著作物の名称と商標:著作物の名称が商標登録されている場合に変更しないといけないのか

当社はレコードを含む商品分類にてある商標を登録しています。当社のこの登録商標と同一の名前が付されたレコードを発見したのですが、これを差し止めたり、損害賠償を求めることは可能でしょうか?

著作物のタイトルが商標権を侵害するかどうかについてはいくつかの裁判例があります。これらの裁判例では、結論を導く理論は若干異なっていますが、いずれも、商標権は著作物のタイトルに及ばないとしています。最近の裁判例である東京地方裁判所は平成7年2月22日判決「UNDER THE SUN」事件では、「出所表示機能,自他商品識別機能を有しない態様で使用されていると認められる商標については」「商標権の禁止権の効力を及ぼすのは相当ではない」とし、問題となったCDアルバムについて「編集著作物である本件アルバムに収録されている複数の音楽の集合体を表示するものにすぎず,有体物である本件CDの出所たる製造,発売元を表示するものではなく,自己の業務に係る商品と他人の業務に係る商品とを識別する標識としての機能を果たしていない態様で使用されている」として、商標権侵害を否定しています。 そのため単にアルバムのタイトルとして登録商標と同一の商標が付されているという場合においては、商標権の侵害は認定されないでしょう。この程度を越えて、例えばシリーズ物の名称として使用されていたり、CDのブランド名として使用されたりしている場合には、商標権侵害と認められる可能性があります。

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