著作権Q&A (13)

川内 康雄

ホームページの雑誌掲載:スクリーンショットの無断掲載は著作権侵害か

私が運営しているホームページのスクリーンショットが、私に無断で雑誌に掲載されました。匿名で運営しているのですが、この雑誌を出版している会社を訴えることはできるのでしょうか? 著作権侵害となる場合には訴えることが可能ですが、著作権侵害と言えるためには、①ホームページに著作権が発生していること、②著作権が発生している部分が掲載されていること、③引用の要件を満たしていないことが必要となります。 まず①著作権が発生していると言えるためには、ホームページのデザイン、掲載している文書、写真、画像に創作性(オリジナリティ)があることが必要です。ありふれたデザインやコピーでは創作性が認められません。次に②創作性のある部分が創作性を保持したまま転載されている事が必要です。たとえば創作性のある文書でも、掲載の際に縮小されていて読めなくなっている場合には、複製されたと主張することが困難です。そして③著作権法上、引用(第32条)の条件を満たしている場合には、合法的に複製が可能ですので、引用に該当していないことが必要です。引用の条件として、主従関係、必然性、明瞭区分性や出所の表示が必要とされていますが、雑誌で紹介されたという場合には、主従関係以外の条件は、通常は満たしている場合が多いでしょう。主従関係とは、文脈や分量からみて、引用する側が主たる関係にあるかどうかを判断します。ホームページを紹介した雑誌の記事が、ホームページの写真に若干のコメントを付しただけの場合には、主従関係があるとは言えないでしょう。 これらの条件を満たした場合に初めて訴えることが可能となります。具体的には民事的には損害賠償請求と差止が可能であり、刑事的には複製権侵害による告訴か可能となります。 匿名で公開していたこと自体は著作権の発生を妨げません。ただし、訴訟では自分が著作権者であることや掲載態様を立証する必要があるため、元データ、公開記録、掲載誌等を保存します。引用は公表された著作物について、公正な慣行に合致し、目的上正当な範囲であることが必要です(32条)。「紹介記事だから適法」と自動的に決まるわけではありません。

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川内 康雄

属地性:外国企業が外国で登録している権利は日本で行使できるのか

属地性:当社は米国でカラーコーディネイトに関するコンサルティングを行っている会社です。米国で商標登録されている当社のキャッチコピーや、当社が独自に創作したビジネスのコンセプトが、日本のある企業に盗用されているのを発見しました。この会社を訴えて、盗用を止めさせたり、損害賠償をすることはできますか。 日本において知的財産権を主張するためには、日本の各知的財産権に関する各種法律に定められた条件を満たす必要があります。例えば米国で商標権を取得していたとしても、日本国内で商標を申請、登録していない場合には、商標権は一切認められません。おそらく御質問のキャッチコピーも日本では商標登録されていないものと思われますので、日本で商標権を主張することはできません。またビジネスのアイディアそのものは、ビジネスモデル特許として登録されていない限りは、原則としては知的財産権によって保護されません。もっとも、知的財産権の中でも、著作権や不正競争防止法上の営業秘密保護や著名表示・商品形態保護は事前の登録手続き等が不要です。御質問のケースでは、これらによる保護が可能かどうかを検討すべきでしょう。著作権によって保護されるためには、まず①キャッチコピーやビジネスのコンセプトが、文書や図案として具体的に表現されている必要があります。②そしてこれらの表現内容がありふれたものでなく、創作性(オリジナリティ)を有していることが必要です。キャッチコピーについては、文書としてかなり短いでしょうから、著作権が認められるためには、相当の創作性が必要でしょう。ビジネスのコンセプトについては、これが宣伝文書やマニュアルとして制作されている必要があります。なおこれらのキャッチコピーやコンセプトが日本語に翻訳されていても、著作権者には翻案権という権利が認められています。そのため著作権者に無断でした翻訳も著作権侵害となります。著作権侵害と言える場合には、損害賠償や差止請求が可能です。また不正競争防止法上の営業秘密に該当する場合にも差止や損害賠償請求が可能です。営業秘密に該当するためには、①秘密として管理されている情報であって、②実際に一般的には知られておらず、③営業上有用な情報であることが必要です。キャッチコピーについては公に宣伝している内容ですので営業秘密には該当しないでしょう。一方、ビジネスのコンセプト、ノウハウについては、これを秘密として管理してきた実績があるのであれば、営業秘密に該当する可能性があります。さらに不正競争防止法では、著名性を有している商品・サービスの名称や発売されて3年以内の商品の形態が模倣された場合には、模倣した者に対する差止、損害賠償請求権が認められています。なおこれらの不正競争防止法上の権利は容易には認められないことが多いですから注意が必要です。 なお、日本を指定した国際商標登録の制度もあるため、特許庁への国内出願をしていないというだけで日本での権利が全くないとは断定できません。米国だけの登録と、日本で保護される登録を区別します。著作権で保護されるのは創作的な表現であり、文書にしたというだけでビジネスの発想そのものを独占できるものではありません。

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川内 康雄

教育目的の複製:教育現場ではコピーすることは可能か

大学の研究室などで複数の学生が使用することが必要な教科書を、コピーして利用することは違法ですか? 著作権法第35条では、複製権の例外として、授業を受ける者が授業で使用するために必要と認められる限度で、公表された著作物を複製できるとされています。ただしあくまでも「必要と認められる限度」内であり、著作権者の権利を不当に害さないことが必要です。実際にどの程度の複製が許されるかについては、議論が分かれており、明確な結論があるわけではありません。 複製対象となる著作物のうちの複製される割合ですが、丸ごと複製することが違法であるという点については異論がありません。ではどの程度まで複製できるかという点については、放送大学客員教授の作花先生(この分野の大家です)の見解では、小規模なゼミ生程度の範囲に配布するのであれば、ある程度のページ数でも許容されるが、相当数の受講者に配布する場合には数ページ程度に限定されるとのことです。また教科書やワークブックなど、本来、生徒の数だけ購入されることが予定されている著作物については、複製は原則として違法となります。 現在の35条は非営利の教育機関での授業過程の利用について、公衆送信も一定の条件で対象としています。授業目的の公衆送信は原則として設置者による補償金が必要となり、同時中継授業等の例外もあります。複製又は送信が必要な範囲であって、著作権者の利益を不当に害しないことが必要という点は共通です。教科書を購入する代わりに全員へ複製・配信することが自由になったわけではありません。

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