著作権法第58条(保護期間の特例)

条文の概要

  • 外国を本国とする著作物の保護期間について相互主義の特例を規定
  • 条約加盟国の著作物で本国の保護期間が日本より短い場合、本国の期間に限定
  • 日本国民の著作物は例外として日本法の保護期間を適用

適用対象となる条約・協定

  • ベルヌ条約加盟国:1886年締結、1971年パリ改正、179ヵ国加盟の文学的・美術的著作物保護条約
  • WIPO著作権条約締約国:1996年作成、2000年発効、107ヵ国加盟の著作権保護条約
  • WTO加盟国:1995年設立の自由貿易促進機関、164ヵ国加盟、TRIPs協定を含む

参考:

相互主義の仕組み

  • 本国での保護期間が日本の第51条~54条より短い著作物が対象
  • 著作物の本国で定める保護期間に日本での保護も限定
  • 例:本国で死後30年保護の場合、日本でも30年間のみ保護

参考:

日本国民著作物の特例

  • 第6条第1号該当の日本国民著作物は相互主義の例外
  • 保護期間の短い外国で発表しても日本法の長期保護を維持
  • 日本国民が不利益を受けることを防止する措置

その他の保護期間特例

万国著作権条約による特例

  • パリ改正条約第4条第4項による相互主義規定
  • 加盟国民の未発表著作物について同様の期間制限

参考:

戦時加算制度

  • 日本との平和条約第15条に基づく特例措置
  • 連合国・連合国民の著作権に戦争期間(3794日)を加算
  • 著作権を「取得」していることが適用要件
  • 単なる管理委託では適用されない(ナクソス島のアリアドネ事件判例)

参考:


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