著作権法72条(補償金の額についての訴え)

制度の概要

  • 補償金額について不服がある当事者が額の増減を求める訴えを起こせる制度
  • 行政訴訟の特例として位置づけられ、当事者訴訟の形式を採用
  • 処分庁を相手とする抗告訴訟ではなく、利害関係者同士の訴訟とする

参考:

出訴の要件

  • 出訴期間:裁定を知った日から6か月以内
  • 対象となる補償金:
    • 著作権者不明等の場合における著作物利用(67条1項)
    • 裁定申請中の著作物利用(67条の2第5項・6項)
    • 著作物の放送(68条1項)
    • 商業用レコードへの録音等(69条)

参考:

対象外の補償金

  • 教科用図書等への掲載(33条2項)
  • 教科用拡大図書等の作成(33条の2第2項)
  • これらは一般的料金表による定めのため、行政不服審査法による審査請求または行政事件訴訟法に基づく抗告訴訟の対象

参考:

訴訟の当事者

  • 利用者が原告の場合:著作権者を被告とする
  • 著作権者が原告の場合:利用者を被告とする
  • 文化庁長官は当事者とならない
  • 補償金額に直接の利害関係を有する者同士での訴訟が合理的

訴えの性質

  • 裁定自体の効力を争わずに額の増減のみを求められる
  • 行政事件訴訟法上の当事者訴訟として扱われる
  • 裁定自体への不服による抗告訴訟は別途可能

特殊事例の救済

  • 著作権者不明の場合は当事者とできないため事実上出訴不可
  • この場合は73条ただし書により行政不服審査法による審査請求で救済

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