著作権法第49条(複製物の目的外使用等)

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制度の概要

  • 著作権制限規定に基づいて作成された複製物を、本来の目的以外で使用することを防止する規定
  • 目的外使用等を行った者は、複製を行ったものとみなされる
  • 損害賠償請求権の消滅時効や公訴時効は、目的外使用等を行った時点から起算される

第1項の規定内容

対象となる行為

  • 著作権制限規定の適用を受けて作成された複製物について、規定された目的以外で以下の行為を行うこと
    • 頒布(有償・無償問わず公衆への譲渡・貸与)
    • 公衆への提示(送信可能化を含む)

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適用される制限規定

  • 私的使用目的の複製(30条1項)
  • 検討過程での利用(30条の3)
  • 図書館利用者の調査研究用複製(31条1項1号・3項後段)
  • 学校教育目的の複製(33条の2第1項)
  • 障害児童等の学習用複製(33条の3)
  • 教育機関の授業での複製(35条1項)
  • 視覚障害者等向け複製(37条3項)
  • 聴覚障害者等向け複製(37条の2)
  • 報道目的の複製(41条~42条の3)
  • 放送・有線放送目的の複製(44条1項・2項)
  • 美術作品展示に伴う複製(47条1項・3項)
  • その他技術的複製に関する規定(47条の2~47条の5)

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特別な規定

  • 思想感情享受目的外利用(2号): 30条の4により作成した複製物を、思想感情享受目的で利用した場合
  • 期間超過保存(3号): 44条3項に違反して録音・録画物を6ヶ月超保存した放送事業者
  • プログラム関連(4号・5号): 47条の3に基づく複製物の目的外頒布・提示、違法保存
  • 電子計算機利用(6号): 47条の4・47条の5第2項に基づく複製物の目的外利用

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第2項の規定内容

二次的著作物への適用

  • 制限規定により作成された二次的著作物の複製物を目的外使用した場合
  • 原著作物について翻案等(27条)を行ったものとみなす
  • 二次的著作物について複製(21条)を行ったものとみなす

各号の内容

  1. 一般的制限規定: 私的使用、図書館複製、教育目的複製等で作成された二次的著作物の目的外頒布・提示
  2. 検討過程・軽微利用: 30条の3・47条の5第1項による二次的著作物の目的外利用
  3. 思想感情享受: 30条の4による二次的著作物の享受目的利用
  4. プログラム頒布・提示: 47条の3第1項による二次的プログラムの目的外頒布・提示
  5. プログラム違法保存: 47条の3第2項違反による二次的プログラムの保存
  6. 電子計算機付随利用: 47条の4による二次的著作物の目的外利用
  7. 情報処理準備行為: 47条の5第2項による二次的著作物の目的外利用

適用上の注意点

  • 複製物作成者以外の第三者が目的外使用を行った場合も適用対象
  • 主観的要件として「目的」を有することが必要
  • 権利者の同意がある場合の法的性質については見解が分かれる
  • 違法保存の場合、複製物廃棄まで侵害が継続するものとみなされる

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