著作権法第60条(著作者が存しなくなつた後における人格的利益の保護)

条文の概要

  • 著作物を公衆に提供・提示する者は、著作者の死後も著作者人格権の侵害に該当する行為を禁止
  • ただし、著作者の意を害しないと認められる場合は例外

制度の趣旨

  • 著作者人格権は著作者の死亡により消滅するが、ベルヌ条約の規定により設けられた制度
  • 著作者の生前の人格的利益保護を十全にするため、生者の信頼感という社会的法益を保護
  • 著作者死後は同意を得る方法がないため、文化発展を阻害しないよう例外規定を設置

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適用対象と範囲

保護対象となる著作物

  • 現行著作権法により保護される著作物が対象
  • 旧著作権法施行前に著作権が消滅した著作物は適用外

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適用条件

  • 著作者が死亡または法人が解散した後
  • 著作物を公衆に提供・提示する場合に限定
  • 共同著作物では、一人でも死亡すれば当該著作者との関係で適用

禁止される行為

  • 公表権、氏名表示権、同一性保持権の侵害行為
  • 著作者の名誉・声望を害する方法による著作物利用
  • 侵害物品の輸入・頒布・所持等の行為
  • 著作権保護期間経過後も禁止継続

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例外規定(ただし書)

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適用要件

  • 当該著作者の意を害しないと客観的に認められる場合
  • 著作者の生前の人格権行使態様から判断して許容範囲内の行為

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判断要素

  • 行為の性質:侵害行為の態様や意図
  • 行為の程度:変更を加えた程度
  • 社会的事情の変動:仮名遣い変更、使用可能漢字の変更、コンピュータ発達、秘密性喪失、社会的タブーの変化
  • その他の事情:著作者の生前の明示的意思表示、公表を拒んだ理由の有無等

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法的効果

  • 遺族による差止請求・名誉回復措置請求が可能
  • 500万円以下の罰金(刑事罰)
  • 損害賠償請求は認められない
  • 非親告罪として処罰対象

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