合同会社のメリット:パススルー課税が適用されないのに利用価値はあるのか
会社法で日本版LLC(合同会社)制度が新設されたようですが、米国と違い、いわゆるパススルー課税が認められていないようですから、利用するメリットはほとんど無いのではないかと思われます。如何でしょうか。
確かに合同会社制度では、期待されていたパススルー課税制度(構成員課税)やチェックザボックス制度(課税対象選択制度)が見送られてしまいましたので、利用するメリットはかなり小さくなってしまいました。 もっとも当職としては以下のような点が実質的メリットとしてまだ残存しており、利用価値はあるものと考えています。 ・設立費用が安い紙の定款には原則4万円の印紙税がかかり、設立登記の登録免許税は原則として資本金の0.7%(最低6万円)です。電子定款ではこの印紙税が不要であり、定款認証も不要です。そのため株式会社より法定費用を抑えやすい制度です。 ・役員に任期の制限がない有限会社制度が廃止され、特例有限会社(会社法施行以前から存在している有限会社)等を除く通常の株式会社では、取締役の任期は原則2年で、非公開会社では定款で最長10年まで伸長できる場合があります(332条)。一方、合同会社は、所有と経営が一致していることもあり、社員、業務執行社員、代表社員の任期に制限は有りません。そのため取締役の任期満了による登記費用を節約できます。 ・剰余金分配の制限(300万円)がない会社法では、たとえ資本金が300万円未満の会社でも、純資産金額が300万円に到達しない間は、剰余金分配ができず、会社の財産を逐次出資者に還元するには制限があります。一方合同会社にはこのような義務が有りません。 ・決算公告義務が無い株式会社では、決算公告が義務づけられています。これまで決算公告を行う会社はほとんど有りませんでしたが、最低資本金制度の撤廃などにより、今まで以上に信用評価が重視される様になるため、本当の意味で義務化されてくる可能性があります。そうなると会社の資産状況を公開しないといけなくなるわけですが、これを望まない経営者もあるかと思います。合同会社では、社員や債権者に対する義務を除き、決算公告が義務づけられていませんので、世の中一般に向けて財産状況を公開する必要はありません。
合同会社には株式会社のような決算公告義務はありませんが、利益の配当には利益額を限度とする規制等があります(会社法621条以下)。「自由に会社財産を配当できる」という意味ではありません。