著作権Q&A (13)

川内 康雄

小分け販売 : 元の製品の商標権を侵害するか

大量に買った商品を小分けして売ってもいいですか?(しょうゆを1斗買って、1合ずつ小分けにして売る場合等) 自分が買った物を自分がどのように処分するかは自由です。 しかし商標がからむ場合にはかならずしもそうではありません。例えば某有名メーカーのしょうゆを小分けにして、「これは某○○の商品××のばら売りです」として売ってしまうと商標権の侵害となります。逆に単に「まとめ買いしたしょうゆのばら売りです」と言って売れば侵害となりません。 ちょっと変わった結論ですが、多くの裁判例が一致した結論を出しています。これは、商標権者は、当該商標を付された商品の上流から下流まで、商品の形態が一定であることを期待しており、その期待は法的に保護に値するからとされているからです。 以上は、小分けによって品質管理や出所の表示に問題が生じる場面を念頭に置いた説明です。商標を使ったかという形式だけでなく、商標の出所表示機能や品質保証機能への影響が問題になります。食品の場合は商標とは別に、営業の許可・届出、衛生管理、食品表示等の規制も確認します。

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川内 康雄

並行輸入 : 有名ブランドを本国で買って日本で売ることは可能ですか

ある外国ブランドの商品について、国内の代理店ではかなり高価なのですが、本国の小売店ではかなり格安で販売されているのを発見しました。そこで本国の小売店で買って日本に輸入し、国内で販売するとビジネスになると考えているのですが、合法でしょうか。 この問題は、真正品の並行輸入という問題として論じられています。 商標法に直接の規定はありませんが、複数の裁判例が存在しており、一定の基準が示されています。 並行輸入が許される条件としては ①輸入する商品が真正な商品であること ②外国の商標権者と内国の商標権者が同一か、両者が法律的又は経済的に同一人と同視できる関係にあること ③日本の商標権者が直接又は間接に品質管理を行い得る立場にあり、その登録商標が保証する品質において国内流通品との間に実質的な差異がないこと が挙げられています。 逆に並行輸入が許されない場合としては、 ①国内において包装替えや詰め替えが行われた場合 ②並行輸入品である旨の表示が十分でないなど、消費者の誤認を惹起する恐れがあるとき ③内国の商標権者が外国の商標権者とは無関係に、当該商標についての名声を得ている場合 が挙げられています。 御質問のような事例であれば、商品に何らの手を加えず、並行輸入品であるときちんと表示されているのであれば、合法となる可能性が高いでしょう。 単に正規品を買い、「並行輸入品」と表示すれば全て許されるわけではありません。商標が外国で適法に付されているか、内外権利者の実質的同一性、品質管理と実質的差異を確認します。化粧品・食品・電気製品等の輸入には、商標とは別の商品分野の安全・表示等の規制もあります。

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川内 康雄

商標移転 : 二重譲渡されるリスクはあるか

商標の譲渡を受けた後に、第三者に二重譲渡される危険はありますか。 民法上、不動産については二重譲渡の可能性が存在しています。不動産の譲渡は意思表示だけで行うことができ、二者以上に対して不動産の譲渡を行った場合には、最初に登記の移転を受けた者が所有権を確定的に取得できるという仕組みになっています。 これに対して、商標の場合は、民法上の不動産について問題となるような二重譲渡は発生しません。商標法上、商標権の譲渡は登録されて始めて効力を生じます。譲渡が二重に登録されることはありませんから、有効に譲渡を受けることができるのは一の当事者のみと言うことになります。 もっとも商標の譲渡契約後、移転登録前に、第三者に別途移転する契約がなされ、第三者への移転登録が先に行われると、その第三者が商標権を取得することになります。この意味では、民法上の不動産の権利関係と類似していると言うこともできるでしょう。 商標権の移転は、一般承継等の例外を除き、登録が効力発生要件です(商標法35条が準用する特許法98条1項1号)。契約だけで取得したと考えず、移転登録申請と完了の確認を行うことが大切です。

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川内 康雄

著作物の名称と商標:著作物の名称が商標登録されている場合に変更しないといけないのか

当社はレコードを含む商品分類にてある商標を登録しています。当社のこの登録商標と同一の名前が付されたレコードを発見したのですが、これを差し止めたり、損害賠償を求めることは可能でしょうか? 著作物のタイトルが商標権を侵害するかどうかについてはいくつかの裁判例があります。これらの裁判例では、結論を導く理論は若干異なっていますが、いずれも、商標権は著作物のタイトルに及ばないとしています。最近の裁判例である東京地方裁判所は平成7年2月22日判決「UNDER THE SUN」事件では、「出所表示機能,自他商品識別機能を有しない態様で使用されていると認められる商標については」「商標権の禁止権の効力を及ぼすのは相当ではない」とし、問題となったCDアルバムについて「編集著作物である本件アルバムに収録されている複数の音楽の集合体を表示するものにすぎず,有体物である本件CDの出所たる製造,発売元を表示するものではなく,自己の業務に係る商品と他人の業務に係る商品とを識別する標識としての機能を果たしていない態様で使用されている」として、商標権侵害を否定しています。 そのため単にアルバムのタイトルとして登録商標と同一の商標が付されているという場合においては、商標権の侵害は認定されないでしょう。この程度を越えて、例えばシリーズ物の名称として使用されていたり、CDのブランド名として使用されたりしている場合には、商標権侵害と認められる可能性があります。 現行商標法26条1項6号も、需要者が何人かの業務に係る商品・役務であると認識できる態様で使用されていない商標には、商標権の効力が及ばないと定めています。単に作品内容を表す題名なのか、シリーズやブランドの出所を示しているかという区別が実務上重要です。

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川内 康雄

著作権の発生要件:名刺のデザインに著作権は発生するのか

私はデザイナーですが、先日、名刺のデザインを行い、ロゴを制作した上で、名刺全体の文字や図案の配置を行いました。このデザインが第三者によって勝手に流用されそうなとき、やめろといえる法的な権利がありますか? たとえ名刺のデザインであっても、著作権法上、そこに創作性があれば著作権が発生します。そして著作権が発生していれば、第三者が勝手に流用すると著作権侵害となり、損害賠償や差止、そして刑事罰の対象となります。なおロゴについては、世の中に出回っている既存のデザインと類似していないのであれば、創作性が認められる可能性が高いです。一方、名刺上のロゴや図案の配置については、どうしても既存のデザインと類似したものになりますので、ありふれた配置だけでは創作性が認められにくいでしょう。ただし、著作権法は特許のような新規性や斬新さを要件とするものではなく、具体的な表現に創作性があるかで判断します。

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