条文の目的
- 行政機関情報公開法、独立行政法人情報公開法、情報公開条例の円滑な運営を図るため、情報開示に伴う著作物利用について一定の限度で著作権を制限
参考:
- 著作者の権利について(その4) (公的機関)
- 情報公開審査会答申(第59号) (政府)
利用主体
- 行政機関の長
- 独立行政法人等
- 地方公共団体の機関
- 地方独立行政法人
- 実際の複製作業は職員が行うが、規範的には上記機関が複製主体となる
利用可能な場面
- 情報公開法等の規定に基づき著作物を公衆に提供・提示する目的の場合に限定
- 対象となる著作物は行政機関等が著作権を有するものに限らず、私人が提出した著作物も含む
- 開示請求に対し、不開示情報を除いて開示義務がある場合
参考:
- 官公庁が公表した文書に著作権はあるのか?利用上の注意点を解説 | モノリス法律事務所 (専門家)
- リモート社会とオンライン配信の著作権・肖像権ガイド(拡張版) 福井健策|コラム | 骨董通り法律事務所 For the Arts (専門家)
利用方法と範囲の制限
参考:
- 著作権法入門 2024-2025 (公的機関)
- JASRAC著作権アカデミー (公的機関)
行政機関の長
- 行政機関情報公開法第14条第1項および関連政令が定める方法による開示に必要な限度
- 文書・図画は閲覧または写しの交付
- 電磁的記録は政令で定める方法
- 録音・録画物の再生による視聴・聴取
- 映画フィルムの映写による視聴
- スライドと録音テープの同時再生による視聴
参考:
独立行政法人等
- 独立行政法人等情報公開法第15条第1項に規定する方法による開示に必要な限度
- ただし、行政機関情報公開法施行令で定める方法以外の開示方法は対象外
参考:
- 内閣法制局における行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく処分に係る審査基準 (政府)
- 情報公開請求に対する審査基準 | IPAについて | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 (公的機関)
- 情報公開法に基づく経済産業大臣の処分に係る審査基準(詳細1) (METI/経済産業省) (政府)
地方公共団体
- 各情報公開条例で定める方法による開示に必要な限度
- ただし、行政機関情報公開法施行令で定める方法以外の開示方法は対象外
参考:
著作物利用の効果
- 上記の必要な限度における著作物利用は著作権者の許諾なしに実施可能
- 開示請求者による複製物の再複製は本条では直接許可されない
- 住民団体の代表者が入手した複製物を他の構成員に配布する行為については、著作権侵害を構成しないとする見解が存在
参考:
- 複製権の内容と複製権侵害の判断基準 (専門家)
- 著作物の利用が可能な場合 (専門家)
- 著作権に含まれる権利の種類 (学術)
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