オープンソース (22)

川内 康雄

専用使用権設定 :独占的ライセンスの確保方法

商標のライセンスを受ける際に、他社がライセンスを受けられないようにする手段はありますか。 商標権を有している者から独占的なライセンス権を取得した場合には、商標権者に対し「他の第三者にライセンスするな」という請求を行うことができます。 もっとも商標権者がこれを無視してライセンスを設定してしまったときに、後からライセンスを受けた者に対して、「その商標を使うな」と請求することはできません。できるのは商標権者に対しライセンス契約違反の責任を問えるのみです。 しかしそれでは「独占的ライセンス」の実効性を担保することができません。そこで商標法には専用使用権の設定が認められています。専用使用権は、専用使用権を設定する旨の契約を商標権者と結んだ上で、特許庁に登録することでその効力が発生します。 専用使用権が効力を発生した後は、専用使用権者は商標権者と同等の権利を行使することができます。商標権を侵害する者があれば、自ら差止請求や損害賠償請求を行うことができます。 専用使用権は設定された商品・役務、地域、期間等の範囲内で効力を持ちます(商標法30条)。その範囲では商標権者自身の使用も制限されます。契約による独占的通常使用権と、登録で成立する専用使用権を区別し、将来の更新・移転・再許諾等の条件も明確にします。

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川内 康雄

特許権侵害 : 特許を侵害するオープンソースソフトを使ったら賠償義務が発生するか

オープンソースライセンスが適用されたソフトウェアを使用していますが、先日知らない会社から通知書が届き、このソフトウェアはこの会社の特許権を侵害しているからライセンス料を請求されました。オープンソースソフトウェアの利用料はタダではないのですか? オープンソースソフトウェアライセンスは、開発者自身が有する著作権、特許権、その他の知的財産権について、これを行使しないことを約束することをその本質としています。ただし、特許の許諾範囲は各ライセンスにより異なり、開発に参画した者の全特許について無条件の不行使が約束されるとは限りません。あるソフトウェアについてのソースコードは、それが盗用されたものでない限り、関わったすべての開発者はオープンソースライセンスの適用に同意していますので、著作権侵害が問題となることはありません。しかしながら、ソフトウェア特許は、「一定の効果を実現するソフトウェア技術」について権利が発生するものです。そのため、全く新たにかかれたソースコードであっても、開発者ではない第三者が特許権を保有している技術を利用してしまったのであれば、その特許を侵害することになります。 あるオープンソースソフトウェアが本当に第三者の特許権を侵害しているのであれば、特許権者から利用者に対する損害賠償請求権が発生します。そのため、この場合は、特許権者に対してライセンス料を支払って使用許諾を得るか、利用をやめるかのどちらかを選択することになります。なおCPLやMPLではこの旨がライセンス条項内にも明記されています。 特許権は国・地域ごとに成立するため、日本で問題になる特許権の存続と対象行為を確認します。著作権ライセンスに従っているというだけで第三者特許の侵害を免れるわけではありません。

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川内 康雄

ライセンス違反 : オープンソースのライセンス違反への対抗策は

当社はあるオープンソースプロジェクトに参画していますが、他のある企業が、このプロジェクトの成果物であるプログラムをプロジェクトメンバーに了解を取らずにパッケージ化して販売を開始しました。どのような対策を取るべきでしょうか? まずはそのプロジェクトにおいて使用されているライセンスの種別を確認し、その企業が行っている行為が法的に許容されているかどうかを正確に検討することが必要です。 その上でライセンス違反であると判断できるのであれば、プロジェクトに参画している者は、参画して作成したソースコードの著作権を有していますので、法律上、差止請求、損害賠償請求等が可能です。通常はプロジェクト参画者が連名で警告書を発送し、違反行為をやめさせることになるでしょう。 なお、OSSは通常、ライセンス条件を守った有料販売自体を認めているため、追加の了解を取らず販売したという事実だけでは違反になりません。表示の欠落、ソース提供義務違反等の具体的な条件違反を確認します。また、権利行使できるのは問題となるコードの著作権を実際に保有する者等であり、著作権を譲渡済みの貢献者などは別に考えます。

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川内 康雄

ライセンスの変更:一度適用されたオープンソースライセンスは変更可能か

あるオープンソースソフトウェアにGPLを適用して公開していましたが、やはりCPLに変更したいと思っています。法律的に可能でしょうか。 結論としては、オープンソースソフトウェアに適用するライセンスを、ある一定の時点以降、別のライセンスに変更することは法的には可能です。 ライセンスというのは結局のところ、ソフトウェアの著作権保有者と利用者との利用許諾契約です。利用許諾の時点で著作権保有者が提案している条項を受諾することによって契約が成立しますから、その時点で従前とは異なるライセンス条項が提案されていれば、その新たな条項を元にして利用許諾契約が成立します。 逆にすでに成立した契約を一方当事者の意志で変更することはできません。そのためすでに利用を開始したソフトウェアについては、その当時の利用許諾条件ですでに契約が成立しており、その条件が存続することとなります。 また過去にリリースされたバージョンについては過去のライセンス条件が添付されて配布されていますので、過去のバージョンについては、たとえ利用開始(利用許諾)以前であっても、ライセンス条件を変更することは難しいでしょう。 一方、新しいバージョンであれば、その新しいバージョンに添付するライセンス条項を別のものにすれば、そのバージョン以降のライセンスを別のものに変更できることになります。 なおライセンス条件を別のものに変更する場合には、対象となっているソフトウェアの著作権者全員が、ライセンスをその別のライセンスに変更することに同意していることが必要です。そのため、リナックスカーネルのように、無数のプログラマーがコミットしている場合には、全員の同意を取り付けるのは非常に難しいですから、ライセンスの変更は事実上不可能でしょう。 ご質問の件であれば、ソースコードを書いたすべてのプログラマー又はその著作権の承継人が同意しているのであれば、CPLはもちろん、他のオープンソースライセンスや、クローズドライセンスにも変更できます。 ただし、GPLが許すバージョン選択や別途の許諾など、既存の許諾に基づいて変更できる範囲は各条項によります。過去に適法に取得したGPL版のコピーについて、後日のライセンス変更だけで既存利用者の権利を取り上げることはできません。新しい版にも第三者のGPLコードを残す場合は、その部分を別条件にできる権限があるかを確認します。

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川内 康雄

ライセンスの選択 : オープンソースライセンスの選び方

自社のソフトウェアをオープンソースにする場合にどのライセンスを適用すればいいですか? オープンソースライセンス選択の際に考慮すべき要素は [1] 他社がそのソフトウェアを他のソフトウェアに組み込んで新たなソフトウェアを開発した時に、組み込まれる先のソフトウェアのソースコードが開示されることを望むのか? [2] 他社がそのソフトウェア自体を改変して新たなソフトウェアを開発した時に、その新たなソフトウェアのソースコードが開示されることを望むのか? の2つです。 他社がそのソフトウェアを他のソフトウェアに組み込んで新たなソフトウェアを開発した時[1]に、その他のソフトウェアのソースコードが開示されることを望むのであれば、GPLを適用することになります。ただしGPLの条件で配布する結合物について、ソースを非開示とする独占的な配布モデルには制約が生じます。ただし、GPL自体は有償販売や商用利用を禁止していませんので、ソフトウェアを利用する側にとっては不便なものとなり、結果、ソフトウェアが利用される頻度が下がってしまう可能性があります。 これに対し、他のソフトウェアと結合された時にその他のソフトウェアのソースコードまで公開させようとは思わないが[1]、開発したソフトウェア自体が改変された時には、その改変部分の公開を望むという時[2]には、LGPL型のライセンスを適用することになります。 他のソフトウェアと結合されても、そのソフトウェア自体が改変されても、結合先のソフトウェア、改変部分のソースコードの開示を望まない[2]のであれば、BSD型のライセンスを適用することになります。ただしこのライセンスを適用すると他社の開発行為による恩恵を受けることができなくなる恐れがあります。 選択にあたっては既に組み込んだ第三者コードの条件との両立、著作権者の同意、特許許諾、適用版も確認します。ソース提供義務の範囲と提供相手は、配布の有無や結合方法により異なり、一般公開を望むかという2点だけでは全ての条件を比較し切れません。

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