著作権法第44条(放送事業者等による一時的固定)

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条文の趣旨

  • 放送・有線放送では番組内容を事前に媒体に収録する手法が一般的
  • 適法な放送・有線放送のための一時的録音・録画について、別途録音・録画の許諾を求めることは不合理
  • 放送事業者・有線放送事業者による一時的録音・録画を著作権者の許諾なしに実施可能とする制度

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放送事業者の一時的固定(第1項)

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主体の限定

  • 「放送を業として行う者」である放送事業者のみが対象
  • 有線放送事業者とは区別して規定

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対象となる著作物

  • 公衆送信権を侵害せずに放送可能な著作物に限定
  • 具体的には以下の場合:
    • 著作権者から放送許諾を得た著作物
    • 著作権制限規定により適法に放送可能な著作物
    • 文化庁長官の裁定を受けた著作物
    • 公衆送信権が消滅している著作物
    • 公衆送信権が放送事業者に譲渡されている著作物

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利用目的の制限

  • 「自己の放送のため」に限定
  • キー局が自己の放送とローカル局への提供を同時に行う場合も適用対象

使用可能な手段

  • 自己の物的手段(施設・設備)による録音・録画
  • 所有・リース・継続的賃借の設備を含む
  • 同一著作物を放送可能な他の放送事業者の手段も利用可能

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一時的固定の要件

  • 一定期間経過後の消去を予定した録音・録画
  • 複数回使用予定でも「一時的」に該当
  • 自動消去システムは不要、手動消去の予定で充分

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有線放送事業者の一時的固定(第2項)

放送事業者との相違点

  • 有線放送事業者は自己の手段のみ使用可能
  • 放送受信による同時再送信は対象外
  • その他の要件は放送事業者とほぼ同様

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保存期間の制限(第3項)

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基本的な保存期間

  • 録音・録画から6か月が上限
  • 期間内に放送・有線放送を実施した場合は、その後6か月に延長
  • 繰り返し放送により保存期間が更新される仕組み

期間超過の効果

  • 保存期間を超えた場合は複製権侵害とみなされる
  • 個別の著作物ごとに保存期間を計算

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公的記録保存所での保存

  • 文化庁長官指定の公的記録保存所では期間制限の適用除外
  • 現在の指定機関:
    • 民間放送連盟記録保存所
    • 放送博物館
    • 放送文化財ライブラリー
  • 「記録として特に保存する必要があるもの」に限定
  • 網羅的保存は不可

目的外使用の禁止

  • 本条に基づく録音・録画物を目的外で公衆提供した場合は複製権侵害
  • キー局が放送権限のない系列局に提供する場合も侵害に該当

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