第三者提供:問い合わせに対してはどこまで答えてよいのか
不動産の賃貸を事業として行っています。入居希望者から前の入居者がどんな人物だったかを聞かれることがあるのですが、答えてもいいのでしょうか。あと弁護士を名乗って入居者の情報を聞いてくる人がいるのですが、どう対応すべきでしょうか。
個人情報保護法上、「個人データ」については第三者への提供が規制されています(同法27条)。しかし「個人情報」ですらない情報は「個人データ」にもならないため規制がかかりません。 例えば妻帯者かどうかや子供の人数などの家族構成や職業、物件の使用状況等はそれだけでは個人を特定できない場合がありますが、特定の部屋の前入居者という情報や手元の契約情報等と容易に照合して個人を識別できるときは、個人情報に該当します。プライバシー保護の観点からもこれらの提供のみとするのが適当ですし、新しい入居者としても入居を判断するには十分なはずです。一方、氏名や電話番号、転居先の情報は個人の特定が可能ですので、原則としては提供できないと考えておいた方がいいでしょう。 弁護士からの要求の場合には、既知の弁護士からの問い合わせでない限りは、「弁護士法23条の2に基づく弁護士会照会」によることを要求すべきです。この場合は確かに弁護士からの請求であることを確認できますし、個人情報保護法27条1項1号の法令に基づく場合に該当しますので、個人情報保護法に違反したことにもなりません。
弁護士本人からの任意の問い合わせと、弁護士会が行う照会は区別します。弁護士会照会であっても、質問対象・必要性・守秘義務等を確認して回答範囲を検討します。単に弁護士を名乗ったことだけを理由に入居者情報を渡してはいけません。