著作権法第51条(保護期間の原則)

保護期間制度の基本的考え方

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保護期間設定の必要性

  • 著作権の永続的保護は文化発展を阻害する
  • 創作者は先人の文化的業績を利用して新たな作品を生み出している
  • 保護期間が短すぎると創作者のインセンティブが低下する
  • 利用者の利益と創作者の利益の適切な調和点を見出すことが重要

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起算方式の選択

  • 日本は「死亡時起算主義」を採用(著作者の死亡時を基準とする方式)
  • 「公表時起算主義」(公表時を基準とする方式)という選択肢もある

著作権の発生と存続期間

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権利発生の原則(1項)

  • 著作権は著作物の創作時点で自動的に発生する
  • 無方式主義を採用し、登録や申請は不要
  • 公表の有無も権利発生に影響しない

保護期間の原則(2項)

  • 著作者の死後70年間存続する(平成30年改正により50年から延長)
  • 著作者の死亡年の翌年1月1日から起算して70年間
  • 実際の保護期間は創作時から著作者の死後70年まで

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共同著作物の特例

  • 複数の著作者による共同著作物では、最後に死亡した著作者の死後70年まで保護
  • 共同著作により著作者が不利益を受けないようにする配慮

例外規定

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別段の定めがある場合

  • 無名・変名の著作物(52条)
  • 団体名義の著作物(53条)
  • 映画の著作物(54条)
  • 外国著作物の特例(58条) これらは公表時起算主義を採用

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早期消滅の場合

  • 相続人不存在や法人解散により著作者死後70年前に権利が消滅する場合がある

改正の経緯と適用関係

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保護期間延長の背景

  • TPP協定により著作者死後70年への延長が義務化
  • 平成30年12月30日から施行

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経過措置

  • 改正施行前に権利が消滅した著作物には新制度は適用されない
  • 昭和42年以降に死亡した著作者の作品は70年保護の対象
  • 一度消滅した権利の復活は認められない

写真の著作物の特殊事情

  • 旧法では発行後10年(後に13年)の保護期間
  • 現行法制定時は公表後50年
  • 平成8年改正で他の著作物と同様の扱いに変更
  • 昭和21年以前創作または昭和31年以前公表の写真は既に保護期間終了

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