Getty Images (US), Inc. v. Stability AI, Inc.

Getty Images (US), Inc. v. Stability AI, Inc. 

Case Metadata

Basic Information

  1. Case Name: Getty Images (US), Inc. v. Stability AI, Inc., No. 1:23-cv-00135 (D. Del. filed Feb. 3, 2023); Getty Images and others v. Stability AI (High Court of Justice, England and Wales, filed May 12, 2023)
  2. Court: United States District Court for the District of Delaware; High Court of Justice, Business and Property Courts of England and Wales, Intellectual Property List (ChD)
  3. Filing Date: February 3, 2023 (US); May 12, 2023 (UK)
  4. Judgment Date: Ongoing litigation (UK trial commenced June 9, 2025, scheduled to conclude June 30, 2025)
  5. Case Number: 1:23-cv-00135 (US); IL-2023-000085 (UK)
  6. Status as of the article date / 記事作成時点の手続状況: Active litigation in both jurisdictions; UK trial ongoing; US case in discovery phase

Parties

  1. Plaintiff(s): Getty Images (US), Inc. (Delaware corporation, global visual content marketplace with over 477 million assets); Getty Images International (UK entity); additional Getty subsidiaries
  2. Defendant(s): Stability AI, Inc. (Delaware corporation, AI model developer); Stability AI Ltd. (UK entity, added as defendant March 29, 2023 in US case)
  3. Key Law Firms: – Plaintiffs: Weil, Gotshal & Manges LLP (Benjamin E. Marks, Jared R. Friedmann); UK – Michael Bloch KC – Defendants: Michael J. Flynn, Nicole M. Jantzi, Paul M. Schoenhard (US)
  4. Expert Witnesses: Technical AI experts and copyright specialists (specific names under seal pending trial)
  1. Case Type: AI training copyright infringement; generative AI intellectual property violation; unauthorized use of copyrighted images for machine learning
  2. Primary Legal Claims: Direct copyright infringement under 17 U.S.C. § 106; UK Copyright, Designs and Patents Act 1988 violations; DMCA § 1202 violations (removal of copyright management information)
  3. Secondary Claims: Vicarious and contributory copyright infringement; trademark infringement and dilution; unfair competition; database rights infringement (UK); passing off (UK)
  4. Monetary Relief: Statutory damages of $150,000 per work (potential $1.7-1.8 trillion based on 12 million alleged infringements); injunctive relief; destruction of infringing models

Technical Elements

  1. AI/Technology Involved: Stable Diffusion text-to-image generative AI model (versions 1.0-2.0); LAION-5B dataset; latent diffusion architecture; web-scraping technology
  2. Industry Sectors: Visual media and stock photography; artificial intelligence and machine learning; creative industries; digital content licensing
  3. Data Types: Copyrighted photographs and images; metadata and watermarks; image-text pairs; training datasets containing billions of images

Database Navigation

  1. Keywords/Tags: AI copyright infringement, Stable Diffusion, generative AI litigation, machine learning training data, fair use defense, text-to-image generation, LAION dataset, copyright management information, AI governance
  2. Related Cases: Andersen v. Stability AI, Inc., No. 3:23-cv-00201 (N.D. Cal.); Authors Guild v. OpenAI, Inc., No. 1:23-cv-08292 (S.D.N.Y.); Doe v. GitHub, Inc., No. 4:22-cv-06823 (N.D. Cal.)

詳細分析 (Detailed Analysis)

事件の概要 (Case Overview)

背景と争点 (Background and Issues)

事実関係: Getty Imagesは、世界最大級のストックフォトプロバイダーとして、4億7700万点以上のビジュアルコンテンツを保有し、年間売上高約10億ドルを誇る企業である。同社は2023年2月、Stability AI社が開発したテキスト画像生成AIモデル「Stable Diffusion」の訓練において、Gettyの著作権で保護された1200万点以上の画像を無断で使用したとして、米国デラウェア州連邦地方裁判所に提訴した。並行して、2023年5月には英国高等法院にも同様の訴訟を提起している。

訴状によれば、Stability AIはLAION-5Bデータセット(58億枚の画像URLを含む)を通じてGettyの画像を大量にスクレイピングし、AIモデルの訓練に使用した。特に問題となっているのは、生成された画像の中にGettyのウォーターマークが歪んだ形で現れる事例が確認されていることで、これは同社の画像が訓練データとして使用された直接的な証拠とされている。

中心的争点: 1. AIモデルの訓練における著作物の使用が著作権侵害を構成するか 2. 生成AIの出力が原著作物の派生的著作物に該当するか 3. AIモデル自体が著作権侵害の「物品(article)」として扱われるべきか(英国法) 4. フェアユース/フェアディーリングの抗弁が適用されるか 5. 著作権管理情報の除去・改変に関するDMCA違反の成否 6. AIモデル訓練の地理的管轄権の問題

原告の主張: Getty Imagesは、Stability AIが同社の著作権で保護された画像を無断で複製し、商業的なAIモデルの訓練に使用したことは明白な著作権侵害であると主張している。特に、以下の点を強調している: – 1200万点以上の画像が許諾なく使用された – Gettyのウォーターマークや著作権管理情報が意図的に除去または改変された – Stable Diffusionが生成する画像がGettyの作品と実質的に類似している – 被告の行為により、Gettyのライセンスビジネスモデルが直接的に損害を受けた – 作品あたり15万ドルの法定損害賠償(総額1.7~1.8兆ドル)を請求

被告の主張: Stability AIは、以下の抗弁を展開している: – AIモデルの訓練は変革的使用(transformative use)でありフェアユースに該当 – モデル自体は画像を含まず、学習されたパターンのみを保持 – 訓練は英国・米国の管轄外で実施された – 生成される画像は新たな創作物であり、既存作品の複製ではない – エンドユーザーが侵害的なプロンプトを入力した場合の責任はユーザーにある

AI/技術要素: Stable Diffusionは、潜在拡散モデル(Latent Diffusion Model)アーキテクチャを採用したテキスト画像生成AIである。主な技術的特徴: – LAION-5Bデータセット(58億の画像-テキストペア)での訓練 – VAE(Variational Autoencoder)による画像の圧縮と再構成 – CLIP(Contrastive Language-Image Pre-training)によるテキスト理解 – U-Netアーキテクチャによるノイズ除去プロセス – 訓練には約15万GPU時間、推定250万ドルのコンピューティングコストが投入された

手続きの経過 (Procedural History)

重要な手続き上の決定:

米国訴訟では、2024年1月26日にHall判事がStability AIの却下・移送申立てを予断なく棄却し、管轄権に関する証拠開示の完了後の再申立てを許可した。これにより、両当事者は管轄権の確立に関する詳細な証拠開示プロセスに入った。

英国訴訟では、2023年12月1日にSmith判事が重要な判断を下し、Stability AIの逆サマリージャッジメント申立てを棄却した。判事は、AIモデルの訓練が英国外で行われたという証拠があるにもかかわらず、Gettyの請求には「成功の現実的な見込み(real prospect of success)」があると判断し、本格的な審理の必要性を認めた。

証拠開示: 証拠開示プロセスでは、以下の重要な技術文書が焦点となっている: – Stable Diffusionのソースコードと訓練ログ – LAION-5Bデータセットの取得・処理方法 – Stability AIの内部コミュニケーションとポリシー文書 – Getty画像の使用を示す技術的証拠 – モデルの訓練場所と計算リソースに関する記録

専門家証言: 両当事者は複数の技術専門家を起用している: – AI/機械学習の専門家による訓練プロセスの技術的分析 – 著作権法専門家による法的解釈 – 経済専門家による損害額の算定 – コンピュータビジョン専門家による画像類似性分析

判決の概要 (Judgment Summary)

裁判所の判断 (Court’s Decision)

英国高等法院の2023年12月1日判決(Smith判事):

主要な判決内容: Smith判事は、Stability AIの逆サマリージャッジメント申立てを棄却し、本案審理への進行を命じた。判決の要点:

  1. 訓練・開発に関する請求について: – AIモデルの訓練が英国外で実施されたという証拠があるものの、Gettyの請求を即座に棄却するには不十分 – 著作権侵害の「場所」の判断には、より詳細な事実認定が必要 – オンライン環境における著作権侵害の地理的境界は複雑な法的問題

  2. 二次的侵害について: – CDPA第22条、23条、27条における「物品(article)」の解釈が中心的争点 – ソフトウェアが「物品」に該当するかは、先例のない新しい法的問題 – デジタル時代における著作権法の適用範囲を再検討する必要性

  3. 手続き的判断: – Gettyによる訴状の修正を許可 – 2025年6月の本格審理日程を設定 – 両当事者に包括的な証拠開示を命令

勝敗の結果: 現時点では最終判決は下されていないが、中間判決ではGettyの主張が一定程度認められ、審理継続が決定された。

命令された救済措置: 最終判決待ちであるが、Gettyは以下を請求している: – 著作権侵害に対する損害賠償(作品あたり15万ドル) – Stable Diffusionモデルの使用差止め – 侵害モデルの破棄 – 将来の侵害防止のための恒久的差止命令

重要な法的判断: – AIモデル訓練における著作物使用の法的性質は本格審理が必要 – デジタル製品の「物品」該当性は新たな法的課題 – 国境を越えるAI訓練の管轄権問題は慎重な検討が必要

適用された法理:

  1. 著作権侵害の基本原則: – 複製権の侵害判断における実質的類似性基準 – 派生的著作物の作成に関する排他的権利 – 著作権管理情報の保護に関するDMCA規定

  2. フェアユース/フェアディーリング: – 変革的使用の判断基準(Campbell v. Acuff-Rose Music) – 商業的使用vs非商業的研究の区別 – 市場への影響の評価

  3. 二次的侵害理論: – 寄与侵害の要件(知識と実質的寄与) – 代位責任の成立要件(監督権限と直接的経済的利益)

事実認定: 裁判所が重要視している事実: – Gettyのウォーターマークが生成画像に現れる証拠 – LAION-5BデータセットにGetty画像へのリンクが含まれる事実 – Stability AIによるLAIONへの資金提供関係 – モデル訓練に要した計算リソースと地理的位置

技術的理解: 裁判所は、AIモデルの技術的側面について以下の理解を示している: – 潜在拡散モデルの基本的な動作原理 – 訓練データとモデルパラメータの関係 – 生成プロセスにおける「記憶」と「創造」の境界 – ウォーターマーク除去の技術的メカニズム

先例価値 (Precedential Value)

将来への影響: 本件は、AI時代における著作権法の適用に関する最初の包括的な司法判断となる可能性が高い。特に以下の点で先例的価値を持つ:

  1. AIモデル訓練の法的枠組み: – 大規模データセットを用いた機械学習の著作権法上の位置づけ – 「学習」と「複製」の法的区別 – AIモデルにおける著作物の「使用」の定義

  2. 生成AIの出力に関する責任: – AIが生成したコンテンツの著作権帰属 – プラットフォーム事業者とエンドユーザーの責任分担 – 自動生成コンテンツの法的地位

法理論の発展: 本件は、以下の新たな法理論の発展に寄与する: – AI特有のフェアユース基準の確立 – デジタル時代における「物品」概念の再定義 – 国境を越えるAI活動の管轄権理論 – 技術的保護手段(TPM)とAIの関係

解釈の明確化: 既存法のAI分野への適用について、以下の明確化が期待される: – DMCA第1202条の機械学習への適用範囲 – 著作権の排他的権利とAI訓練の関係 – データベース権とAIデータセットの保護範囲

規制・実務への影響 (Regulatory and Practical Impact)

AIガバナンス: 企業のAI開発・運用において、以下のガバナンス要件が示唆される:

  1. データガバナンス体制: – 訓練データの出所と権利関係の明確化 – ライセンス管理とコンプライアンス体制の構築 – 第三者の知的財産権に関するデューデリジェンス

  2. 技術的対策: – 著作権で保護されたコンテンツのフィルタリング機構 – 生成物の著作権侵害チェックシステム – 透明性とトレーサビリティの確保

コンプライアンス: AI開発企業が取るべき具体的対応策: – 訓練データのライセンス取得または著作権フリーデータの使用 – opt-outメカニズムの実装 – 権利者との事前協議とライセンス交渉 – 生成物に関する利用規約の明確化 – 侵害通知への迅速な対応体制

業界への影響: AI開発・展開実務への具体的効果:

  1. ビジネスモデルの変革: – ライセンシングベースのAI訓練モデル – 権利者とAI開発者の収益分配モデル – クリーンルーム開発アプローチの採用

  2. 技術開発への影響: – 合成データや公開データセットへの依存増加 – フェデレーテッドラーニング等の分散学習技術の発展 – プライバシー保護技術との統合

リスク管理: 類似リスクを回避するための考慮事項: – 包括的な知的財産権監査の実施 – 保険によるリスクヘッジ – 段階的なリリースとモニタリング – 業界標準とベストプラクティスの採用 – 規制当局との早期対話

比較法的観点 (Comparative Law Perspective)

日本法との比較:

  1. 著作権法の相違点: – 日本:著作権法第30条の4(著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用) – 情報解析のための複製・翻案が一定条件下で許容 – 但し、著作権者の利益を不当に害する場合は除外

  2. AI訓練に関する法的枠組み: – 日本は比較的寛容なアプローチを採用 – 非享受目的利用の範囲が広く解釈される傾向 – 但し、生成物による市場代替は問題となり得る

  3. データベース権: – 日本には欧州型のデータベース権は存在しない – 不正競争防止法による限定的保護のみ

他国判例との関係:

  1. 米国の関連判例: – Authors Guild v. Google(書籍スキャニング):変革的使用を認定 – Oracle v. Google(API):フェアユースを認定 – 但し、生成AIは異なる考慮要素が存在

  2. EU域内の動向: – DSM指令第3条、4条:テキスト・データマイニング例外 – 商業目的の場合、opt-out権の尊重が必要 – AI法案による追加的規制の可能性

グローバルな影響:

  1. 多国籍企業への影響: – グローバルなAIモデル開発の地理的分断リスク – 各国法に準拠した複数バージョンの必要性 – クロスボーダーのデータ移転制限

  2. 国際協調の必要性: – AI訓練に関する国際的な枠組みの構築 – 相互承認メカニズムの検討 – 技術標準と法的基準の調和

  3. 競争力への影響: – 規制の厳格な国からの開発拠点移転 – イノベーションと権利保護のバランス – 各国のAI戦略への影響

重要なポイント (Key Takeaways)

実務家への示唆:

  1. 契約実務: – AI関連契約における訓練データ利用条項の重要性 – 表明保証条項での知的財産権クリアランスの確保 – 補償条項とリスク分配の明確化

  2. デューデリジェンス: – M&AにおけるAI資産の権利関係精査 – 訓練データのプロヴェナンス確認 – 潜在的な侵害リスクの定量化

  3. 紛争対応: – 早期の証拠保全の重要性 – 技術専門家の選定と協働 – 国際的な訴訟戦略の構築

今後の展望:

  1. 立法動向: – 各国でのAI特別法制定の加速 – 著作権法の現代化議論 – 国際条約レベルでの検討開始

  2. 技術発展: – 著作権配慮型AI技術の開発 – ブロックチェーンによる権利管理 – 分散型AI訓練プラットフォーム

  3. 市場変化: – ライセンシング市場の拡大 – AI保険商品の発展 – 新たなビジネスエコシステムの形成

注意すべき事項:

  1. 即時対応事項: – 既存AIモデルの訓練データ監査 – リスク評価とコンプライアンス体制の見直し – 必要に応じたライセンス取得交渉

  2. 中期的課題: – 技術的対策の実装とテスト – 社内ポリシーとガイドラインの策定 – ステークホルダーとの対話強化

  3. 長期的視点: – 持続可能なAIエコシステムの構築 – イノベーションと権利保護の最適バランス – 社会的受容性の確保

本件は、AI技術の急速な発展と既存の法的枠組みとの間の緊張関係を象徴する事案である。判決の結果は、今後のAI開発の方向性を大きく左右し、クリエイティブ産業とテクノロジー産業の関係を再定義する可能性を持つ。実務家は、本件の推移を注視しつつ、リスク管理とイノベーション促進の両立を図る必要がある。

このレポートに関する注意事項 (Warning/Notes)

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