制度の概要
参考:
制度の趣旨
- 美術・写真の著作物の原作品を公に展示する際の解説・紹介用小冊子への複製掲載は古来より行われてきた慣行である
- 原作品の公への展示が適法に行われる場合、著作権者は相当の対価を得る機会があるため、副次的な利用を認めても不当な害とならない
- スクリーン投影やタブレット端末による解説・紹介サービスの普及に対応するため改正された
- 美術館のウェブサイトでの展示情報提供における画像掲載の需要に対応するため改正された
参考:
- 美術館で絵画を撮影しウェブサイトに掲載しても良いのか (専門家)
- 美術館ですが、所蔵作品を紹介するために美術館のホームページに当該作品の写真を掲載しようと思うのですが、著作権の問題はありますか。 (公的機関)
- 美術館と著作権 - タブレット、サムネイルの利用とこれからの展示 (専門家)
第1項:小冊子掲載・上映・自動公衆送信のための複製
参考:
- 著作権法入門 2024-2025 (公的機関)
- 広告での音楽利用 (公的機関)
利用主体
- 原作品展示者:美術・写真の著作物の原作品により、展示権を害することなく公に展示する者
- 展示権者の許諾、原作品所有者の同意等により適法に展示を行う者に限定される
参考:
- 著作権法逐条講義(七訂新版) (専門家)
- 月例著作権研究会 (公的機関)
対象著作物
- 美術の著作物:形状や色彩によって表現され、美的鑑賞の対象となるもの
- 写真の著作物:写真という手法により表現されるもの(発行済みのものも含む)
- 原作品による展示に限定される(複製物による展示は対象外)
参考:
利用可能な行為
- 小冊子への掲載:観覧者のための展示著作物の解説・紹介を目的とする小冊子に掲載
- 複製:上映・自動公衆送信のために必要な限度での記録媒体への複製
参考:
- 月刊コピライト 2025年3月号 (公的機関)
要件・制限
- 観覧者のための解説・紹介を主たる目的とすること
- 「小冊子」は小型で薄い書籍に限定される
- 観賞用の豪華本や画集として市場価値を持つものは対象外
- 著作権者の利益を不当に害する場合は適用除外
第2項:上映・自動公衆送信
参考:
利用可能な行為
- 上映:館内スクリーンやタブレット端末での映写
- 自動公衆送信:館外サーバーから携帯端末への送信を含む
参考:
- 劇場用映画の製作・上映 (公的機関)
- 著作物等の適切な保護と利用・流通に関するワーキングチーム(第1回)議事次第 (政府)
- 放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関するワーキングチーム(第3回) (政府)
要件
- 観覧者のための展示著作物の解説・紹介を目的とすること
- 必要と認められる限度での利用
- 解説文や紹介文なしに画像のみを表示することは不可
第3項:展示情報の提供
利用主体
- 原作品展示者
- 政令で定める準ずる者(文化庁長官指定の非営利法人等)
利用可能な行為
- 複製:チラシ・ポスターへの掲載
- 公衆送信:ウェブサイトでの画像掲載を含む
参考:
- 音楽の著作権とは (公的機関)
要件
- 展示著作物の所在に関する情報を公衆に提供する目的
- 必要と認められる限度での利用
- サムネイル画像に限定されず、宣伝効果を持つものも可能
参考:
共通の制限事項
著作権者利益の不当阻害
- 展示著作物の種類・用途、複製・送信の態様を総合考慮
- 観覧者への便宜を超えて著作権者のビジネスに支障を生じさせる場合は適用除外
- 観賞用として市場価値を持つ態様での利用は不可
参考:
- 文化審議会著作権分科会(第66回) (政府)
- 文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会(第5回) (政府)
実務上の考慮事項
- 展示開始前の準備段階での複製等も許可される
- 専門業者への委託による作業も原作品展示者の行為として扱われる
- 展示終了後の余剰小冊子の配布は権利侵害となる
参考:

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