第三者提供:保有している個人情報を提供できる条件は何か
当社は収益物件(主に賃貸マンション・テナントビル)を取り扱う不動産業者です。収益物件を売買する際には、収益力の吟味のため、顧客より入居者の情報(勤務先・支払賃料・支払履歴までも)の提供を求められることがあります。開示するためにはどのような対策を取っておくことが必要でしょうか。宅建業法の守秘義務に反しないかも心配です。 個人情報データベースを構成する個人情報を第三者に提供するときには、本人の同意が必要です。単に利用目的を明示しておくだけでは足りません。収益物件にかかわる個人情報であっても、特に例外には該当せず、第三者提供するのであればやはり同意が必要となります。また顧客に見せるだけで記録させなかった場合でも、やはり第三者提供となりますので、同意が必要です。なお本人の同意を得て公開するのであれば、宅建業法上の守秘義務に反することはありません。なおデータベース化されていない個人情報については第三者提供の規制の対象外ですので、同意の取得は不要です。もっとも勤務先や賃料、支払い履歴はセンシティブな情報ですので、仮に個人情報保護法に違反しないとしても、賃借人のプライバシーを侵害してしまうおそれがありますので、やはり同意を取得しておくに越したことはないでしょう。 収益物件が売買された際には、法律上賃貸人たる地位が当然に移転します。その際、契約書や、賃料・保証金の残高情報を引き継ぐことになりますが、これは形式的に見れば個人情報の第三者提供です。もっとも個人情報保護法27条5項2号では事業の承継に伴って個人データが提供される場合には、第三者提供とならない旨規定しています。収益物件の所有権がこのような「事業の承継」と言えるか否かについては、法律やガイドラインでは明確な記載がありません。しかし、賃貸人たる地位が当然に移転する以上は、やはり事業の包括承継に準じるものといえます。また賃借人が同意を拒否することが可能であるとすれば、事実上は賃借人が収益物件の売買の拒否権を有することとなってしまい不当です。そのため収益物件の売買の際は、この規定の適用対象となるというべきでしょう。そのため御質問の件では、賃借人の個別の同意は不要と思われます。 売買前の候補者への閲覧と、成立した売買に伴う賃貸事業の承継に必要な引継ぎは区別します。承継の交渉段階で個人データを提供する場合にも、利用目的や安全管理、交渉不成立時の返却・消去等を定め、交渉に必要な範囲を超えて利用させない取扱いが必要です。賃貸人の地位移転は賃借権の対抗要件等によるため、一律に全ての売買で当然移転するわけではありません(民法605条の2)。
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