商標・肖像 (5)

川内 康雄

Kohls v. Bonta

判例の要点 AB2655については2025年8月5日に口頭で判断が示され、8月20日に正式な最終判決・恒久的差止命令が提出された。AB2839の略式判決・恒久的差止命令は8月29日である。両法律について、判断の根拠と命令の対象を区別して読む必要がある。 背景と争点 (Background and Issues) この訴訟は、カリフォルニア州が2024年9月に制定した2つのAI関連選挙法規(AB 2655「ディープフェイク詐欺からの民主主義防衛法」およびAB 2839「選挙:広告における欺瞞的メディア」)の合憲性を争う重要な言論の自由事件である。 事実関係: 原告クリストファー・コールズ(通称「ミスター・レーガン」)は、政治的風刺動画を制作するコンテンツクリエイターである。2024年7月26日、コールズは副大統領カマラ・ハリスの選挙広告をパロディ化したAI生成音声による動画を投稿した。この動画では、AI技術によってハリス氏の声を模倣し、「私は究極のダイバーシティ採用者として選ばれた」などの風刺的発言をさせている。動画は明確に「パロディ」と表示され、「音声や映像は大幅に編集またはデジタル生成されています」との免責条項が含まれていた。 イーロン・マスクがこの動画をX(旧Twitter)で再投稿したところ、1億回以上の再生を記録した。これを受けてカリフォルニア州知事ギャビン・ニューサムは、「このような『広告』で音声を操作することは違法であるべきだ。数週間以内にそれを確実にする法案に署名する」とツイートで表明した。 中心的争点: - AB 2655およびAB 2839が修正第1条の言論の自由に違反するか - 両法律が修正第14条のデュープロセス条項に違反する程度に曖昧であるか - AB 2655が通信品位法第230条により先占されるか - 政治的風刺・パロディに対する規制の合憲性 - コンテンツベースの言論規制に対する厳格審査基準の適用 原告の主張: コールズらは、両法律が政治的言論、特に風刺・パロディという最も保護されるべき言論形態を違憲に規制していると主張した。AB 2839については、パロディの安全港条項が実質的に不可能な表示要件(動画全体を通じて最大フォントサイズ以上での免責表示)を課し、強制的言論にあたると論じた。また、「物質的欺瞞的コンテンツ」「選挙見込みへの害」「選挙結果への信頼の偽りの損傷」などの用語が曖昧で恣意的執行を許すと主張した。 被告の主張: カリフォルニア州は、選挙の完全性保護という州の重要な利益があり、両法律は風刺・パロディの適切な除外規定を含むと反論した。特にAB 2839については、誹謗中傷規制と類似の既存の言論規制カテゴリーに該当し、厳格審査を満たすと主張した。また、「対抗言論」よりも直接規制が必要であると論じた。 AI/技術要素: 事件の中核は、AI技術、特に「ディープフェイク」と呼ばれる音声・映像生成技術の規制である。AB 2655は大規模オンラインプラットフォーム(カリフォルニア州で100万人以上のユーザーを持つ)に対し、「物質的欺瞞的コンテンツ」の検出、ラベル付け、削除システムの構築を義務付ける。AB 2839は、選挙期間中(選挙前120日から選挙後60日)のAI生成選挙関連コンテンツの配布を禁止し、被害者による民事訴訟を認める。 手続きの経過 (Procedural History) 重要な手続き上の決定: - 2024年9月17日:コールズによる訴状提出と仮差止命令申立て - 2024年9月27日:仮差止命令申立てが口頭弁論なしで審理に付される -…

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川内 康雄

Kyland Young v. NeoCortext, Inc.

Kyland Young v. NeoCortext, Inc. Case Metadata Basic Information Case Name: Kyland Young v. NeoCortext, Inc., No. 2:23-cv-02496 (C.D. Cal. 2023); No. 23-55772 (9th Cir. 2024) Court: United States District Court for the Central District of California; United States Court of Appeals for the Ninth Circuit Filing…

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川内 康雄

Prager University v. Google LLC

Prager University v. Google LLC 判例の要点 2020年2月26日の第9巡回区判決は、YouTubeの運営が本件では国家行為に当たらないことと、Lanham Act上の虚偽広告請求の不足を理由として却下を維持した。通信品位法230条という一般的論点と、この判決が実際に採用した理由は区別して読む必要がある。 事実関係: プレーガー大学(PragerU)は、保守的な視点から教育ビデオを制作する非営利団体である。2016年から2017年にかけて、YouTubeは同団体の複数のビデオに対して「制限モード」を適用し、一部のビデオから広告収益を剥奪した(デモネタイゼーション)。制限されたビデオには、「なぜ殺人は間違っているのか」「韓国戦争」「イスラエルの法的ケース」などの教育的内容が含まれていた。PragerUは、これらの措置が保守的な視点に対する検閲であると主張し、2017年10月23日にカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に提訴した。 中心的争点: 本件の核心的な法的争点は、民間企業が運営するオンラインプラットフォームが憲法上の「パブリックフォーラム」として扱われるべきか否かという点にある。具体的には、(1) YouTubeのコンテンツモデレーション行為が国家行為(state action)として憲法修正第1条の制約を受けるか、(2) YouTubeの「言論の自由」に関する公的声明が虚偽広告として法的責任を生じさせるか、(3) 通信品位法第230条がプラットフォームの編集判断を保護するか、という3つの主要な争点が検討された。 原告の主張: PragerUは、YouTubeが事実上のデジタル公共広場として機能しており、憲法修正第1条の制約を受けるべきであると主張した。同団体は、YouTubeが「すべての声が聞かれるべき」と公言しながら、実際には保守的な視点を差別的に検閲していると訴えた。さらに、YouTubeの「開かれたプラットフォーム」という表明がランハム法上の虚偽広告に該当すると主張し、差止命令による制限解除と損害賠償を求めた。 被告の主張: Google/YouTubeは、民間企業として独自の編集権を有し、憲法修正第1条はむしろプラットフォーム側の編集の自由を保護すると反論した。同社は、コンテンツモデレーションは利用規約とコミュニティガイドラインに基づく正当な事業判断であり、政治的偏見によるものではないと主張した。また、通信品位法第230条により、第三者コンテンツの編集判断について免責されると主張した。 AI/技術要素: YouTubeの「制限モード」は、未成年者や教育機関向けに不適切なコンテンツをフィルタリングする任意設定機能である。このシステムは、機械学習アルゴリズムと人間のレビュアーの組み合わせにより運営されている。アルゴリズムは、動画のメタデータ、タイトル、説明、視聴者のフィードバック等を分析し、コンテンツの適切性を判定する。デモネタイゼーションシステムも同様に、広告主にとって「ブランドセーフ」なコンテンツかどうかを自動的に判定する仕組みを採用している。 重要な手続き上の決定: 2018年3月26日、ルーシー・コー連邦地裁判事は、PragerUの仮差止命令申立てを却下し、YouTubeの棄却申立てを認容した(修正の機会付き)。PragerUは修正せずに控訴を選択し、2018年4月24日に第9巡回区控訴裁判所に上訴した。控訴審では、マンハッタン・コミュニティ・アクセス対ハレック事件の最高裁判決(2019年)が重要な先例として適用された。 証拠開示: 本件は主に法律問題として扱われたため、広範な証拠開示は行われなかった。しかし、PragerUは制限された動画の具体例と、YouTubeの公的声明を証拠として提出した。YouTubeは、コンテンツモデレーションポリシーの一般的な運用方法と、政治的中立性を示す統計データを提供した。 専門家証言: 利用可能な裁判記録からは、技術的専門家証言の具体的な内容は明らかでない。本件は主として憲法法理と法解釈の問題として扱われ、アルゴリズムの技術的詳細よりも法的枠組みの適用が争点となった。 主要な判決内容: 第9巡回区控訴裁判所は2020年2月26日、全員一致で地裁判決を支持し、PragerUの請求を棄却した。裁判所は、YouTubeが憲法上の国家行為者ではなく、民間企業として独自のコンテンツモデレーション権を有すると判示した。マッキーオン判事が執筆した意見書は、「YouTubeはインターネット上の典型的なパブリックスクエアかもしれないが、単に言論のフォーラムを提供することだけでは国家行為者に変換されない」と述べた。 勝敗の結果: Google/YouTubeが全面的に勝訴した。裁判所は、プラットフォームの編集判断は憲法修正第1条により保護される表現活動であり、政府による強制的な言論の掲載義務付けは違憲であると認定した。この判決により、プラットフォームは利用規約に基づいてコンテンツを自由に管理できることが確認された。 命令された救済措置: 裁判所は原告の請求をすべて棄却し、差止命令も損害賠償も認めなかった。むしろ、裁判所はYouTubeの編集権を保護する立場を明確にし、プラットフォームが独自の判断でコンテンツをモデレートする権利を確認した。 重要な法的判断: 本判決は、デジタルプラットフォームと伝統的な公共フォーラムとの法的区別を明確化した。特に、(1) 私企業の普及度や影響力だけでは国家行為を構成しない、(2) プラットフォームのコンテンツモデレーションは憲法で保護される編集活動である、(3) 「言論の自由」への一般的なコミットメントは法的に執行可能な約束ではない、という3つの重要な原則を確立した。 反対意見・補足意見: 第9巡回区の判決は全員一致であり、反対意見や個別意見は出されなかった。最高裁への上告受理申立ても2021年11月1日に却下され、判決は確定した。 適用された法理: 裁判所は主に「国家行為理論」(state action doctrine)を適用し、憲法上の権利は原則として政府の行為に対してのみ主張可能であることを確認した。また、「編集判断の自由」の法理により、メディア企業が掲載するコンテンツを選択する権利は憲法修正第1条により保護されることを認めた。…

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川内 康雄

Zaletel v. Prisma Labs, Inc.

Zaletel v. Prisma Labs, Inc. 判例の要点 DAILの原事件欄は、移送先デラウェア地区の事件を1:16-cv-01307として示している。個人管轄・移送の判断と、商標の類似性や侵害の成否に関する後の判断は区別する。 事実関係: 原告マイケル・ザレテル氏は1999年からI4Softwareという屋号でスマートフォンアプリケーションの開発・販売事業を営むソフトウェア開発者である。2015年2月3日、同氏は写真・動画の撮影および編集用モバイルアプリケーションに関して「Prizmia®」の連邦商標登録(登録番号4,682,035)を取得した。 被告プリズマ・ラボ社は、デラウェア州法人としてロシアのモスクワに本社を置き、カリフォルニア州サニーベールに2名の開発者を配置する小規模オフィスを有していた。同社は2016年6月に写真編集アプリ「Prisma」をリリースし、わずか4ヶ月間で約7,000万ダウンロードを達成する急成長を遂げた。 中心的争点: – 「Prizmia」と「Prisma」という類似商標の使用による消費者混同の可能性 – バージニア州東部地区連邦地方裁判所における被告に対する対人管轄権の存否 – アプリストアを通じたアプリ配信が管轄権の根拠となる「目的的利用」を構成するか 原告の主張: 原告は、被告の「Prisma」アプリが自身の登録商標「Prizmia」を侵害し、類似の機能を持つアプリケーションに類似名称を使用することで消費者の混同を招いていると主張。ランハム法に基づく商標権侵害および不正競争の差止めと損害賠償を求めた。報道によれば、原告は40万ドルの和解金を要求していたとされる。 被告の主張: 被告は連邦民事訴訟規則12条(b)(2)に基づき、バージニア州東部地区裁判所は対人管轄権を欠くとして訴えの却下を申し立てた。代替的に、28 U.S.C. § 1404に基づくデラウェア州への移送を求めた。被告は、第三者のアプリストアを通じた受動的なアプリ配信は、バージニア州との最小限の接触を構成しないと主張した。 AI/技術要素: 両当事者のアプリケーションはいずれも写真・動画にフィルターやエフェクトを適用する画像処理技術を使用。特にPrismaアプリは、ニューラルネットワークとAIアルゴリズムを活用した芸術的フィルター機能で知られ、写真を絵画風に変換する革新的な技術により急速な人気を獲得していた。配信はApple App StoreとGoogle Play Storeという第三者プラットフォームを通じて行われていた。 重要な手続き上の決定: 2016年12月22日、T.S. エリス三世判事は、被告のRule 12(b)(2)申立てに関する詳細な意見書を発行。裁判所は、アプリストアを通じたアプリの入手可能性のみでは、バージニア州における特定的対人管轄権を確立するには不十分であると判示した。裁判所は、被告がバージニア州に向けて意図的に活動を指向したという証拠がないことを認定し、28 U.S.C. §§ 1406および1631に基づき、事件をデラウェア州地区連邦地方裁判所に移送することを命じた。 証拠開示: 管轄権に関する審理において、被告のアプリ配信方法、収益モデル、米国市場への参入意図に関する証拠が提出された。被告は、アプリストアのサーバー所在地やユーザーの地理的分布を制御していないことを示す証拠を提出した。 専門家証言: 入手可能な記録には専門家証言の詳細は含まれていないが、技術的な商標類似性評価やアプリ配信メカニズムに関する技術的説明が提供された可能性が高い。 主要な判決内容: バージニア州東部地区連邦地方裁判所は、被告に対する特定的対人管轄権を欠くと判断。裁判所は以下の理由を示した: 勝敗の結果: 初期の管轄権争いにおいては被告が勝利し、事件はデラウェア州に移送された。デラウェア州での本案審理の後、最終的に裁判所はプリズマ・ラボ社に有利な判決を下した。…

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川内 康雄

E-Ventures Worldwide LLC v. Google Inc.

Case Metadata (English) Basic Information Case Name: E-Ventures Worldwide, LLC v. Google, Inc. (later amended to Google LLC) Court: United States District Court for the Middle District of Florida, Fort Myers Division Filing Date: November 4, 2014 Judgment Date: February 14, 2017 (Summary Judgment); April 2,…

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