著作権法47条の2(美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等)

条文の概要

  • 美術品等の取引における商品紹介画像の複製・公衆送信を一定要件下で許容する規定
  • 美術品等の所有者による適法な取引行為と著作権の調整を目的とする
  • 平成21年改正で新設された権利制限規定

参考:

立法背景

  • ネットオークション等で絵画等を取引する際、商品画像の掲載が複製権・公衆送信権の侵害となる問題があった
  • 美術品の譲渡は適法でも、商品情報提供が著作権法違反となる不合理を解消する必要があった
  • オークション業者のカタログ掲載について著作権侵害を認めた判例も存在した

参考:

適用対象となる著作物

  • 「美術の著作物又は写真の著作物」に限定される
  • 1つの著作物が複数の種類の著作物の性質を併有する場合、美術・写真の著作物としての性質があれば適用可能
  • 漫画は言語と美術の著作物の性質を併有するため適用対象となる
  • 小説の表紙やレコードジャケットが美術・写真の著作物の性質を有する場合は適用される
  • その他の著作物のみの性質しか有しない場合でも類推適用の可能性がある

参考:

適用主体

  • 原作品・複製物の所有者その他譲渡・貸与の権原を有する者
  • 上記の者から委託を受けた者(オークション事業者等)
  • 税務署長(国税徴収法による公売)、執行官(民事執行法による競売)も含まれる

参考:

適用要件

権利侵害がないこと

  • 譲渡権・貸与権を侵害しない場合に限定される
  • 譲渡権は適法な第一譲渡後に消尽し、善意無過失取得者の譲渡も適法となる
  • みなし侵害との関係で複雑な問題が生じる場合がある

参考:

有体物の取引であること

  • 原作品・複製物の譲渡・貸与を前提とする
  • デジタル画像や電子書籍のネット販売等には適用されない

参考:

申出の用に供する目的

  • 譲渡・貸与の申出のための複製・公衆送信に限定される
  • 行為者の主観的要件だが、客観的事情(複製の程度・範囲等)で判断される
  • インターネットオークション、ショッピングサイト、紙媒体カタログ等に適用可能
  • 画集等の表紙は通常適用されるが、収録作品の掲載は原則として適用外
  • 譲渡完了後の画像掲載継続は要件を満たさない

参考:

許容される行為と制限措置

許容される行為

  • 複製(紙媒体カタログ作成等)
  • 公衆送信(自動公衆送信の場合は送信可能化を含む)

参考:

制限措置(政令・省令で規定)

複製の場合

  • 図画による複製:表示の大きさが50平方センチメートル以下
  • デジタル複製:画素数が32400以下
  • 上記基準に合致しない場合:申出に必要な最小限度で公正な慣行に合致すること

参考:

公衆送信の場合

  • コピープロテクション有:画素数90000以下または必要限度で公正な慣行に合致
  • コピープロテクション無:画素数32400以下または申出に必要な最小限度で公正な慣行に合致

その他の規定

  • 作成された複製物は公衆に譲渡可能だが、本条の目的以外での譲渡は譲渡権侵害となる
  • 目的外の頒布・公衆提示は複製権侵害とみなされる
  • 著作物利用時には出所明示義務がある

参考:

関連ニュース


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です