著作権法79条(出版権の設定)

出版権設定の概要

  • 複製権・公衆送信権を有する者が、出版を引き受ける事業者に対して排他的権利を付与する制度
  • 著作者は著作権を譲渡せずに、出版社に必要な範囲での独占権限を与えることが可能
  • 出版社の投資回収と海賊版対策の実効性を確保することが制度趣旨

出版権設定権者の要件

  • 第21条の複製権または第23条第1項の公衆送信権を保有する者に限定
  • 複製権のみ保有者は公衆送信行為に関する出版権を設定不可
  • 公衆送信権のみ保有者は出版行為に関する出版権を設定不可
  • 譲渡権・貸与権の保有は必須要件ではないが、出版物頒布に必要な権限確保が前提

出版権設定の対象者と行為類型

参考:

従来の出版行為

  • 文書・図画として印刷製本し複製物を頒布することを引き受ける者
  • 「文書」は文字等記号の視覚的認知が可能なもの
  • 「図画」は図・絵・写真を含むが動画は除外
  • 責任主体として出版業務を担当し経済的リスクを負う者が対象

参考:

電子出版行為

  • 電子計算機でモニター表示可能な方式により記録媒体に記録し頒布することを引き受ける者
  • 電子書籍用データ形式での記録媒体作成と当該媒体による頒布が含まれる
  • 専用端末・スマートフォン等での閲読を想定

参考:

公衆送信行為

  • 電子データ形式の複製物を用いた公衆送信を引き受ける者
  • 放送・有線放送は除外、自動公衆送信の送信可能化を含む
  • オンライン配信事業者等が対象

参考:

出版権の内容と制限

設定範囲の限定

  • 狭義出版・電子出版・公衆送信行為の個別設定が可能
  • 地域限定、譲渡・貸与目的限定、刊行形態限定等の細分化設定が認められる
  • 部数制限、データ形式限定等の具体的制限も設定可能

参考:

引き受け行為との対応関係

  • 出版権者が実際に引き受ける行為の範囲に対応した出版権のみ設定可能
  • 引き受け予定のない行為まで独占権を付与する必要性なし
  • 著作物の利用機会確保の観点から制限的解釈が妥当

質権設定時の特別規定

  • 複製権・公衆送信権に質権が設定されている場合は質権者の承諾が必要
  • 出版権設定により著作権が空洞化し質権者の利益を害する可能性への対処
  • 質権者に出版権設定対価の差押機会を確保する趣旨
  • 承諾なき出版権設定は無効だが利用許諾としての効力は残存

関連する権利処理

  • 出版権設定には出版に必要な頒布行為の許諾が黙示的に含まれる
  • 校閲・レイアウト作業等の準備的複製についても黙示許諾を推定
  • 公衆送信用データ作成過程の複製・変換作業も必要範囲で許諾されたものと解釈
  • 譲渡権等を有しない設定者には再許諾権取得等の信義則上義務が発生

参考:

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