著作権法47条の5 電子計算機による情報処理及びその結果の提供に付随する軽微利用等

制度の概要

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制度の趣旨

  • 平成30年改正で新設された「柔軟な権利制限規定」の一つ
  • 電子計算機による情報処理で新たな知見や情報を創出する行為について、著作物の軽微な利用を認める
  • デジタルネットワーク技術や情報処理技術の発展により可能となった社会的意義の高いサービスを支援
  • 著作物の利用を軽微なものに留めることで著作権者への不利益を最小限に抑制

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適用対象となる行為

  • 電子計算機を用いた情報処理により新たな知見または情報を創出する行為
  • 著作物の利用促進に資する行為であることが必要
  • 政令で定める基準に従って行われる必要がある

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第1項の権利制限(軽微利用)

対象となる具体的行為

1号:検索サービス

  • 検索により求める情報が記録された著作物の題号や著作者名の検索
  • 送信元識別符号その他の検索情報の特定・所在に関する情報の検索と結果提供
  • 改正前47条の6を引き継ぎ、対象を拡大
  • 例:書籍検索サービスでキーワードを含む文章の一部分を提供する行為

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2号:情報解析

  • 電子計算機による情報解析とその結果提供
  • 改正前47条の7を引き継ぎ、統計的手法の限定を撤廃
  • 例:論文の剽窃チェックサービス、評判分析サービス

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3号:政令指定行為

  • 将来の技術進展に対応するため、政令で定める行為を追加可能
  • 国民生活の利便性向上に寄与する行為が対象

利用可能な著作物

  • 公衆提供提示著作物(公衆への提供または提示が行われた著作物)
  • 公表された著作物または送信可能化された著作物に限定
  • インターネット上の著作物は公表の有無を問わず対象

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利用の要件

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目的と範囲

  • 各号に掲げる行為の目的上必要と認められる限度
  • 当該行為に付随した利用であること(主従関係が必要)
  • いずれの方法による利用も可能(複製、公衆送信、翻案等)

軽微性の判断基準

  • 利用部分の全体に占める割合
  • 利用部分の量
  • 表示の精度
  • その他の外形的要素
  • 利用目的の公共性は考慮されない

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適用除外事由

  • 違法著作物と知りながら利用する場合
  • 著作権者の利益を不当に害する場合(市場との衝突、潜在的販路の阻害)

第2項の権利制限(準備行為)

対象者と行為

  • 第1項各号の行為の準備を行う者
  • 情報の収集、整理、提供を政令基準に従って実施
  • 第1項の行為者と同一である必要はない(分業可能)

利用の範囲

  • 軽微利用の準備のために必要な限度
  • 複製、公衆送信、複製物の頒布が可能
  • 軽微性の制限はない(書籍全体やウェブサイト全部の複製も可能)

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対象著作物と制限

  • 公衆提供提示著作物全般(公表・未公表を問わない)
  • 著作権者の利益を不当に害する場合は適用除外

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政令・省令による具体的基準

検索サービス関連

  • 受信制限措置が講じられた著作物は管理者の承諾が必要
  • robots.txtやメタタグによる収集禁止措置の尊重
  • ディレクトリ型検索サービスも対象

事業者の義務

  • 情報漏えい防止措置の実施
  • 要件解釈に関する事前学習(解説書閲覧、専門家相談等)
  • 問い合わせ窓口の明示

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データベース管理

  • 第三者による使用の技術的管理・制限
  • 適切な保管場所での管理
  • 分業における適切な説明義務

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