出版権者の義務の概要
- 出版権者は設定された権利の内容に応じて、法定の出版義務を負う
- 設定契約で別の定めがある場合は、その定めが優先される
- 義務違反があった場合、複製権等保有者は出版権を消滅させることができる
第1号出版権者の義務(紙媒体等での複製権)
初回出版義務
- 原稿や電磁的記録の提供を受けてから6か月以内に出版を実行する
- 出版行為には複製物の頒布も含まれる
- 設定契約により期間の延長は可能
継続出版義務
- 慣行に従って継続的に出版を行う
- 在庫切れを避けるよう適切な部数管理を行う
- 一時的な品切れは慣行の範囲内であれば義務違反とならない
- 需要減少を理由とした出版中止は認められない
参考:
- 著作権法逐条講義(七訂新版) (専門家)
- 著作権法の解説 (公的機関)
第2号出版権者の義務(公衆送信権)
初回公衆送信義務
- 原稿や電磁的記録の提供を受けてから6か月以内に公衆送信を開始する
- 電子配信サービス等による著作物の提供が対象
継続公衆送信義務
- 慣行に従って継続的に公衆送信を行う
- サーバ保守等を除き、配信の一時中断を認める慣行は限定的
参考:
- 放送等使用料(利用許諾・請求) (公的機関)
- インタラクティブ配信 (公的機関)
原稿等の提供に関する規定
提供方法
- 物理的な引渡し(原稿、複製物等)
- 電磁的記録の提供(メール、共有フォルダ等)
- インターネット経由の場合、出版権者が実際にアクセス可能になった時点で提供とみなす
参考:
必要な完成度
- そのまま出版可能な程度の完成が必要
- 絵画等では十分な精密度を持つ複製物が必要
設定契約による義務の変更
- 義務を軽減または免除する定めは有効
- ただし完全免除が公序良俗に反するかは議論がある
- 期間短縮の場合、法定の消滅権は発生しない
制度趣旨
出版権設定により複製権等保有者が自ら出版できなくなるため、出版権者に適切な出版義務を課すことで著作物の公衆への提供機会を確保する。
参考:
- 著作権法入門 2024-2025 (公的機関)
- 著作権法と不正競争防止法の交錯問題に関する研究 (公的機関)
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