著作権法47条の4(電子計算機における著作物の利用に付随する利用等)

制度概要

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制定の背景

  • 平成30年改正で新設された「柔軟な権利制限規定」の一つ
  • 複数の既存権利制限規定を整理・統合し、一定の利用について柔軟な権利制限を認める
  • 主たる著作物利用に付随する行為であり、著作権者には主たる利用時に対価回収機会が確保されている

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基本的考え方

  • 主たる著作物利用行為の補助的・補完的な行為が対象
  • 新たな享受機会を提供せず、独立した経済的重要性を持たない行為
  • 著作物利用態様を3層に分けた「多層的」対応の第1層に位置

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第1項:付随的利用のための権利制限

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適用対象

  • 電子計算機における利用に供される著作物(情報通信技術による利用を含む)
  • 著作物の種類、公表・未公表を問わない
  • 主体による限定なし(事業者も利用可能)

権利制限が認められる場合

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1号:情報処理過程での記録

  • 著作物の複製物を用いた利用または送信を受信した利用の場合
  • 情報処理を円滑または効率的に行うための記録媒体への記録
  • ウェブサイト閲覧時のブラウザキャッシュ、動画視聴時のプログレッシブダウンロード等

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2号:送信の遅滞・障害防止

  • 自動公衆送信装置を他人の送信用に供する事業者による利用
  • 送信の遅滞・障害防止または中継送信の効率化が目的
  • ミラーリング、フォワードキャッシュ、グリッドコンピューティング等

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3号:情報提供準備のための処理

  • 情報通信技術による情報提供を円滑・効率的に行うための準備
  • 電子計算機による情報処理を目的とした記録媒体への記録または翻案
  • 動画共有サイトでのファイル形式統一、並列分散処理での複製等

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柱書:その他同様の利用

  • 上記各号と同様に電子計算機利用を円滑・効率的に行うための付随的利用
  • CDNにおける著作物複製、ISPによるフィルタリングのための複製等
  • 各号の背景にある利益状況が同様であれば権利制限を認める

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制限要件

  • 必要と認められる限度内での利用
  • いずれの支分権該当行為も可能
  • 著作権者の利益を不当に害する場合は適用除外

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第2項:利用状態の維持・回復のための権利制限

適用対象

  • 電子計算機における利用に供される著作物
  • 事業者による利用も可能(HDD移行サービス等)

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権利制限が認められる場合

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1号:機器の保守・修理

  • 記録媒体内蔵機器の保守・修理時の一時的記録
  • 複製機能を有する機器に限定せず
  • パソコン修理時の一時的データ移行等

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2号:機器の交換

  • 同様機能を有する機器との交換時の記録
  • 交換理由の限定なし(買い替えも含む)
  • 「同種機器」から「同様機能機器」に拡大
  • スマートフォン交換時のデータ移行等

3号:サーバーデータの復旧

  • 自動公衆送信装置を他人の送信用に供する事業者による利用
  • 送信可能化された著作物の複製物が滅失・毀損した場合の復旧用
  • 記録媒体の限定を削除

柱書:その他同様の利用

  • 利用状態の維持・回復を目的とする場合
  • メディア変換については個別判断が必要

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メディア変換の判断基準

  • 利用機会の実質的増加がないこと
  • 利用状態の維持・回復目的であること
  • 補助的・補完的な行為であること

制限要件

  • 必要と認められる限度内での利用
  • あらゆる支分権該当行為が可能
  • 著作権者の利益を不当に害する場合は適用除外

適用除外条件

不当害基準

  • 著作権者の著作物利用市場との衝突
  • 将来の潜在的販路の阻害
  • 著作物の種類・用途・利用態様を総合考慮

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