請求) (公的機関)
対象と要件
- 放送される著作物に限定
- 非営利かつ無料が条件
- 有線放送での同時再送信が可能
- 放送対象地域内での自動公衆送信が可能
参考:
第3項:受信装置による公の伝達
前段:一般的な受信装置
- 放送・有線放送される著作物をリアルタイムで伝達
- 非営利かつ無料が条件
- 受信装置の規模制限なし(巨大スクリーンも可)
後段:家庭用受信装置の特例
- 通常の家庭用受信装置使用時は営利目的・有料でも可能
- 飲食店・喫茶店での家庭用テレビ使用が典型例
- 業務用機器との境界は曖昧
参考:
第4項:複製物の貸与(映画以外)
適用範囲
- 公表された著作物(映画の著作物を除く)
- 非営利かつ無料の貸与
- 映画に複製された著作物の複製物は除外
料金の考え方
- 入館料・会費・郵送費等も料金
- 私立大学の施設費も料金に該当
第5項:映画の著作物の貸与
参考:
- 映像ソフト等の上映 (公的機関)
- 劇場用映画の製作・上映 (公的機関)
貸与可能な主体(政令指定)
- 国・地方公共団体設置の視聴覚教育施設
- 図書館法上の図書館
- 文化庁長官指定施設
- 聴覚障害者等福祉事業者(特定要件満たすもの)
補償金制度
- 相当額の補償金支払義務あり
- 支払わなくても著作権侵害にはならない
- 権利者団体との協議で金額・方法決定
- 映画著作物と複製著作物の頒布権者が対象
参考:
- 著作権法入門 2024-2025 (公的機関)
- 著作権法の概要 (公的機関)
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