著作権法68条(著作物の放送)

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制度の概要

  • 放送の公共性を考慮し、著作権者の許諾が得られない場合でも文化庁長官の裁定により放送を可能にする強制許諾制度
  • 著作権者の権利濫用を抑制し、放送の公共的機能を円滑に発揮させることが目的
  • 実際に利用された実績はなく、権利濫用抑制のための抑止的効果を持つ制度

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第1項の要件と手続き

  • 対象著作物: 公表済みの著作物に限定(未公表著作物は公表権侵害となるため除外)
  • 申請主体: 放送事業者のみ(有線放送事業者は対象外)
  • 協議要件: 著作権者との協議が不成立または協議不能な場合
  • 裁定手続き: 文化庁長官による裁定を受けることが必要
  • 補償金: 通常使用料相当額の補償金支払いが条件

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第2項の付随的利用

  • 第1項の裁定に基づく放送について、再裁定なしで以下の利用が可能
    • 有線放送での再送信
    • 放送対象地域内でのIPマルチキャスト送信
    • 受信装置による公の伝達
  • 補償金支払義務あり(ただし非営利利用の場合は除外)
  • 補償金額は裁定対象外のため、訴訟等で決定

制度の限界

  • 既存著作物をそのまま放送する場合のみ適用(翻案が必要な場合は対象外)
  • 著作者人格権(氏名表示権・同一性保持権)への配慮が必要
  • 著作隣接権には適用されない
  • 著作権者に廃絶意思や正当事由がある場合は裁定不可

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平成18年改正による変更点

  • IPマルチキャスト放送を自動公衆送信として第2項の対象に追加
  • 放送対象地域内での受信に限定した同時再送信の円滑化を図る

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