代表取締役と取締役会の権限分配:代表取締役の権限制限と取締役会の権限拡張

当社では職務分掌を明確化させる作業を進行中です。代表取締役やその他の取締役と取締役会の権限を定める上で考慮すべき点は何でしょうか?

会社法の解釈上、取締役会の承認にかからしめるなどして代表取締役の権限を制限することは認められています。一方、取締役会の権限を代表取締役に委譲することは原則としては認められていません。これは会社法が取締役会に代表取締役に対する監督機能を期待しているからです。 具体的には会社法362条4項に、以下の取締役会の権限事項が記載されています。一 重要ナル財産ノ処分及譲受二 多額ノ借財三 支配人其ノ他ノ重要ナル使用人ノ選任及解任四 支店其ノ他ノ重要ナル組織ノ設置、変更及廃止これらの事項は、代表取締役がその一存で決することはできず、かならず取締役会に諮らなければならないことになります。 もっとも上記の規定は「重要ナル」や「多額」など、非常に曖昧な基準しか定められていません。そこで会社において任意に代表取締役と取締役会の職務分掌を定める場合には、これらの判断基準を具体化させる形で規定を作成することが多いです。また取締役会の要承認事項を増やすことは原則自由ですので、取締役会という会議体で決した方が良い事項が類型的に存在しているのであれば、これを取締役会規則等に定めることによって、取締役会の承認事項としても良いでしょう。

上記は通常の取締役会設置会社を前提としています。監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社では重要な業務執行の委任に関する特則があります(399条の13、416条等)。また、代表権に加えた内部的な制限は、善意の第三者に対抗できません(349条5項)。社内の決裁権限と対外的な代表権を分けて設計します。