条文の概要
- 時事の事件を写真・映画・放送等で報道する際、事件を構成する著作物や事件の過程で見聞きされる著作物を、報道の正当な範囲内で無許諾利用できる
- 報道の必要性を重視し、著作権者の許可取得の煩雑さを解消するための例外規定
参考:
- 著作権法入門 2024-2025 (公的機関)
- 著作権法と表現の自由をめぐる諸問題 (公的機関)
適用対象となる報道
- 時事の事件: 現在または現在に近接した時点の出来事(過去の歴史的事件は除外)
- 報道行為: 事件・事実の取材、編集、発表・伝達
- 報道手段: 写真、映画、放送、雑誌、インターネット等の方法は問わない
- 過去の新聞記事のデータベース提供や縮刷版提供は対象外
利用可能な著作物の範囲
事件を構成する著作物
- 報道する事件の対象となる著作物
- 絵画展の展示絵画、組織の襲名式を記録したビデオ等
参考:
- 著作権法における報道目的の利用とその制限 (公的機関)
- 著作権法における美術の著作物の利用と制限 (公的機関)
- 著作権法における著作物の利用可能範囲と制限 (政府)
事件の過程で見聞きされる著作物
- 事件そのものではないが、報道時に避けられない著作物
- 美術展報道時に映る絵画、スポーツ大会や式典で流れる音楽等
参考:
- 音楽の著作権とは (公的機関)
正当な範囲の判断基準
- 報道のために真に必要な範囲内であること
- 著作物の本来的利用と衝突しないこと
- 専ら営利目的等の報道以外の目的は認められない
- 読者の性的好奇心を刺激する目的での映画映像利用は範囲外
- 公共の関心事である刑事事件の被告人手紙引用は正当範囲内
参考:
- 報道目的の著作物利用に関するガイドライン (公的機関)
- 報道における著作権の適用範囲と制限 (公的機関)
- 報道目的の著作物利用に関する法的解釈 (専門組織)
認められる利用行為
複製行為
- 写真撮影、録音、録画等による有形的再製
参考:
報道に伴う利用
- 報道と一体となった利用
- ニュースフィルム内での放送、新聞・雑誌記事への掲載等
参考:
- 月刊コピライト 2025年3月号 (公的機関)
- 月刊コピライト 2025年2月号 (公的機関)
- 月刊コピライト 2025年1月号 (公的機関)
付随する権利・義務
- 翻訳権の付与
- 出所明示義務(慣行がある場合)
- 同一性保持権の制約(変更・切除等は禁止)
- 複製物の報道以外目的での頒布は譲渡禁止権違反
参考:
- 著作権法逐条講義(七訂新版) (専門家)
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