著作権法第65条(共有著作権の行使)

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共有著作権の定義と種類

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共有著作権の範囲

  • 共同著作物の著作権:2人以上が共同創作し、各人の寄与を分離して個別利用できない著作物の権利
  • その他の共有著作権:相続や一部譲渡により複数者が有するに至った著作権

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民法との相違点

  • 民法の共有規定は個人主義的で共有関係の解消を基本とする
  • 著作権法は著作物利用の特殊性から、持分譲渡への同意や権利行使への全員合意を要求
  • 著作物の一体的行使と創作意図の観点を重視

持分の譲渡・質権設定(1項)

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同意の必要性

  • 他の共有者全員の同意が必要(1人でも反対があれば効力なし)
  • 相続や会社合併等の一般承継では同意不要
  • 持分放棄も他の共有者に帰属するため同意不要

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同意が得られない場合の対処

  • 意思表示を命じる判決の取得が可能
  • 共有物分割請求(民法258条)の利用
  • 全面的価格賠償方法による分割が適切

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強制執行への適用

  • 差押えは可能だが換価には他の共有者の同意が必要
  • 同意が得られない場合は同意を命じる判決が必要

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共有著作権の行使(2項)

全員合意の原則

  • 共有者全員の合意なしに権利行使は不可
  • 物の共有と異なり、他の共有者の利用が自己の利益に影響するため

「行使」の範囲

  • 複製・放送等の積極的利用行為
  • 他人への利用許諾
  • 共有者自身による利用行為も含む
  • 差止請求や損害賠償請求は単独で可能(保存行為として)

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契約による修正

  • 任意規定のため事前契約により合意要件の排除が可能
  • 相続等で事前契約がない場合は問題となる

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正当な理由による拒絶(3項)

持分譲渡の同意拒絶

  • 正当な理由なき同意拒絶は不可
  • 同額での買取申出がない場合は正当な理由がないとされる傾向
  • 譲受人の信用性等が考慮要素

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権利行使の合意拒絶

  • 口頭弁論終結時の諸般事情を総合考慮
  • 権利行使できない不利益と合意を望まない共有者の利益を比較衡量
  • 著作者人格権より厳しい基準(「信義に反して」より「正当な理由」の方が明確な論拠が必要)

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立証責任

  • 拒絶する側が正当な理由を立証する説が有力
  • 双方が有利な事情をそれぞれ立証すべきとする説もある

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代表者による権利行使(4項)

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64条の準用

  • 共有者中から代表者を定めることが可能
  • 代表者への制限は善意の第三者に対抗不可
  • 法的安定性と取引の安全を確保

実務上の問題点

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判決による解決の困難性

  • 裁判所が意思表示を命じる判決を下すことは実務上困難
  • 差止請求権不存在確認訴訟での解決が現実的
  • 正当な理由なき拒絶者による差止請求は権利濫用として制限

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二次的著作物への類推適用

  • 原著作者と二次的著作物作者の関係は共同著作とは異なる
  • 共同創作という緊密な関係がないため類推適用は否定的
  • 原著作者には諾否の自由がある

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