基本的な保護期間
参考:
- 著作権法入門 2024-2025 (公的機関)
- 著作権法の保護期間に関する解説 (公的機関)
原則的な期間
- 映画の著作物の著作権は、公表後70年間存続する
- 保護期間は公表された年の翌年1月1日から起算される
- 映画の公開上映時が通常の「公表」時点とされる
未公表作品の特例
- 創作後70年以内に公表されない場合は、創作後70年で保護期間が終了する
- 長期間未公表のまま放置されることによる過度な保護期間延長を防ぐ措置
参考:
原著作物との関係
原著作物の権利消滅
- 映画の著作権が満了すると、その原著作物(原作小説、脚本等)の著作権も消滅する
- ただし消滅するのは「当該映画の利用に関する」範囲のみ
- 脚本の演劇上演権や出版権など、映画以外の利用権は存続する
複製物との区別
- 映画内で「複製」された美術・音楽作品は原著作物に該当しない
- これらの保護期間は別途算定が必要
参考:
- 著作権についての取り組み | 日本映画・テレビ 美術監督協会 (公的機関)
- Q&A ビデオ録画物の製作 | 公益社団法人著作権情報センター CRIC (公的機関)
- 制作基礎知識シリーズVol.49 舞台芸術に関連する著作権法の例外規定 ~近時の著作権法改正を踏まえて~ – 一般財団法人 地域創造 (公的機関)
他の保護期間規定との関係
参考:
- 日本音楽著作権協会(JASRAC) (公的機関)
適用除外
- 無名・変名著作物(52条)や団体名義著作物(53条)の保護期間規定は適用されない
- 映画の著作物については本条の規定のみが適用される
参考:
- 簡単にもかかわらず実は難しい保護期間の計算方法 (公的機関)
- 保護期間の例外 (専門家)
制度の背景と趣旨
参考:
- 著作権法の解説 (政府)
公表時起算主義の採用理由
- 映画制作には多数の著作者が関与するため、死亡時起算が困難
- 著作権の帰属が映画製作者に集中していることとの整合性
保護期間延長の経緯
- 従来の50年から70年に延長(平成15年改正)
- 一般著作物と比較した実質的な保護期間の不平等を解消
- 国際的な映像コンテンツ産業の発展と二次利用の重要性を考慮
参考:
- 著作物等の適切な保護と利用・流通に関するワーキングチーム(第1回)議事次第 (政府)
- 第6回 著作権分科会 議事録 (政府)
- Overview of the Copyright System (政府)
実務上の留意点
参考:
- 近時の裁判例から見る引用に関する実務上の留意点 2025 (公的機関)
- 実務者のための著作権ハンドブック(新版) (公的機関)
字幕・吹替えの扱い
- 外国映画の字幕や日本語吹替えは二次的著作物として別個の保護を受ける
- 原映画の保護期間満了後も、字幕版・吹替え版の著作権は存続する
参考:
創作時点の判断
- 映画の「創作の日」は、著作者の思想・感情が外部的に表現された時点
- 最終完成前でも、映画著作物としての形を備えていれば創作時となる
参考:
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